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〈バレンタインは時代遅れイベント?〉職場で“チョコハラ”に遭った女性が「もう絶対義理チョコを渡すのはやめよう」と思った悲しき メモリーズ

集英社オンライン / 2025年2月11日 10時0分

2月14日の「バレンタインデー」が差し迫る中、街中ではチョコレートの催事場が至る所で設けられるなど賑わいをみせている。その一方、近年では「チョコレートハラスメント(チョコハラ)」の風潮もあり、一部では義理チョコの交換を禁止する学校や職場まで出て来ている。

【画像】職場の上司に強要されて渋々、箱詰めのチョコレートを持っていったが…

上司からチョコを強要された結果…

「社会人1年目の出来事がきっかけで、職場での義理チョコは絶対あげないと心に決めています」

そう語るのは当時、地元紙の記者として働いていた30代の女性・Aさん。どのような出来事があったのか、詳しく話を聞いてみた。

「社会人1年目の時、男性上司から『バレンタインは日々の感謝を込めて、会社にチョコレートを持ってくるもんだぞ』と言われました。1年目だったこともあり、会社の伝統や文化が分からず、故郷にいる母に電話で相談したところ、『職場の先輩女性社員に聞いてみたら』とアドバイスされました」(Aさん、以下同)

いまだに男社会で体育会気質の根強い新聞社。当時は1年目で、気軽に女性の先輩に話しかけられるような雰囲気もなく、2月14日の当日、職場近くの百貨店で購入した箱詰めのチョコレートを『いつもお世話になっております。皆さんで召し上がってください。 〇〇(名前)より』と付箋を貼って職場の共有スペースに置いておいたというAさん。

そこから日々の取材や出張などで1週間ほど職場に行くことはなかった。職場にいる上司や先輩と電話でやり取りをすることもあったが、「チョコおいしかった」「ありがとう」とお礼の言葉をかけてくれる社員は誰一人いなかった。

その後、夜勤勤務のため職場に上がったAさん。そこでチョコレートが全部なくなって空箱だけ乱雑に置かれている状況を目の当たりにし、なんとも言えない気持ちになったという。

「『チョコレートを買ってくるのが礼儀だ』と強要しといて、その後『ありがとう』の一言もなく、バクバク食べて、終いにはホワイトデーの返しもない。正直、蔑ろにされていると思いました。もう絶対義理チョコを職場で渡すのはやめようと思いました。バレンタイン自体もとっくに時代遅れのイベントですよね」

2年目に入った時、Aさんは同様に1年目の後輩女性社員が上司から同じようにチョコを強要されている様子を目の当たりにした。後輩の女性社員に自身の経験を伝えた上で、「そこまで気を遣う必要はないよ」とアドバイスしたが、結局、後輩は上司の言う通り、チョコレートの箱詰めを買ってきてしまったといい、その伝統は今も脈々と続いているという。

“カカオショック”直撃の影響で…

チョコレートの差し出しを強要したり、もしくはホワイトデーのお返しを強要するなど、バレンタインデーのイベントにちなんだトラブルを指す「チョコレートハラスメント(チョコハラ)」。

その定義や具体的な事例について、ハラスメントなど職場でのトラブルに詳しい「エンカウンター社会保険労務士法人」の社労士に話を聞いた。

「広義の意味で、『性別や年次あるいは階層など、特定の社員が負担を強いられる社内イベント』はハラスメントに繋がる懸念があります。

バレンタインデーにちなんだ『チョコハラ』の事例では、会社の風習として『男性社員にチョコレートを贈る』という文化が仮にあったとします。その際、イベントを張り切りたいタイプの声の大きい女性社員が『新人も含めてみんなでお金をカンパしよう』と言い、当事者の賛同を問わず、断りづらい環境を生み出す。それ自体がハラスメントになる可能性があります。

さらに資金をカンパして新人や後輩に『チョコレート買いに行ってきて』と労働時間外に業務を強要したり、チョコを渡された方もお返しを倍にしないと会社での立場が危うくなるような状況も『チョコハラ』になります」(社労士、以下同)

今年はバレンタインデーを前に、チョコレートの主原料であるカカオ豆が高騰する「カカオショック」の影響で、スーパーマーケットの店頭にある高カカオ商品が前年比2割減の推移となっているほか、「パナソニック」が実施した「2025年バレンタイン最新意識調査」では、調査対象者である10~60代の女性800人のうち、「物価高で生活にお金がかかるから」などの理由から、3人に1人がバレンタインの予算を見直すと回答している。

カカオショックの直撃もあり、もはや縮小傾向にあるバレンタインイベント…。実際に地元紙に勤務していたAさんの事例を話してみると、

「Aさんの場合、『これに従わなかったらどういった不利益があるのか』を容易に想像できない状況だと思います。その際、チョコを渡さざるを得ない。当事者が心理的にも経済的な面からも不快感や負担を感じているなら、それはハラスメントに値します」

職場の義理チョコ、女性8割超「あげたくない」

近年では、バレンタインにちなんだトラブルの懸念から、義理チョコ交換を禁止する職場や学校も増えてきている。

「子どもでも大人でも、季節のイベントに対し、張り切りたい人もいれば、それに巻き込まれたくない人もいます。会社の場合、明確な上下関係や序列もあり、トラブルに発展するケースは多いです」

バレンタインデーのみならず、退職祝いのカンパの強要や、お花見の場所取りを新人や若い社員に強要、もしくは長期休暇明けのお土産文化など、社内イベントにちなんだ独自の伝統や文化にストレスを感じている社員は多い。

では、このような季節のイベントに際し、求められる配慮や対策はどのようなものがあるのだろうか―。

「あくまで自由参加を強調しつつ、それを断っても不利益を被らないような環境を作ることが理想です。実際のところ断りづらいという気持ちが不満を増大させ、ハラスメント主張に繋がっていきます。

そもそも、そういう文化を疑える世代と受け入れる世代が現在は混合していると感じます。『こういう風潮に同意しかねます』という声がでた時には、会社として見過ごさないことが大事です」

調査会社「インテージ」が2023年に実施した調査によると、「職場の義理チョコをどう思うか」という問いに対し、「あげたくない」と回答した女性が8割を超え、「もらってもうれしくない」と回答した男性が6割を超える結果となった。

本来、人間関係を潤滑に進めるための心遣いでもあった「義理チョコ文化」。だが、バレンタインも含めて、昨今の潮流に合わず、負担と感じる社員が多いのであれば、見直す必要もあるのかもしれない。

取材・文/木下未希 集英社オンライン編集部 

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