1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

〈元兵庫県議死亡〉「夜も眠れず、ずっと怖がっていた」「車の運転もできない状態だった」元県議の“逮捕のデマ”の拡散…今も続く攻撃に県警が異例の対応

集英社オンライン / 2025年1月20日 20時21分

「いったい何人が犠牲に」兵庫県政がらみでまた死亡者…百条委員務めた竹内前県議は「誹謗中傷に苦しんでいた」…訃報の後も「逃げた」と攻撃が続く〉から続く

兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑を調査する県議会調査特別委員会(百条委)の元委員だった竹内英明元県議が亡くなった。竹内氏は昨年11月に県議を辞職した後、一人で外出もできないほど衰弱していた。そんな中で、「警察の事情聴取を受けている」というデマが飛び交い、これが竹内氏をいっそう苦しめていたことが関係者の話で分かった。竹内氏の訃報が伝えられた後、立花孝志NHK党党首は「(竹内氏は)逮捕される予定だった」とSNSで発信。兵庫県警はトップの本部長が、事情聴取の事実も逮捕計画もなかったと県議会で公式に表明したが、竹内氏は亡くなった後で、ときすでに遅しだった。

〈画像〉斎藤支持者から“主犯格”として拡散されていた竹内県議の動画のスクリーンショット

「情けない」と、自分を責めていた竹内氏

斎藤知事に絡む一連の問題は、昨年3月に当時の西播磨県民局長・Aさん(60)がパワハラや公金不正支出などの疑惑を書いた告発文書を外部の10か所に郵送し表面化した。

昨年7月にAさんが自死とみられる急死を遂げてしまった中、竹内氏は独自に県職員らから告発を裏付ける証言や証拠を次々と入手し、百条委の調査をけん引した。

県議会での不信任案可決の後、失職を選んだ斎藤氏は知事選に再出馬した。昨年11月に行なわれた選挙で、「自分は当選を目指さず斎藤氏を応援する」として出馬した立花孝志氏は、「疑惑は嘘で、斎藤氏はハメられた」と演説やSNSで主張。斎藤氏の支持者を名乗るグループ「チームさいとう」がLINEアカウントの中に設けたオープンチャットを通じ、これらの主張が拡散された。

このオープンチャットには、斎藤氏のライバル候補や竹内氏らを誹謗中傷する動画のURLや、評判を落とすための効果的な虚偽宣伝のアイディアが投稿され、「デマの拠点」になっていたと地元メディア関係者は指摘する。(♯22

SNSで大量の誹謗中傷が飛び交う中、11月17日に斎藤氏が再選されると、竹内氏は翌18日に辞職願を出し、公の場から姿を消した。

「選挙の間、竹内さんのもとには直接的な抗議のメールや罵倒する電話が押し寄せ、深夜まで続いたそうです。

さらに、百条委委員長を務める奥谷謙一県議の自宅前で立花氏が街頭演説を行ない、『これ以上脅して奥谷が自死しても困るのでこれくらいにしておく』と言ったり、次は竹内さんや疑惑解明に熱心だった丸尾牧県議の事務所にも行くと発言したりしました。これで竹内さんや家族は『いつ誰が家に来るか分からない』と怯えるようになりました」(県関係者)

竹内氏は辞職願を出した際、「家族を守りたい」と周囲に話していたが、実際には本人もこのときすでに相当消耗していたという。親しい友人は「あの後、明るくて強かった竹内さんは全く違う人のようになってしまったんです」と話す。

「辞職後、竹内さんの状態はどんどんひどくなっていったんです。ずっとネガティブなことを口にするようになりました。県議を辞めたことで『奥谷君や百条委のみんなに申し訳ない』『自分が情けない』と、自分を責めていました。

また、夜は眠れず、誰かが訪ねてこないかずっと怖がっていて、電話の着信にもビクッとなると言っていました。親しい人は前もって電話をかけることをLINEで知らせてから電話をかけるような状況でした。一人で外出することも、車の運転もできなくなっていたんです」(竹内氏の友人)

