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《名古屋・3億円結婚詐欺初公判》「クソが…」被害女性が怒りに震えた“頂きオヤジ”からの恐怖の手紙「いつか会える日が来たら、お互いに笑って話せたら嬉しい…」

集英社オンライン / 2025年1月21日 18時57分

〈名古屋・3億円結婚詐欺〉15人の女性を手玉に取った刺青男は51歳・バツ2・子持ち…親戚の元市議は「人騙す努力したんだから褒めてやってくれ」〉から続く

昨年10月に偽造有印公文書行使容疑や詐欺容疑で逮捕された“結婚詐欺男”、江尻舟一被告(51)と武田佑氣被告(33)の初公判が、1月20日に名古屋地方裁判所で行なわれた。主犯の江尻被告と秘書役の武田被告の同時裁判で、裁判所には3人の被害女性も傍聴に来ていた。

【画像】詐欺の手口が綿密に書かれた“ミッションノート”

罪状認否に両名とも「間違いありません」

1月20日、マッチングアプリなどで女性と出会い恋愛感情を抱かせたうえで結婚をほのめかし、10名以上もの女性からおよそ3億円もの金を詐取した被告人2名の初公判があった。

裁判は主犯格の江尻舟一被告と、江尻と共に女性を騙すために共犯した武田佑氣被告の起訴状の読み上げと罪状認否が行なわれた。

まず入廷したのは、40代から50代の女性たちを「姫」と呼んでもてはやし、秘書役として江尻被告同様に女性を騙していた武田被告だった。

その出で立ちは白いトレーナーとグレーのズボンに茶色のサンダル姿。周囲を見渡し、席に被害女性ら3人が並んで座っているのを見つけたのか、ジィーッと睨みつけるようなふてぶてしい表情だった。

次に入廷した江尻被告は、黒い上下のスウェットに茶色のサンダル姿。武田被告とは対照的に、マスクをつけ目を細めるような表情で、誰とも目を合わせないように真っ直ぐ前を向いていた。

検察により起訴状を読み上げられ、その後の罪状認否には両名ともが「間違いありません」とはっきりと答えていた。

江尻被告は令和元年頃から無職で、マッチングアプリで知り合った女性に恋愛感情を抱かせ、返す当てもないのに金を“借りる”という名目でだまし取る行為を思いついたようだ。

そして令和2年頃に、それまでも顔見知りだった武田被告に声をかけ、共謀するようになった。

武田被告は江尻被告の秘書役を装って、同時進行していた複数の女性とのデートの日程調整や日常のLINEなどのやり取りを行なっていたという。

そして昨年、マッチングアプリを通じて出会ったKさん(当時47)から数回に分け、1億430万円もの金をあらゆる虚偽の理由をつけ詐取した。

被害はこの一件だけにとどまらない。検察は複数名の女性への同様の詐欺罪で、今後3月以降に追起訴していくという。

「留置場から届いた江尻被告の手紙には意味不明なことが…」

記者の隣には、以前に取材した、江尻被告に2000万円以上もの金を詐取された40代のシングルマザーGさんが座っていた(#4)

Gさんは裁判終了後もすぐには席を立たず、法廷にとどまったままだった。

わずか10メートル先にも満たない距離にいる武田被告と江尻被告が刑務官によって腰縄で結ばれる様を睨みつけていたのだ。そしてこう小さくつぶやいていた。

「バカ、クソが……!」

刑務官はその声に気づいてか、Gさんのほうをギロッと見た。なぜそのような言葉をつぶやいたのか、Gさんに聞いた。

「私のもとには、留置場にいる江尻被告から手紙が届いています。そこには“出所したら半年以内に完済できるようにする”と書かれていたし、“いつか会える日が来たら、お互いに笑って話せたら嬉しい”などと意味不明なことが書かれていました。出所後、半年で本当に返せるのか。現実的な返済計画を聞きたいです」

