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アメリカ大陸初の “マンガ”展覧会が秋に開催! 荒木飛呂彦、尾田栄一郎、高橋留美子、田亀源五郎、谷口ジロー、ヤマザキマリ、山下和美、よしながふみら8人のマンガ家の原画700点超えを圧倒的スケールで!

集英社オンライン / 2025年2月1日 12時0分

アメリカ大陸では初となる、“マンガ”の展覧会が2025年9月よりサンフランシスコで開催されるという。2019年の大英博物館での展示以来の超大型マンガ展、現時点で発表されている詳細をレポートする。

【画像】ONE PIECEの名シーンと言えば

現代のもっとも重要なビジュアルメディア

日本ではマンガの原画展が開かれることは一般的であるが、世界的にはマンガはアートとしてはまだ評価が定まっていない。

記憶に新しいのが、2019年にイギリス大英博物館で行われた「The Citi exhibition Manga」展だ。日本国外としては空前の規模で行われたマンガ展では、葛飾北斎や河鍋暁斎(かわなべきょうさい)など江戸時代の絵師から、手塚治虫、鳥山明、井上雄彦ら、現代までのアーティストの作品が集められ、17万人以上を集客、大成功を収めた。

そこから6年、世界中のあらゆる場所でますます人気と注目が高まる日本のマンガ。このたび2025年の9月にアメリカ大陸では初となるマンガ展「Art of MANGA」展が開催されるという知らせが届いた。

会場となるのはカリフォルニア州サンフランシスコのデ・ヤング美術館。同州の最大の公立芸術機関「ファイン・アーツ・ミュージアム・オブ・サンフランシスコ」が主催する。

「Art of MANGA」では、日本の出版社やプロダクションが垣根をこえて協力、現代日本を代表する人気マンガ家8名による700点を超える原画を展示。そしてその多くが、アメリカでは初公開だという。

荒木飛呂彦、尾田栄一郎、高橋留美子、田亀源五郎、谷口ジロー、ヤマザキマリ、山下和美、よしながふみ合計8人の原画などを個別展示。それに加えて、赤塚不二夫、ちばてつやに学ぶマンガの歴史から、田名網敬一(たなあみけいいち)作品に見る、マンガの新しい活用法による未来への展望も語られる。

会期は2025年9月27日(土)〜2026年1月25日(日)までの予定。

これまでアメリカ大陸では、コミコン等での小規模な展示にとどまっており、総合的なアートとしてマンガを取り上げた展覧会は開催されたことがなかったが、アメリカ大陸の美術館として初めてデ・ヤング美術館が焦点を当てた。

これを機に日本のマンガ文化がさらに世界で評価されることを願うばかりだ。

ディレクターからのメッセージ

「画像によるダイナミックな物語表現であり、世界中で何百万人もの読者を魅了するマンガは、現代のもっとも重要なビジュアルメディアのひとつです。サンフランンシスコは長い間、米国における日本との文化交流の入り口であり続けてきました。その場所で「Art of MANGA」展を開催し、マンガというナラティヴアートの芸術性とパワーを紹介しつつ、その伝統を讃えることができ、うれしく思います」ファイン・アート・ミュージアム・オブ・サンフランシスコ、ディレクター兼CEO トーマス・P・キャンベル

各作家について(作家名五十音順)

赤塚不二夫(あかつか・ふじお)
ギャグマンガの分野を画期的に切り拓いた「ギャグマンガの王様」。貸本マンガでキャリアをスタート。六つ子が主人公の『おそ松くん』、家族ものの『天才バカボン』で、ギャグマンガの巨匠としての地位を確立した。

誇張され、ナンセンスな世界で活動するキャラクターたちには、赤塚自身の漫才やスラップスティックへの関心を色濃く反映している。また、『ひみつのアッコちゃん』は、日本でもっとも早い時期の「魔法少女」ものである。

これらのマンガはアニメ化もされ、50年たった今でも、幅広い世代からの共感を得ている。 

導入コーナーでの展示予定作品:『ギャグほどステキな商売はない』(廣済堂出版) 、『おそ松くん イヤミの水戸黄門:そのころの江戸はこうだった!!』『ギャグ+ギャグ もーれつア太郎外伝:サイケサイケビーチにて』(小学館)、『天才バカボン:ねむれないのだ夢の中』(講談社)