SNSを見ないようにしていたが…

竹内氏は周囲の勧めでSNSを見ないようにしていた。だが恐ろしいのは、それでもデマにさいなまれたことだ。この友人が涙ながらに竹内氏の最近の様子を話した。

「竹内さんには、『斎藤知事をハメたのは竹内だ』などといった非難や攻撃が選挙中から投げつけられていました。辞職後もこうした非難に加え、『(竹内氏が)県警の事情聴取を受けている』という新たなデマまで飛びました。容疑自体がないし、外出もままならないのに聴取なんかできるはずがありません。

本人はSNSを見なければこんなデマに接することもなかったはずですが、周囲の人の中には、半信半疑になり、『こんな情報があるけど、どうなってるんや』と本人に聞く人もいたんです。

SNSで悪罵を投げつける人だけでなく、信頼していた人からもこんな言葉を聞かされた竹内さんは『自分は信頼されてなかったのか。政治家としてやってきたことは何だったのか』と口にしていました……」(竹内氏の友人)

竹内氏は一連の猛烈な攻撃が始まった10月下旬に、母を亡くす不幸もあった。自死の原因は明らかになっていないが、亡くなる直前、デマによる苦痛を強く感じていたことがうかがえる。

ところが竹内氏の訃報が流れた1月19日、こうしたデマはさらに勢いを増した。

「立花孝志氏は配信した動画(※現在は削除し謝罪)で『竹内元県会議員、明日逮捕される予定だったそうです。竹内元県議は明らかに犯罪をしていた可能性が高くて、警察に捕まるのがいやで自ら命を絶ったと。こう考えるのがもう間違いない話ですね』 と主張したんです。Xにも「竹内元県議は、昨年9月ごろから兵庫県警からの継続的な任意の取り調べを受けていました」と投稿しました。

さらに、選挙時のデマ起点となった『チームさいとう』LINEアカウント内のチャットメンバーが多く参加しているとみられる『斎藤知事応援』と名付けられたオープンチャットでは、『(竹内氏が)警察の事情聴取に耐えられなくなったんですかね…』『罪の意識か四面楚歌か』などと、またもやデマ書き込みが続きました。

立花氏は20日未明に関連のポストを全部削除しましたが、他にも著名人がXなどでこうしたデマを拡散しました。選挙中と同じことが再現されたようなものです。そこで見かねた兵庫県警が腰を上げました」(スポーツ紙記者)

神戸で震災追悼式典が終わっていない時間帯に選挙管理委員会が… 

兵庫県警は19日のうちに産経新聞と朝日新聞に対し、竹内氏への聴取の事実や逮捕予定はないと幹部が説明。読売新聞には「竹内氏は捜査の対象になっていない」と明言した。

20日には県議会で、「竹内元議員の名誉のためにもそんな(容疑のある)事実はないと確認してほしい」との県議の問いに対し、村井紀之本部長が「個別案件の捜査についての言及は通常は差し控えているが、事案の特殊性に鑑み答弁する」と前置きしたうえで、

「竹内元議員につきましては、被疑者として任意の調べをしたこともありませんし、ましてや逮捕するといったようなお話は全くございません。全くの事実無根でありまして、明白な虚偽がSNSで拡散されていることにつきましては極めて遺憾であるというふうに受け止めております」

と、竹内氏を苦しめた噂は完全な虚偽だと断言したのだ。

「この本部長の明確な答弁はかなり異例です。一連の問題を放置しないと宣言したと受け止められています」(県議会関係者)

兵庫県では、阪神・淡路大震災から30年となる1月17日までは斎藤氏に絡む問題でざわつくことを当局は避けるだろうとの見方が支配的だった。

しかしその日、神戸で追悼式典が終わっていない時間帯に、兵庫県選挙管理委員会は総務省に対し、先の知事選が公正性に欠けるものだったとして法整備を求める要望書を出している。

「立花氏が斎藤氏を支援した“2馬力”と言われた選挙手法と誹謗中傷、真偽不明の情報拡散の3つが主に問題視されました。斎藤氏は立花氏と意を通じ選挙活動をしたことを否定しています。現職知事を生んだ選挙が不公正だったという要望を、震災の追悼の時間が終わるのを待たずに県選管が出したことには意味がありそうです」(社会部記者)

一連の疑惑や選挙の問題は清算されるのか。県政の正常化を先頭を切って求めていた竹内氏の願いはかなうのだろうか。

※「集英社オンライン」では、今回の記事についての意見、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(旧Twitter)
@shuon_news  

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください