「もったいないから…」給食の残りでまかないを作って懲戒…「教職員側から要望があった?」「なぜ再利用してはいけない?」教育委員会に聞いてみた
集英社オンライン / 2025年1月29日 19時53分
京都市教育委員会は1月27日付けで、給食で残った食材でまかない料理を作り、教職員に提供したなどとして、市内小学校に勤務する給食調理員2人を減給の懲戒処分にしたと発表した。匿名の通報により発覚したというこの問題をめぐり、「捨てるのはもったいない」「処分が厳しすぎ」とネット上では擁護の声も。詳しい経緯について、教育委員会に話を聞いた。
【画像】「もったいない」調理員がつくって教職員に提供していた料理とは…
学校への匿名通報で発覚した“まかない”作りだが…
給食で余った食材と自分たちで持ち込んだ調味料や食材を使ってまかない料理を作り、教職員らに提供したとして、京都市教育委員会は27日付で市内小学校の給食調理員2人を減給の懲戒処分にしたと発表した。匿名の通報を受けて発覚したという。このニュースを受けてXでは、
「厳しい処分だけどルールはルールだね…」
「ただでさえお米が贅沢品になっているのに、時代に合わない通報と処分では?」
「SDGsなのに…」
など、賛否両論が巻き起こっている。
いったい、何が起きたのか。詳しい経緯を確認するべく京都市教育委員会に話を聞いた。
――匿名の通報があったのはいつ頃なのでしょうか?
令和6年6月に、学校に匿名の通報があり、1月27日付で処分を発令しました。
――経緯としては、余っていた給食の食材を、給食調理員が私的に使ったということでしょうか。
(調理員がまかないに使ったのは)完全に余って不要になった食材だけではありませんでした。
基本的に給食を作る際は、こぼしてしまった時の分なども考慮し、多めに作るのが一般的な対応です。
しかし、今回はその多めに作れる分の食材の中から一部先に分けておいて、それで(まかないを)作っていた、ということでした。
ただ、子どもたちが食べる量には影響はありませんでした。
――調理員は2022年からそのまかない料理を作っていたということですか。
そうです。調理員自身も食べていましたし、夕方の時間帯以降で週に1~2回程度、教職員たちにも作ったものを提供していたということでした。
作ったものは、おにぎりや鶏の唐揚げなどが中心だったとのことで、教職員側からまかないのメニューについて要望があったわけではなく、調理員の判断によるものでした。
「余る食材がもったいない」という思いから…
――今回、処分された調理員の方は長く勤めていた方なのでしょうか。
1人は令和4年度から、もう1人は令和2年度から、市の職員という形で市内小学校に勤務していました。
――今回の小学校の前にも同様のことをやっていたかどうかはお聞きになりましたか?
他の学校ではやっておらず、この調理員がこの学校に来て始めたとのことです。
――どれくらいの量を先生たちに提供していたのでしょうか。また、まかないについては“もっと作ってほしい”など先生側から要望があったのでしょうか。
明確には把握していません。食べていた者が複数名いたので、1人2人に、というよりかは多い量だったかと思います。食べていた教職員は、「いけないこと」と思いながらも、断りづらくて食べていたと聞いています。
教職員側が積極的に「もっと食べたい」と要望したわけではありませんでした。
――調理員はよかれと思ってやっていた、と。
調理員も「だめだ」ということを認識しながらも、「余る食材を捨てるのはもったいない」という気持ちから始めてしまったということです。
――ちなみにですが、給食や食材は通常どれくらいの量、捨てられているのでしょうか。なぜ再利用してはいけないんでしょうか?
完全なゴミとして捨てているわけではなく、週に3回は回収し、リサイクルゴミとして飼料にしています。
ただそうしたゴミの問題とは別に、今回の件は、給食費を保護者からいただいて、それを子どもに還元しないといけないにもかかわらず、それを調理員、教職員が食べていたという点が不適切でした。
加えて、今回の件では調理員が私的な食材、野菜や調味料のようなものを給食室に持ち込み、給食用の食材とあわせて調理していました。
アレルギーのある子どもにとってよくないものが混ざったりしたら大変なことになりますし、そういった観点からも不適切だと判断し、処分を行ないました。
突然の学級閉鎖などで対応できないケースも
――今回の件で、教育委員会に苦情はどれくらい来ていますか。
「食材がもったいないのではないか」というご意見から、「子どもたちに提供するもので、何かあってからでは遅いし、こんなことでいいのか」というご意見まで、賛否両論いただいています。10件くらいは来ているのではないでしょうか。
給食は子どもたちの安心安全を一番に考えないといけません。(処分は)給食費も保護者の方からいただいているもの、という点も含めての判断にはなります。
――たとえば1月や2月は中学受験があり、学校を欠席する子どもが増えますが、そこに合わせて学校では食材を減らしたりはすることはあるのでしょうか?
行事などで事前に不要になる量が分かっていれば、そこに合わせて発注を調整したりすることはあります。ただ、突然の学級閉鎖など、対応できない部分はどうしても出てきてしまう、とは聞いています。
受験に関しては、どこまで学校として対応しているか把握できていません。
――今回のことを受けて、教育委員会として見直す事項などはあるのでしょうか。
現時点では、具体的には何も決まっていません。いろいろなご意見をいただきながら、引き続き見直すべきところは見直していく、ということが必要かと思います。
また、今回問題が発覚した学校側にも確認をしたが、「教育委員会に任せています」とのみ回答が得られた。
食品ロスの問題が叫ばれる昨今だが、学校給食にはさまざまな特別な事情が絡み、簡単には食材廃棄量を減らせるわけではないことが今回の取材では浮き彫りとなった。
しかし、大切な子供を預けている保護者としては、何かあってからでは遅い。教育現場で、このようなことが2度と起こらないように願うばかりだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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