荒木飛呂彦(あらき・ひろひこ)
代表作は1986年から現在まで続く『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ。洗練された芸術性と視覚的な魅力をもつシリーズの累計発行部数は1億2000万部以上。その物語は、強い信念を持つことで人は内側から輝くということを読者に伝える。

荒木のスタイルは、瞬時に彼の作品とわかる、非常に洗練されたダイナミックなポーズが特徴だ。“スタンド”と呼ばれる超能力の具現化も重要な要素である。彼のアートは、古代ギリシャおよびミケランジェロやイタリア・ルネサンス期の芸術家に着想を得た「精神と身体の融合の美」という概念を称賛し、それを心惹くストーリーラインに組み込んでいる。

展示セクションでは、マンガ家としての荒木と、その創作課程などに焦点を当てている。展示作品はすべて手描き。絵を描くプロセスを紹介する映像と共に、12点の等身大パネル作品『裏切り者は常にいる』が日本国外で初めて公開される。

展示予定作品:『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ、『岸辺露伴は動かない』(集英社)

尾田栄一郎(おだ・えいいちろう)
『ONE PIECE』は、物語を伝える圧倒的な力、世界観、そしてユーモアの面で、批評家、読者双方から史上もっとも重要な傑作マンガのひとつと評されている。1997年7月に「週刊少年ジャンプ」で連載を開始して以来、コミックスの巻数は110巻を数え(2025年1月時点)、全世界で5億1千万部以上の発行部数を誇る(デジタル版除く)。

ストーリーは、若き海賊モンキー・D・ルフィが、伝説の秘宝“ONE PIECE”を求めて旅立ち、道中で真の友情を見つけながらあらゆる困難に立ち向かう姿を描き、常に時代の精神を反映している。

このセクションでは、多くの少年マンガの読者を巧みに魅了する尾田のさまざまな芸術的技法を紹介する。尾田自身が描き彩色した原画を鑑賞できる貴重な機会であり、作品を読む時の新たな洞察につながるだろう。

展示予定作品:『ONE PIECE』(集英社)

高橋留美子(たかはし・るみこ)
日本の宝とも呼ぶべき高橋は日本マンガ史においてもっとも尊敬され、影響力の強い作家のひとりである。ユーモア、ロマンス、ファンタジーといった要素を巧みに融合させた心を掴む物語によって高い評価を得ており、マンガという媒体の可能性を常に押し広げてきた。 20歳でデビューして以来、数々のヒット作を生み出し、『らんま1/2』では伝統的な性別の枠組みに挑戦し、日本のユーモアとコミカルな武道を世界中の読者に紹介した。

高橋は、長らく男性が主流だったマンガ業界で性別の壁を打ち破り、作品のコミックスは累計2億3,000万部以上を発行。2019年から連載中の最新ヒット作『MAO』では、アイデンティティの探求やロマンスを織り交ぜながら、超自然的かつ歴史的なテーマを描いている。

展示では、視覚を通して物語を伝える名手から、マンガの構成と読み解き方を学ぶ。高橋のマンガは、超自然的なものへの関心を通し、マンガがいかにして読者を誘い、別世界への扉を開けるのかを教えてくる。全原画は、高橋本人とアシスタントによって描かれている。

展示予定作品:『MAO』『人魚』シリーズ、『犬夜叉』『境界のRINNE』『らんま1/2』(小学館)

各作家について(作家名五十音順)

田亀源五郎(たがめ・げんごろう)
著名なマンガ家であるとともに、ゲイ・エロティックアートの分野で卓越した存在。彼のマンガは男性同士の愛を中心に、アイデンティティ、偏見、カミングアウトへの葛藤を描写している。国際的な賞を受賞した、『弟の夫』は、実写ドラマ化もされ、日本人の心、思考や態度に変化をもたらした。日本郊外の地域社会を舞台に、家族、偏見、受容等のゲイにまつわる問題を描いている。『僕らの色彩』はカミングアウトに伴うさまざまな葛藤や課題を浮き彫りにし、『魚と水』では、料理や食事を通して関係を深めていく、タイプの異なるふたりの男性の恋愛関係を描いている。

