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俳優・石田卓也、デビュー20周年で振り返る「始まり・農業・これから」

集英社オンライン / 2025年2月1日 15時0分

「少しでも農業に目を向けてもらえたら」石田卓也が俳優をすることで伝えたい“農作物への想い”〉から続く

映画『夜のピクニック』『時をかける少女』(ともに'06年)、『リアル鬼ごっこ』『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』(ともに'08年)、『ROOKIES-卒業-』('09年)……。特に2000年代、多くの人気作に出演し続けた俳優・石田卓也(37)。農業を学んだ約3年は活動をしていなかったが、今年でデビュー20年を迎える。彼の俳優としてのこれまで、そしてこれから…。

【本人提供写真】畑で農作業をする石田卓也、たくさんの玉ねぎを抱えて

恵まれていたデビュー当時の自分

15歳のとき『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』('02年)でフォトジェニック賞を受賞。グランプリは平岡祐太、審査員特別賞は木村了、ファイナリストには加藤和樹もいた。

「近所の美容師さんが応募書類を送っていて(笑)。芸能界への憧れはまったくありませんでした。テレビも見なかったし、俳優という仕事も認識していなかったくらいで」

中学卒業後は庭師を目指し、修業をしていたと話す。

「まだ若かったので“一人前の親方になる”という志が固まっていたわけじゃなくて。ただ、物を作ることとお金を稼ぐことが楽しかったんですよね」

うっかり(?)開いた芸能界への扉。“せっかくだから”とくぐってみると、レッスン&オーディション漬けの日々だった。

「最初の1年はまったく仕事がなかったんですよね。初仕事は時代劇映画『蝉しぐれ』('05年)。知識も経験もなくて、かなり大変でした。

“おはよう”というセリフを1日中繰り返して(笑)。何が違うんだか、当時の自分では全然わからなかったんですよ。でも、負けず嫌いなのもあって、“できるまでやってやる!”という気持ちで食らいついてました」

現場で奮闘する姿を見たスタッフがオファーをしたドラマ『青春の門・筑豊編』('05年)でデビューし、作品を重ねるごとに、番手は上がっていく。

「『リアル鬼ごっこ』のオーディション映像を偶然見た細田守監督が“この子がいい”とキャスティングしてくれたのが、『時をかける少女』の間宮千昭の声なんです」

その後、主演した『夜のピクニック』や『グミ・チョコレート・パイン』でも高評価を得る。

「ありがたいことに、若いころは主演をたくさんやらせていただいて。本当に恵まれていました」

20代になると、映画『ROOKIES-卒業-』('09年)、ドラマ『クロヒョウ 龍が如く新章』('10年)、『アスコーマーチ~明日香工業高校物語~』('11年)など、ヤンチャでいかつい男子が石田の十八番に。

「その頃の役柄の印象が強いんですかね? 短髪で眉毛が細くて。実際、昔は我が強かった。それが映像にも出ていたんでしょうね(笑)。

最近、“もっと怖い人かと思ってた”って会った人によく言われるんですよ(笑)。そんなイメージを持たれていることすら、わりと最近知ったんですけどね」

農業を知って「心も身体も両方安定する」

30代後半を迎えた現在、我の強さは“ほぼゼロに近い”と笑う。それは30歳で芸能界を離れ、農業を学んだ経験が関係しているのだろうか?

「年齢と経験、両方あるんだと思います。昔は“自分が頑張れば何とかなる”なんて思っていましたが、まったくそうじゃないと学んだんです。

自然の力というものを目の前にして、自分は本当に微力で自然の中ではほとんど役に立たないということを農業を通して知った。あるがままを感じ、観察することで、自分の在り方がわかるようになりました」

あくまで個人的な意見だと前置きしたうえで、俺が俺が”と主観的な人は、はたから見ていてしんどそうに映るという。

「俳優業って、身体と精神が安定していないとなかなかできない。他の人間を演じるので、そうでない状態だとすごくストレスになるんですよね。そうなるとつらいだろうなって思う。

僕は農業を知って、土をいじったり、自然に触れていると、心も身体も両方安定するし、より良い状態になれるってわかったんです」

今年、デビュー20年を迎える石田。先日、同期とも言えるような旧知の俳優・高良健吾と食事に行ったという。

「そのとき“必ずしもリアルな芝居がお客さんに届くわけではないよね”っていう話になって。僕たちは俳優だから、リアルを超えられるような芝居がひとつのゴールなのかもしれない。

あ、でもいつもこんな演劇論を交わしているわけじゃないですよ。本当にたまたまで。いつもそんな話をしてたら、面倒くさいヤツじゃないですか(笑)」

そんな高良とは、昨年公開された映画『罪と悪』で久しぶりに共演している。

「若いころから、厳しい現場で、一緒に頑張ってきた仲なので、“戦友”かもしれないですね。

久しぶりに一緒に仕事をすると“こんな人間になったんだな”というカッコよさを感じて。もちろん、そんなことは言葉には出しませんけど(笑)。

そんな瞬間は、俳優を続けている中でのひとつのご褒美かもしれないですね」

今後、自身がこうありたいという俳優像を聞くと、少し悩んでこう話し始めた。

「うーん。何て言ったらいいんだろう? 言葉選びが難しい……。でもこれ、ちゃんと言葉にしたほうがいいですよね?(笑)」

こちらにも笑顔で気を使いながら、最近、落語を見に行った話をしてくれた。

「そのときにも感じたんですが、“達人”“名人”と呼ばれる方って、技術はすごいのにリラックスしていて、余裕が漂っている。重ねてきた目には見えない経験が、人間として出ていると感じるんですよね。だからこそ、引き込まれる。

いつか自分も、そうなれたらいいなと思いますね。俳優としてはもちろん、人間として」

答えにくいであろう質問にもはぐらかさず、真摯に答えてくれる。そして、よく笑う。石田卓也の眼差しはとても温かであった。

取材・文/池谷百合子 

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