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〈フジテレビ・カオス会見〉批判は文春にも…追及されていたフジは「女性を守るために番組を続けた」と発言したが同情論も、ところでマナー違反記者たちの責任は?

集英社オンライン / 2025年1月28日 22時16分

フジテレビは、昨年退職した女性社員A子さんに「人権侵害の疑い」がある行為を行なったとみられる中居正広氏を、問題把握から約1年半、看板番組で起用し続けた。その理由を同社は1月28日未明まで続いた長時間の記者会見で、A子さんを守るためだったと弁明。自社の社会部記者からも疑念の目が向けられた説明の真偽は第三者委員会の調査にゆだねられる。社長の首をすげ変えたフジは会見でアピールをした“出直し”を果たせるだろうか。

〈写真〉会見終了間際、空席が目立つ記者席。なかには話が通じない“自称記者”も…

中居氏の番組の終了のタイミングをずっと考えていた」と強調した港氏だが…

フジテレビによると、中居氏とA子さんの間では2023年6月に中居氏のマンションで人権侵害が疑われる問題が起き、A子さんはその後心身の不調で通常の勤務が続けられない状態になった。

A子さんの様子がおかしいと感じた同僚が、問題が起きたことをA子さんから聞き出して周囲が把握。港浩一社長(1月27日付で退任)には約2ヶ月後に報告が上がっている。

1月27日夕方から始まった会見で港氏は、この問題を聞いた時「怒りという言葉でいい」という感情を中居氏に抱き、「(知った)当初から中居氏の番組の終了のタイミングをずっと考えていた」と強調した。

だが、当時フジテレビは松本人志氏と中居氏をMCに起用し放送していた「まつもtoなかい」を終了する判断はしていない。

その理由を港氏は「女性(A子さん)のコンディションをずっと意識していた。(番組を)やめることが刺激につながるのはよくない」と思ったからだと説明する。

結局「まつもtoなかい」は、松本人志氏がスキャンダルによる芸能活動を休止しても、「だれかtoなかい」と看板を掛け代えて継続され、24年12月まで続いた。

港氏は「(24年)夏にA子さんが退社するといい、体調がよくなったと聞いたので番組の終了を決めた。11月に中居氏に番組の打ち切りを伝えた」と話す。

ところがフジテレビは番組終了の動きが出る前に、中居氏を起用した特番をスポーツ担当部署が制作し放映している。

中居氏出演番組を終えることさえ刺激につながりかねないため避けた、との説明と矛盾するようにもみえる中居氏の露出機会の拡大。

港氏は、問題の情報が社内で拡散するのを抑えた結果、社内のコンプライアンス推進室にも報告せず、問題を知らないスポーツ番組担当らが中居氏を起用してしまった、と弁解した。

さらにコンプライアンス問題の責任者である遠藤龍之介副会長は、昨年末になって週刊誌の記者から初めて知らされたと主張。当然、持ち株会社のフジ・メディア・ホールディングス(HD)にも情報は上げられていなかったというのがフジ側の説明だ。

フジテレビ社会部の記者も「本当に申し訳ないと思っている」と

記者会見ではこうした説明に対し、当のフジテレビ社会部の記者も納得しない様子で質問に立った。

同記者は「本当にこういうことになって申し訳ないと思っています。少しでも事実関係の解明に役立てばと思って質問します」と述べた上で、

「みなさんが一番聞きたいと思っていることは、女性の、誰にも知られずに、という気持ち、プライベートな領域でのことを盾にして、港社長が情報隠ぺいをしているんじゃないかということに尽きると思います」と、港氏の説明は何かを隠蔽するための虚偽ではないかとの疑念を呈した。

その上で、社のコンプライアンス委員会トップで上役である遠藤氏が昨年12月まで問題を知らなかったことは「非常に不可解」と指摘し、遠藤氏に弁解を求めた。

遠藤氏は、自分が知らされなかった理由は港氏が言った通りだと同調しながら、「それであっても共有すべき問題だ」と発言し、港氏の判断に問題があったとの考えを示した。

コンプライアンス担当者に情報を共有しなかった結果、フジテレビは実際に何が起きたのかも確認できない状況となっている。

港氏を中心にした社内のごく少数の事情を知る人物の中には問題発覚後、中居氏から事情を聴いた幹部もいるが、実態解明を目的としたヒアリングではなかった。

昨年12月に「女性セブン」と「週刊文春」が報じた後にようやくフジはコンプライアンス担当者が中居氏から2回ヒアリングをしている。

この一連の接触で中居氏が「A子さんとは異なる認識」を持っていることを把握しているとフジテレビは説明しており、A子さんと中居氏の主張は対立しているもようだ。

さらにフジテレビは、実際にはA子さん自身からも事実解明を目的とした事情聴取ができておらず、報道機関でありながら、行なってこなかったこれら基本的な作業は今後第三者委員会の調査にゆだねられることになる。

会見前に週刊文春が訂正記事を出していたことが発覚

27日夕方からの会見では、「23年6月の問題はフジテレビの編成幹部がA子さんを中居氏に“上納”する形で行なわれており、社内にそうした行為を容認する土壌があったのではないか」との見地に立ち、新旧経営陣を追及する質問が多かった。

「この問題をリードした週刊文春が、A子さんは中居氏のマンションでの会食を編成幹部に誘われた、と当初報道したためです。これに対しフジ側は『編成幹部は問題が起きた日の会食には関与していない』と頑強に否定し、記者が納得せず質問を繰り返す場面が多くありました。

結局フジ側は、『編成幹部がほかの時期に、指摘される行動がなかったかも第三者委員会が調べることになる』との立場を説明しました」(雑誌編集者)

一方、文春は会見の前に、“A子さんは中居氏本人から誘われた”“A子さんは編成幹部がセッティングしている会の延長と認識していた”ということがわかった、との訂正記事を出していた。しかし、それが知れ渡ったのは会見後だった。

「文春の訂正は、問題が起きた日に関してはフジの説明が正しいことを示しており、会見で出た多くの質問は何だったのか、ということになります。

出席した記者の多くが、独自に取材したネタを当てるわけでもなく、文春報道を頼りにしている現実も図らずも露呈した形です」(同編集者)

60~70代の幹部が10時間超の会見で質問攻めに遭う様子をフジテレビはすべて放映した。

その結果、SNSでは記者たちの質問が稚拙で態度が悪いという非難で炎上状態になり、「フジテレビかわいそう」がXのトレンド入りもしている。

「世間への影響がとてつもなく大きかっただけに、批判は文春にも集まっている。だが独自の取材をせずコタツ記事を書いたり、会見で騒ぎ立てたりした“自称・記者”たちにも責任はあるはずです」(ベテラン週刊誌記者)

フジテレビが抱えるコンプライアンスの大きな欠陥は修正できたと示せるものはまだなく、経営陣の説明にも不審な点がある中、同社を取り巻く風向きは会見を機に急に変わり始めている。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
写真/村上庄吾

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