展示では、社会運動のひとつの形態として、また個人のアイデンティティや指向を称える手段として、田亀がどのようにマンガを用いているのかを紹介する。作品はデジタルで制作されている。

展示予定作品:『弟の夫』『僕らの色彩』『魚と水』(双葉社)、オリジナルイラスト

田名網敬一(たなあみ・けいいち)
グラフィックデザイン、ファインアート、アニメーションなどを横断して創作を続けたアーティスト。

第二次世界大戦中の自身の体験をアメリカのポップカルチャーと融合させ、戦後のアンダーグラウンドなアートシーンを牽引。その作品は、消費主義、エロティシズム、トラウマなどを反映し、日本の伝統的モチーフと現代の視覚文化の橋渡しともなっている。

2021年末、かつて日本の出版印刷において隆盛を誇ったグラビア印刷の稼働停止を機に、「集英社マンガアートヘリテージ」が、グラビアプリントによるアートシリーズ制作を依頼。赤塚不二夫作品のアイコニックなキャラクターやユニークな描き文字を引用し、赤塚への敬意に満ちた作品を86歳で発表した。その創作活動はプリント作品にとどまらず、茶室のインスタレーションや着物制作にまで及び、2024年に88歳で逝去するまで創作を続けた。

「集英社マンガアートヘリテージ」セクションでの展示予定作品:『TANAAMI!! AKATSUKA!!』シリーズ

谷口ジロー(たにぐち・じろー)
谷口ジローは、人間の感情と自然界の交差点を深く探る作品を生み出したマンガ家だ。鳥取県鳥取市で育ち、早くからヨーロッパと日本双方の芸術的伝統に惹かれていた。彼の独特なスタイルは繊細な描線と映画的な物語表現を組み合わせたもので、作品は思い出、ノスタルジア、人間と環境の関係性といったテーマに深く踏み込んでいる。谷口の代表作であり批評家から高い評価を得た『遥かな町へ』にその一端がみられる。

谷口はまた、まるで異なる世界観で『地球氷解事紀』のようなSF作品も手がけた。この作品は、破壊された地球が再生し、自ら新たな生命を宿し始める未来へと読者を誘う。展示原画はすべて谷口と彼のアシスタントによって、手描きで描かれ彩色された。

展示予定作品:『孤独のグルメ』(原作:久住昌之/扶桑社)、『ふらり。』『地球氷解事紀』(講談社)、『遥かな町へ』(小学館)、『ヴェネツィア』

ちばてつや
ストーリーマンガの第一人者。スポーツ好きで、ゴルフマンガ『あした天気になあれ』をはじめ幅広くスポーツを描いて、この分野の発展にも寄与。マンガ作品にその情熱が反映されている。初期には少女マンガなど他ジャンルも手掛けていた。

天涯孤独の少年が、刑務所での生活を経たのち、ボクシングを通して生きる意味を見出していくという物語の『あしたのジョー』は、原作を高森朝雄、漫画をちばが担当した共同作品であり、戦後初期の日本の労働者階級の夢や苦闘を見事に描き出した。

86歳の現在もなお、後進の指導を続け、定期的に作品を描いている。連載中の『ひねもすのたり日記』は、自身のマンガとの人生を綴った自叙伝的作品である。2024年にマンガ家として初となる文化勲章を受章した。

導入コーナーでの展示予定作品:『あしたのジョー』(原作:高森朝雄)『あした天気になあれ』(講談社)、『ひねもすのたり日記』(小学館)

各作家について(作家名五十音順)

ヤマザキマリ
マンガ家のみならず、肖像画家、絵画修復家、執筆家、イラストレーターでもある。東京に生まれ、人生の半分以上をイタリア、シリア、ポルトガル、ブラジル、アメリカなど海外で過ごした。ヤマザキは、西洋の史実・物語や伝記をマンガのストーリーにすることに優れており、内面的な感情の移り変わりを巧みに捉え、視覚的な物語として表現する。

実在の人物だけでなく、時には架空の人物の人生を描き出すことで、時空を超越した人間性についての教訓を描いている。マンガの枠を超え、自身の作品の脚本化や映画製作者、作家との共同プロジェクトにも貢献し、その芸術性の幅をさらに広げている。近年では、2021 年に手がけた山下達郎の油彩肖像画がアルバム『SOFTLY』のジャケットに用いられるなど、音楽、視覚芸術、マンガの間の相乗効果をより効果的に浮き彫りにした。

