桜金造から見た中居正広とフジテレビ、今の芸能界に思うこと「時間ができて学んだ感情に支配されない幸せ」
集英社オンライン / 2025年2月2日 14時0分
〈桜金造、デビュー秘話を明かしながら話す、障がい者になって思ったこと「嘆くべきなのか、生きているって喜ぶべきなのか」〉から続く
今年で芸能生活50周年を迎えるという、コメディアンの桜金造さん。2013年に脳内出血で倒れ、後遺症で左半身に麻痺が残り1級障害者となるも、語り口にはよどみがない。動きがままならない身体ながら、「まだまだ学び続けなくては」と語る。そんな桜金造さんの最近は…。〈前後編の後編〉
「小山ゆうえんち〜」は、右手でしか…
ブログで近況をつづっているものの、周囲から気を遣われているのか、仕事の依頼はめっきり減った。
脳内出血の後遺症で左半身が不自由になったため、鼻に当てた両手を広げる鉄板ギャグ「小山ゆうえんち〜」は、右手でしかできなくなった。
しかし今の自分だからこそ、分かったもの、見えてきたものがあるという。
「こんな身体でしょう。暇ですしね。YouTubeって、便利ですよね。毎日ためになる動画や、いろんな映画を見ています。
仏教なんかも勉強しているんですよ。やはり長い歴史がありますから、それぞれの宗派によって解釈の違いがあるのもおもしろいですよね。
世の中は諸行無常なんだと。もう変化、変化なんだと。
で、今年は巳年で、脱皮を繰り返しながら成長していくんだ、なんて言っている人もいました」
現在の学びのテーマの一つが、「幸福とはなにか。どうすれば幸福になれるのか」だと語る桜金造。
「今の私みたいに、思いがけない事になっちゃった人は、どうやって幸福を見つけたらいいんだ、っていうのは気になるところですからね。
アランの『幸福論』が身にしみましたね。
幸せっていうのは、 自分でつくりあげるものだと。ただ、ドアを開けて待っていても、入ってくるのは悲しみだけ。ドアを開けていていれば入ってくるようなわかりやすいものは、本当の幸福じゃない。感情のままに動いたらだめだよ、と。
で、感情に支配されちゃうと、フジテレビの偉い人と中居正広くんみたいになっちゃう…、ってことなんでしょうねえ。
私も一時期そうでしたからね。最低ですよね。
他の人の気持ちも考えず、若さのせいだって言って、生意気なことばかりしていた。
酒をやめられなかったりね。
自分の中では“正しい”って思っていることに、突っ走ってましたね。中居くんも、そうだったんじゃないですかね。
求めるものの違いで、意見の相違が起こることも多いですからね」
「結局なにが正しいかなんて、わかんないんですよ」
桜金造は、自身の怪談についてこう振り返る。
「私の怪談はね、全部実話なんですよ。
広島の親戚から聞いた、戦争後の悲惨な話とか、急にいなくなってしまった人間が言っていたこととか。
だから、オチらしいオチがないし、話が符合しないこともあるんです。
それが怖いんだと言ってくれる人も多いんですけれども、それでは満足しない人たちもいる。テレビとか映像の人たちはそうでした。
“その怪しい人影の話だけど、 君が見たのは男だよね。女にならねえかな。女のほうが怖いから”とか、そういうこと言ってくる。
いろいろ脚色されて、なんだか違うものに出来上がったりしてね。それも求められているものだから仕方ないんでしょうね。演出が必要なのが、映像業界、ひいては芸能界ですから。
だから、私から離れて映像化された怪談は、ぜーんぶ嘘だったんです」
とはいえ、今の芸能界を否定はしない。
「今の第一線の人たちは、本当に素晴らしいと思いますよ。
お笑いにしろ、音楽にしろ、先人が作ったものを、よりクオリティを上げて作っているわけですから。
コンプライアンスがどうのこうの…というのも、時代は変わっていくものですからね。
私なんかのお笑いが今通じるか、といったら、まあ無理でしょうね。だって、本当に生意気で、周りをバカにしていましたから。いろいろ学んだ今、恥ずかしくてしょうがないですよ。
“今の作品は昔のものよりおもしろくない”なんていうのは、どうかしていると思いますね」
表舞台からは遠ざかったものの、今の生活は「決して不幸ではない」と語る。
「答えが出ないことを、ずーっと考えていられるようになったことが、私にとって幸せだと思いますね。
結局なにが正しいかなんて、わかんないんですよ。
そうそう、入院していたときにね、余命いくばくもない人と仲良くなったんですよ。
その人がね、ポツッとね『結局ね、何にもわかんないんだよなって、わかんないまま終わっちゃうんだよな』って言ったのね。とってもね、しみましたね。
渥美清さんがね、『そういやあの人、最近見ないよね、っていうような感じで、消えるのが理想』って、言っていたそうなんですよね。引退とかではなくて、フェードアウトですよね。
私の場合、人前に出られなくなったのは強制終了ですからね。だから、ある意味ね、清々しいっちゃ清々しいんですよ。
最近は、小倉百人一首の句を改めて知って、感動しましたね。
もうすぐ病気で死ぬ…という人が、『あの人のことを思うともう少し生きてみたいと思う』とか、『あの人はいま、どこでこの月を見ているんだろう』とか。
今の人たちにも通じる、せつない気持ちがたくさん歌われているんですね。
人の気持ちが理解できるなんておこがましいことを簡単に言いたくはないですが、共感するって、本当に感動ですよね」
生きているからこそ、悲しむことも、感動することもできる。桜金造はまだ、生きている。
【プロフィール】
桜金造(さくら・きんぞう)1956年、広島県生まれ。'75年に『ぎんざNOW!』でデビュー後、コメディーグループ「ザ・ハンダース」を結成。その後、アゴ勇さんとのコンビ「アゴ&キンゾー」でも活動。俳優としても活躍し、伊丹十三監督の映画『タンポポ』『マルサの女』などでも存在感を発揮。芸名の名付け親は故・松田優作さん。
取材・文/木原みぎわ
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