〈セブン-イレブンのコメ値上げ〉値下げ戦略からたった4か月で一転…“おにぎり難民”がディスカウント系スーパーに流出…コンビニ離れがさらに加速も
集英社オンライン / 2025年1月28日 7時0分
「セブン-イレブン」が1月27日より順次、おにぎり・お弁当の一部商品の値上げ・規格の見直しを開始した。対象商品の中には、昨年9月から展開した低価格で販売する「うれしい値!」シリーズのものも含まれているが……。
わずか4か月で値上げする商品も…
対象となる商品とその値上げ幅は以下の通りだ(セブン-イレブンの公式ホームページでの発表参照)。
<おにぎり>
・手巻おにぎり 炭火焼熟成紅しゃけ 税抜175円→税抜185円
・手巻おにぎり 具たっぷり辛子明太子 税抜175円→税抜185円
・手巻おにぎり 北海道産昆布 税抜128円→税抜150円
・手巻おにぎり 梅 税抜128円→税抜150円
・赤飯おこわおむすび 税抜140円→税抜158円
・舞茸おこわおむすび 税抜140円→税抜158円
・香ばし醤油の焼おにぎり 税抜118円→税抜128円
・塩むすび 税抜108円→税抜128円
<お弁当>
・五目チャーハン 税抜323円→税抜350円
・若鶏のジューシー唐揚げ弁当 税抜530円→税抜580円
・幕の内弁当 税抜428円(「幕の内398」(税抜398円)が該当?)
今回の発表で、おにぎりは最大で28円、お弁当は最大で60円の値上げとなる。
こうした値上げの背景には、予想を上回るコメ価格の高騰がある。コメの値段は昨年から高止まりしており、2025年1月は4ヶ月連続で過去最高を更新。政府も対応に追われ、1月24日には備蓄米の放出について検討されていることが報道されたばかりである。
もはやセブン-イレブンに限らず、コメを主食とする私たちにとってはこうした値上げはやむを得ないことだが、小売関係者の見解を聞くと、この値上げは他社のコンビニとは異なる意味合いを持ちそうだという。
小売関係者がその実情を指摘する。
「セブン-イレブンは昨年から、消費期限が近い商品を値引きする『エコだ値』、一部商品を値下げして販売する『うれしい値!』を実施してきました。
同社はこれまで『少し高くても品質がよい』ことを売りにしてきましたが、近年の急激な物価高に伴い、この戦略に見直しの必要が生じたからです。昨年の中間決算では同業他社であるファミリーマート、ローソンが増益しているのに対し、一社だけ減益という結果になりました。そこで、積極的な値下げ戦略に踏み切ったものと思われます。
実際、同業他社であるローソン、ファミリーマートは意欲的な値下げ戦略を行い、それにならった形でしょう」(小売関係者、以下同)
どこまで「コンビニ離れ」が進むか
ローソンでは「盛りすぎチャレンジ」と題して、商品の値段はそのままで内容量を増やすキャンペーンを実施、ファミリーマートでも「お値段そのままデカくてうまい!! たぶん40%増量作戦」という、類似のキャンペーンが行われている。
こうした他社の戦略に影響を受けての「うれしい値!」だったが、その矢先での「値上げ」である。
「例えば『塩むすび』など、『うれしい値!』対象商品が値上げすることもあり、一部の消費者からは『これじゃあ、うれしくない値!だよ』といったコメントさえ出ています。
もちろん、コメの価格が上昇することに伴う値上げのため、仕方のない部分は大きい。ですが、『結局、値下げしたいのか、値上げしたいのか、よくわからない』と消費者から思われてしまっても仕方ないでしょう。
さらに、セブンは昨年の減益報道の際、弁当の『上げ底』疑惑などが浮上し、多くのメディアによくない形で取り上げられてしまいました。同社に対する消費者の目線は厳しくなっていると言わざるを得ません。
今回の報道では『値上げ』だけでなく、『規格の見直し』も同時に公表されています。『規格の見直し』とは、値段はそのままで具材の量や器のサイズを変更することを指します。
消費者の反応を見ていると『規格の見直しだといって、本当は容器の底を上げるんじゃないか』といった誤解がすでに生まれています。
今回の値上げは、他社に比べてセブンへの不信感をさらに高める可能性が高いのではないでしょうか」
加えて危惧されるのは、そもそもの「コンビニ離れ」だ。
「現在はミニスーパーの『まいばすけっと』が都心を中心に大きく出店を伸ばしています。また、全国的にはディスカウントスーパーの『オーケー』が関西初出店を果たしたり、同じく激安食品スーパーとして知られる『ロピア』も出店を拡大しています。
こうしたスーパーで売られているおにぎりは多くの場合、コンビニよりも安い。まいばすけっとには税込99円のおにぎりがありますし、オーケーに至っては税込70円のものもある。コンビニのほぼ半額です。
そもそも、おにぎりというシンプルな商品だけでみれば、品質にそこまで差が出ません。であれば、コンビニでおにぎりを買っていた層がスーパーに流れていくシナリオも考えられるでしょう。現在、『中食』需要の増加に伴って食品スーパーはどんどんお弁当や惣菜に力を入れています。そんな流れの中では、全国的に『コンビニ離れ』が起きてもおかしくはありません」
消費者の価格に対するセンサーは敏感かつシビアだ。今回の値上げがさらなる「セブン離れ」につながらないことを祈るばかりだが……。
取材・文・撮影/谷頭和希
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