展示では、手描き、デジタル制作原画の双方を展示する。ヤマザキがギャグやユーモアを通じて人生の重要な教訓を伝え、文化の壁を越えることでマンガが効果的な国際言語となり得ると理解できる。

展示予定作品:『プリニウス』(とり・みき共著/新潮社)、『テルマエ・ロマエ』(KADOKAWA)、『続テルマエ・ロマエ』(集英社)『スティーブ・ジョブズ』(講談社)、『美術館のパルミラ』

山下和美(やました・かずみ)
1970年代にデビュー。一目でそれとわかる繊細な線描と、内面世界や知覚を見事に捉えたキャラクター描写が高く評価された『ランド』は、第25回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞、そのほか数々の賞に輝いている。

山下は、社会的なプレッシャー、存在に関する問い、人間関係の複雑さ、兄弟姉妹間の対立や価値観などの信念体系を鋭く探求する一方、身の回りの日常をテーマにしたマンガも描いている。ジャンル間の伝統的な境界線を巧みに曖昧にした作品で、マンガ界において類を見ない存在となっている。

近年、地元の文化財建築を保護するために立ち上げたクラウドファンディングをテーマにしたマンガでも成功をおさめた。マンガという媒体が、その枠をこえていかに哲学的、社会的な複雑な問題に取り組むことができるのかを示す例として際立っている。

手描き原画、デジタル制作原画の両方を展示する。山下が取り組むテーマや、願わしい環境のために行動を呼びかける彼女のメッセージは、マンガが変化を促す媒体となりうること、そしてその力を明確に示している。

展示予定作品:『ランド』『不思議な少年』(講談社)、『数寄です!』『続 数寄です!』『世田谷イチ古い洋館の家主になる』(集英社)

よしながふみ
多彩なストーリーテリングと卓越した線描で高く評価されている、才能豊かな作家だ。異性愛をテーマとしても、関係自体を中心とするのではなく、愛、魅力、権力についての概念を覆し、存在感のあるキャラクターを通じて、日常生活に新鮮な視点を与えてくれる。『きのう何食べた?』では、中年の男性カップルが直面する現実や課題を、料理や食事を通じて描く。男性に代わって女性が支配する架空の江戸時代を描いた『大奥』は、2009年の第13回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した。どちらもに実写ドラマ化されている。

題材は非常に多岐にわたり常に深い洞察を伴う。初期作品である『フラワー・オブ・ライフ』では同人誌の世界に踏み込み、「このマンガがすごい!2025」(宝島社)オンナ編第1位を獲得した『環と周』では、さまざまな主人公のオムニバスで、永続する愛の変遷を描いた。2024年には最新作『Talent –タレント-』の連載も開始している。

本展では、マンガの原画を続きページで展示して、物語展開と、視覚的に物語を構成するプロセスに焦点をあてる。

展示予定作品:『きのう何食べた?』(講談社)、『大奥』『フラワー・オブ・ライフ』(白泉社)、『環と周』(集英社)

 「Art of MANGA」展覧会
主 催 : ファイン・アーツ・ミュージアム・オブ・サンフランシスコ
協 力 : KADOKAWA、講談社、集英社、小学館、新潮社、スマイルカンパニー、ちばてつやプロダクション、白泉社、
フジオプロダクション、双葉社、ふらり 他
会 期 : 2025年9月27日(土)~2026年1月25日(日)
会 場 : デ・ヤング美術館(アメリカ・サンフランシスコ)https://www.famsf.org/visit/de-young
50 Hagiwara Tea Garden Dr., San Francisco, CA 94118, USA
概 要 : 導入部/ちばてつや、赤塚不二夫の作品によるマンガ入門。歴史、読み方や制作工程等
個別作家セクション/高橋留美子、谷口ジロー、ヤマザキマリ、荒木飛呂彦、山下和美、田亀源五郎、よしながふみ、
尾田栄一郎それぞれのコーナー(展示順)。表現方法、ジャンル、編集との協業、講談社「K MANGA」に見る
デジタルの広がり、著作権、海賊版問題、ファンの世界、「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」等

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