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〈沖縄・二十歳の集い“宴のその後”〉「屋根切断オープンカー」秒速で検挙された若者、はっちゃけの代償…「地元が一番というのがあるんで、ほかの地域にナメられたくない」

集英社オンライン / 2025年1月20日 19時4分

1月12、13日に全国各地で「二十歳の集い」などの式典が開かれ、多くの若者が門出の日を祝ったが、なかには「波乱の門出」となった者も。北九州にならんで一部の「ヤンチャ」な若者の行動が話題となった沖縄で、一生に一度の晴れ舞台に不名誉ともいえる足跡を残した彼らに“宴のその後”を直撃した。

【画像】「紅白オープンカー」だけじゃなかった…旗ざおを振り回して爆音走行していた改造バイク集団

ひときわ目立っていた自作の「屋根切断オープンカー」のハタチ

「正直、もうちょっと走りたかったですね」

そうあっけらかんと話すのは、沖縄県中部のうるま市に住む名護琉樹也さん(20)。12日に同市中心部にあるコミュニティーセンターで行なわれた「二十歳の集い」に、紅白に塗り分けたど派手な「オープンカー」で乗りつけた一人だ。

知り合いから5万円で入手したという中古のトヨタ車「プリウス」の屋根を切断した自作の「オープンカー」に仲間4人と同乗してやってきた琉樹也さんの一団は、派手な袴を着込んだ若者が集まる会場でもひときわ目立っていた。

琉樹也さんは自動車解体工場に式典の2日前にこの車を持ち込み、仲間とともに車両の屋根を切断。車体は赤と白に塗り分けて、自身が生まれ育った地元である「与勝」、そして「成人式」の文字をペイントしたとのことだ。

「みんなで『おもしろいやんに(おもしろいだろ)?』って。友だちは小学校のころからの同級生。小学校のときは、しに(とても)仲がよかったんですけど、中学ではバラバラになって。でも、成人式(二十歳の集い)をきっかけにみんなでまた集まったって感じですね」

ちなみに琉樹也さんらは会場入りしてすぐに、待ち構えていた警察官に「保安基準を満たしていない」など道路交通法違反の疑いありとして検挙されている。

運転していた同級生がおとがめを受け、「罰金6000円で交通違反の点数は1」(琉樹也さん)。琉樹也さんら同乗したメンバーが1000円ずつ負担し合うことで“痛み分け”となった。

同じ会場では、改造バイクに乗り、敷地内で旗ざおを振り回して爆音を轟かせながらの暴走行為に及んだ6人組も検挙されており、琉樹也さんによれば、「あっちも罰金6000円の(交通違反)点数は1。僕らと同じ処分だったみたい」とのことだ。

改造バイクをパトカー数台で追尾し検挙する「大捕物」

ただ、県内では琉樹也さんらと同様に、改造した車両やバイクで「門出の日」をアピールした5人が道路交通法違反などの容疑で逮捕されている。それぞれ処分に違いが生じた理由は何なのか。

「公道でやったかどうかじゃないですか? 僕らもバイクのやつらも確かに暴走行為してましたけど、会場の敷地内を走って公道に出ようとしたところで止められましたから、軽い処分で済んだんだと思う」(琉樹也さん)

県南部の那覇市では12日、交差点を周回する改造バイクをパトカー数台で追尾し検挙する「大捕物」があった。

地元メディアによると、2人乗りのバイク2台が同日午後4時25分ごろ、信号無視をするなどの暴走行為を繰り返した。

1台がバランスを崩して転倒し、警察官に身柄を押さえられ、一緒に暴走行為をしていたもう1台は逃走したという。

身柄を確保された運転手の自称解体工の男(20)=那覇市=と、同乗者で会社員の特定少年(19)=同=はそれぞれ道交法違反(共同危険行為等の禁止)容疑で逮捕され、県警の調べに「二十歳の集いだったのではっちゃけてしまった」と容疑を認めたのだという。

この暴走行為により周辺は一時通行止めされるなどして渋滞が発生。大勢の見物客も集まっていたとされる。

当然、公道での迷惑行為は他者を巻き込む事故のおそれがある。

事情を知る関係者は逮捕された2人について、「身柄を取られてから48時間は留置場に入れられ、しっかりとしぼられたようです」と明かす。

「公道での暴走行為は一発免停。免許を取り上げられたら再取得に数カ月かかる。暴走行為で仲間らにアピールできたとしても、お金も時間も取られてしまうことは間違いない」(事情を知る関係者)というから、迷惑行為をした分、それ相応の代償を払う結果になってしまった格好だ。

「ほかの地域に負けたくない。ナメられたくないですよね」

それでも、「『成人式』のヤンキーは、以前に比べてずいぶんおとなしくなった」と話すのは、那覇市出身の40代の男性だ。

男性は「僕が若い頃なんかは、市内の学校も荒れている所が多くて、車両の屋根を切って国際通りを暴走するオープンカーが数台出ていました。中学ごとののぼりや旗が県庁前の通りを埋め尽くしていたり。学校ごとの対抗意識も強くて会場でのケンカ沙汰もしょっちゅうでした。その当時に比べると、今の子なんかおとなしいもんですよ」と振り返る。

「荒れる成人式」の沈静化は全国的な傾向ではあるが、「暴走」の仕方によっては、人身事故を起こし、人に怪我をさせてしまうことだってあり得る。

なぜ、それほど「晴れの日」でのアピールにこだわるのか聞いたところ、

「(ヤンチャぶりで)どこにも負けたくないというのがある。やっぱり地元が一番というのがあるんで、ほかの地域に負けたくない。ナメられたくないですよね」と琉樹也さんは話す。

琉樹也さんによると、彼らが自作の「屋根切断オープンカー」で登場した二十歳の集いでの振る舞いがメディアで報じられた後、本人のインスタグラムのアカウントで「フォロワーが増えた」のだという。

一方で、X(旧ツイッター)などのSNSでは、彼らの無軌道な振る舞いを批判する書き込みも目立つ。そういった「アンチ」の声は気にならないのか。

「僕らにとっては、このときの思い出が大事だから、文句があるんだったら目の前に来て言えって感じっすね。だいたい、僕、SNSそんなにやらないし。インスタは一応やっているけど、ほとんど見るだけ。…何が楽しいかわからないんですよね」(琉樹也さん)

倫理やルールから逸脱したあらゆる事象が糾弾され、炎上するこのご時世。「ネット炎上上等」と笑い飛ばす新「ハタチ」だが、ハメの外しすぎは迷惑行為であり、事故にもつながりかねない。

大人であることを自覚し、これからも続く人生を台無しにしてしまわないように願うばかりだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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