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「少しでも農業に目を向けてもらえたら」石田卓也が俳優をすることで伝えたい“農作物への想い”

集英社オンライン / 2025年2月1日 15時0分

長澤まさみ、市原隼人、多部未華子……。若かりし頃、彼らとともに映画やドラマの第一線にいた俳優・石田卓也(37)。30歳のときに芸能界を離れ、農業に従事していた彼は今、何を目指しているのか?

【写真】畑で農作業をする石田卓也

ハワイで出会った農業の面白さ

「全然、何でも聞いてくださいね」

やや日焼けした精悍な顔つきの男の名は石田卓也。'02年『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』をきっかけに、芸能界入りをした。

『夜のピクニック』('06年)、『リアル鬼ごっこ』('08年)など映画主演作はいくつも。'06年公開の劇場アニメ『時をかける少女』では仲里依紗演じる主人公・真琴の相手役・千昭の声を務めている。

映画『ROOKIES-卒業-』('09年)、ドラマ『救命病棟24時』(第4シリーズほか)、ドラマ『アスコーマーチ~明日香工業高校物語~』('11年)など、俳優として存在感を示した有名作品は少なくない。

「休みはほとんどなかったですね。映画やドラマだけでなく、舞台もたくさんやらせていただきました」

充実した俳優生活を送っていた中、30歳のときに所属事務所を退所した。

「ずっと忙しかったので。フリーの時間が一気にできました。そして、せっかく時間ができたのなら、自分のやりたいことをやってみたいなと思って。まずは興味のあった、ヨガを始めました」

あれもこれもと手を出すより、ひとつのことにじっくり向き合う性分だと話す。ほどなく日本を飛び出し、ハワイ・ワイアナエでヨガを学んだという。

「語学? できませんよ(笑)。でも、支障はまったくなかったです。

ヨガの学校で提供される食事は、隣の農場で収穫された野菜が使われていて。最初に食べたベビーサラダに“なんでこんなにおいしいんだろう!”と衝撃を受けたんですよ!本当に感動して。

完全オーガニックで、無農薬。身体にいいものだと教えられ“これは自分でやるしかない!”と突き動かされました」

その農場でしばらくの間、学ばせてもらった。帰国すると、日本の農業を知る必要があると考え、長野へ。

「レタスやキャベツなど、葉物を育てている農家さんにお世話になりました。そこは、農薬も肥料も使用する“慣行農法”でした。5か月くらいいたかな?

その後は、オーストラリアのイチゴ農家さんへ。ここも慣行農法で、広大な砂漠のような農園には虫が全然いなくて、イチゴだけがポツンと育っている光景がなんか不自然に感じたんです。

そのとき、自分がやりたいのはもっと自然に寄り添った農法なんだと目標が浮彫りになりました」

その後は北海道に移り住み、“奇跡のリンゴ”で知られる木村秋則氏による自然栽培農学校に通いながら、オーガニックのアスパラガス農家で働いた。

「その後はタイ、スリランカ、インド。完全無農薬のファームを巡りながら、勉強をしていました。カカオやフルーツ、アルカナッツなどを育てる経験をさせてもらいました」

しかし地球全体を新型コロナウィルスが襲う。当時インドにいた石田も、コロナ禍で急遽帰国を決めたんだとか。

「まだ日本に帰るつもりは全然なかったんですけど、コロナがなければ、今も各国を巡っていたかもしれないです」

帰国した石田は、学びから実行へとフェーズを移す。

「僕がやりたいのは農薬を使わない自然な農法。

その土地で、前の方がどういう農法をしていたかなどを知る必要があります。もし、除草剤を撒いていた土地だったら、土づくりだけで何年もかかるので。

僕がやりたいことのハードルの高さは、もちろんわかっています。それでも、頑張ってみたいんですよね」

自分をきっかけに農業を知ってもらいたい 

日本や世界のあちこちで農業を学んでいた間、俳優業が頭によぎることは皆無だったと笑う。しかしながら石田は、映画『あしやのきゅうしょく』('22年)で俳優復帰を果たしている。

「食を扱った作品だったことも背中を押してくれましたが、何より、自分に声をかけてもらえることがうれしかったです」

カメラの前に立つのは約3年ぶりだったが、ブランクは感じなかったという。

「10代前半から俳優という仕事をやってきたので、身体が覚えていました」

俳優としては、今年の1月から始まったドラマ『晩餐ブルース』(テレビ東京系)にも出演している。農業はもうしないなのかと尋ねると。

「今までは知り合いの畑でやっていたんですが、今年から自分の畑を本格始動させる予定です。もちろん土づくりから。地方と東京、二拠点生活になっていくんじゃないかな」

と、目を輝かせながら期待に胸を膨らませている。

俳優業と農業。その割合は特に意識していないという。

「手探りでやっていく中で、バランスはきっと見えてくるんじゃないかな」

どちらかひとつを選び、極める。そんな選択はなかったのだろうか? ずっと饒舌だった石田はしばらく熟考し、こう答えてくれた。

「俳優の仕事で呼んでいただけるのはやっぱりありがたいし、すごくうれしいこと。そして、そこには楽しさがものすごくあるんですよね。

そして、俳優業をやっていれば日本の食や農業についての声を僕が届けられるかもしれない。

自分が俳優をやっていることで、少しでも農業に目を向けてもらえたら、俳優と農業を一緒にする意味があると思うんですよね」

取材・文/池谷百合子 

俳優・石田卓也、デビュー20周年で振り返る「始まり・農業・これから」 〉へ続く

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