Gさんが「怒りに震えた」という江尻被告の手紙の内容

江尻被告からの手紙は7枚にも及ぶもので、謝罪に始まり、Gさんの家族に関することにまで触れられていたという。さらにはこんな記述も。

“(武田)佑氣は○○のことを気に掛けてつねに心配していた。すべて解決したら楽しく食事をしたいと話してたよ。俺はどうしようもないクソ人間だけど、佑氣は俺に言われてやっているだけで、本当にいい子だから許してあげてほしい”

「手紙には『Gは素敵な女性ですが、他の人とは違う愛情の芯みたいなものを感じます。どうかこの先、Gにとって素敵な人を見つけてほしいです。そして幸せになってください』とも書かれていました。

甘い言葉を書いて謝れば、まだ私が許すと思っているのでしょうか……」

Gさんは江尻被告に金を渡すために、幼稚園の頃から貯めていた貯金や2人の子どものためにかけていた学資保険などを解約してしまっただけでなく、車も売り払っていた。

「今は貯金額が20万円を切っている状態です。日々のパート代で得られる、月収20万円にも満たない金額で暮らしていくのは本当にカツカツです。

これまでこんなにお金に困ったことはありませんでした。お金がないことの惨めさをつくづく感じる日々です」

Gさんはそう言って涙ぐんだ。

「江尻被告は『留置場の中でも仕事の計画はすでに立ててる』と…」

また、40代前半で車に轢かれる大事故に遭い、リハビリ中のDさん(46)も「江尻と武田がどんな顔をして出てくるかを確かめたくて来た」という。

Dさんは江尻被告と武田被告が入廷して間もなく、閉廷を待たずに席を立った。

「武田がのうのうと法廷に入る様子と、江尻の淡々とした態度や目つきを見て、まったく反省してないと感じたし、こんな2人に私の大切なお金を渡していたんだと思うと吐き気がしました」

それでいたたまれず席を立ったという。それでもDさんは前を向く。

「今までのリハビリ生活と違い、これからは社会に出て働くことを決めたので、仕事が決まれば仕事を優先したいと思います。今後の公判を見にいく予定はありません。江尻や武田の今後よりも、これからの自分の生活を守っていくほうを優先します」

Gさんと共に裁判の傍聴に訪れていた江尻被告の知人・Aさん(40代)は、昨年12月に江尻被告が収容されている愛知県の中警察署の留置場に面会に訪れている。

そのときの様子を訊ねると、「まったく反省してない素振りだった」という。

「“留置場の中でも仕事の計画はすでに立ててる。でも、俺がやろうとしてる仕事の話は被害女性たちにはしないでほしい。その仕事さえ成功すれば出所後、半年で被害女性たち全員に金は返せるんだ……”そんなことをペラペラ話してました。

それで私、言ってやったんです。“あんたさ、さっきから自分のことしかしゃべってないけど、女性たちに申し訳ない気持ちはないの?”って。そしたら“悪いと思ってる”と言ってましたが、まったく反省してないと思います」

GさんやAさんと共に傍聴に来ていた被害女性のBさん(50代)は「江尻被告との思い出に区切りをつけるために来た」と言う。

「私は他の被害者に比べて被害額も低くて、江尻被告には400万円ほど渡し、そのうちの200万円は返ってきています。そのため被害届は出していません。

3人の子どもたちは成人していますので、学費などがかかることはありませんが、Aさんのようにまだ子どもたちに学費がたくさんかかる人は本当に大変だと思います。江尻被告はそれらの女性にどうお金を返していくつもりなんでしょうか」

1月16日には、3人の男性から金銭をだまし取り、その内容をマニュアルとして販売し利益を得ていた「頂き女子りりちゃん」こと渡辺真衣被告の、最高裁への上告が14日付けで棄却され、懲役8年6ヶ月、罰金800万円の実刑判決が確定したことが報じられた。

名古屋の「頂きオヤジ」にはどれほどの刑がくだるか。

取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班

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