〈中学受験パニック〉「給食だけ食べに学校に行かせたい」とせがむモンペに「先生に暴力を振るわれた」とウソつく児童…教員たちの悲痛な叫び
集英社オンライン / 2025年2月7日 7時0分
中学受験の過熱が止まらない。2023年度の中学受験者数は5万人を超え(首都圏模試センター調べ)、そのストレスもあるのかSNSには自称・小学校教員による「受験シーズンに保護者から無理な要求をされた」という悲痛な話が投稿されている。教育現場では何が起きているのか、現役の小学校教員たちに話を聞いた。
【画像】取材に応じた教師が見た、受験でストレスを抱えた生徒が起こした問題行動とは…
「昔は親が学校にケンカ腰で来ることは考えられなかった」
中学受験をする児童の数は、首都圏模試センターの調査によれば、2023年度に5万人を超えたという。
そんな中、「受験シーズンに保護者から無理な要求をされた」という小学校教員の悲痛な声がSNSにあがっている。
「中学受験に向けて子供を休ませている家から『給食だけ食べに学校に行かせたい』と言われ、『送迎は必ず保護者が来てください』と伝えると、『仕事だから行けない』とのこと。最後には『何も寄り添ってくれないんですね』と逆ギレされた」
中学受験の過熱ぶりを象徴するようなエピソードである。この投稿内容を現役の小学校教員たちはどう捉えるのか。
ある30代の男性教員はこう話す。
「もし私が同じ状況に置かれても、親に対して強くは出られません。なぜなら、親から教員個人に対してクレームをつけられることは、やはりとても恐いです。
受験の時期は親も子も精神的に不安定になっている家庭が多いので、真っ向から対立しても火に油を注ぐだけです。私だったら、逆ギレされた時点で管理職に親を説得してもらい、その子に授業を受けさせますね」
このように話した上で、「自分が中学受験をした頃からは大きく時代が変化した」と続けた。
「私も今から20年ほど前、中学校受験をした経験があります。1月はどうしてもピリピリしてしまう時期ですが、内申書がある学校もあったので、学校とうまくやることが前提だったと思います。このように親が学校にケンカ腰で来ることは考えられない時代でした」
「昼食は家庭で用意するのが常識」
別の30代の女性教員は、「何でも保護者の要求を飲むことが『寄り添う』ことではない」と話す。
「保護者に送迎をお願いしているのは、登下校の時間外に子どもが1人で外を歩いていて、事件や事故に巻き込まれないかを心配してのこと。
『寄り添う』というのは、何でも保護者の要求をのむことではなく、目標や目的があって、そこに至るまでに必要な支援をすることだと思います」
その上で、こうした保護者への「対応策」について具体的に話してくれた。
「私だったら、迎えに来て欲しい旨を保護者に伝え、『管理職に確認する』と言って一回電話を切ります。また同じ方から電話があったら、管理職と話してもらいます。
働きながらの子育ては大変でしょうし、それは否定せずに一部理解していることは伝えたほうがいいと思います。
電話対応では、話している間にヒートアップする方もいますし、ただ愚痴を言いたいだけの方もいます。
保護者がどんなタイプかを見極めて、早めに電話を切るのか、ある程度話を聞いて鎮火させてから切るのか決めています」
一方、「欠席者が増えると仕事量が減って楽になる」という声もある。別の20代の女性教員は次のように話す。
「中学受験期にかかわらず、普段から旅行などを理由に平気で学校を休ませる保護者も増えました。昔のように『学校は絶対行かなければいけないもの』と考える保護者は年々減っていると感じますよ。
受験の時期になると、受験しない子どもたちは『学校に来る友達が少なくなって寂しい』と言いますが、教師は仕事量的に楽になりますね」
こう話した上で、同女性教員は「でも昼食は家庭で用意するのが常識だ」と続けた。
「親には欠席の理由と、いつまで休むかを連絡してもらう決まりになっています。でも、それ以外のことをいちいち学校に連絡してくる親や、この投稿のように給食だけ食べに行かせようとするモンスターペアレントは私の学校では聞いたことがありません。休ませるのであれば、昼食は家庭で用意するのが常識だと思います」
親や子がストレスから“奇行”に走るケースも…
前述の20代女性教員によれば、受験時期が迫ると親子ともに精神的に不安定になり、とんだ「とばっちり」を受けることもあるという。
「教育相談中に児童が『志望校に受からなかったらどうしよう』と泣き出したり、親からメールや電話で『うちの子に家でもっと勉強するよう言ってほしい」とお願いされたりすることはよくあります。
ひどいケースだと、突然保護者から電話がかかってきて、『息子が◯◯先生に暴力をふるわれたと言っています! すぐに謝罪してください』と言われたこともあります。
もちろんそんな事実はないので保護者に説明をし、管理職にも対応してもらったのですが、結局手に負えず…。ことを収拾するために管理職と一緒に頭を下げました」
さらに、「親や子がストレスから“奇行”に走るケースもある」と驚くべきエピソードを話してくれた。
「授業中に先生やほかの児童に向かって突然『死ね』と叫ぶ子がいたので、保護者に電話で報告したら『うちの子がそんなことするはずない』と逆ギレ。
『うちの子が先生やほかの児童から嫌がらせを受けたからそんなことをしたに違いない。担任だと話が通じないから管理職を出せ!』と怒鳴られました。
最終的には『息子がストレスなく受けられる授業だけ出席させて、他の授業は個室で自習させろ』と言い出しました。もちろん、学校はそんな要求は受け入れませんでしたが…」
「中学受験をする子どもが増えてしまうのも仕方ないこと」という声も
では、保護者側はこうした事態をどう見ているのだろうか。都内のPTA役員(40代・男性)は次のように話す。
「うちの学校は受験する子が全体の8割以上で、6年生は1月だと1クラス7~8人くらいしか登校していませんでした。
給食もすごく余るから、一人2~3杯おかわりしていました。『給食だけ食べに行かせたい』というのは、もしかすると受験で学校に行けない子どもにストレス発散させようと親が考えてのことだったのかな…。
でも、受験に対して本気だったら、そこで風邪やインフルをもらう可能性があるから外出させないし、親も会社を休んだり外出を控えたりするから、このケースはそこまで本気じゃないのかもしれないですね」
そして、「中学受験が増えてしまう背景」について次のように私見を話した。
「よくこういう実情を話すと、子どものいないご家庭やネットユーザーからは『親も子も中学受験に対してやりすぎ』と言われます。でも、地域によっては荒れた中学校もあります。中学受験をする子どもが増えてしまうのも仕方ないことだと思います」
過熱し続ける中学受験の舞台裏では、学校側にも親側にも、さまざまな事情や思いが交錯する。
ただ、立場の弱い子ども自身がストレスに押しつぶされてしまわないように、大人がしっかりと子どもを見守る姿勢を保つことが最も大切なのではないだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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