泣ける・震える・惚れる! もんでんあきこ×桜木紫乃「推し映画」往復書簡
集英社オンライン / 2022年6月24日 16時0分
話題のコミック『エロスの種子』でブレイク中のマンガ家・もんでんあきこさん、2013年に『ホテルローヤル』で直木賞を受賞し、新作『孤蝶の城』が話題の桜木紫乃さん。共に北海道出身で、『ブルース』という共著の漫画作品もあり、濃く熱い創作の世界観を共有する盟友ふたりが、これまで語らなかったオシ映画を交換レター形式でご紹介!
もんでんあきこより→桜木紫乃さま
映画通の桜木さん、逆にマンガ原作のエンタメ作品はご覧になってないのではと思いまして、もんでんお気に入りの5本を紹介いたします。
『寄生獣』(2014)上映時間:1時間49分/日本
監督:山崎貴/主演:染谷将太/原作:岩明均・著『寄生獣』 ※『完結編』(2015)もアリ©Capital Pictures/amanaimages
神がかり的に面白い伝説の原作。
単行本10巻のボリュームを映画2本に見事に落とし込んだ名作です。
アレンジの効かせ方が絶妙で、原作ものをコミカライズする際に、とても参考になりました。
阿部サダヲが声をあてている“寄生獣ミギー”がかわいすぎて悶絶したですよ!
できれば原作も読んでいただきたい!
『帝一の國』(2017)上映時間:1時間58分/日本
監督:永井聡/脚本:いずみ吉紘/主演:菅田将暉/原作:古屋兎丸・著『帝一の國』©2017フジテレビジョン・集英社・東宝 ©古屋兎丸/集英社
全編振り切った学園ドタバタコメディかと思いきや、主人公の総理大臣を目指す行動原理にぐっときました。
どんなとんでも設定でもキャラに説得力があればそれはもう名作です。
ヒロインが天然で最強というのもツボ。
見てほしい、いや見るべきなのは『この世界の片隅に』(もんでん→桜木)
『るろうに剣心』(2012)上映時間:2時間14分/日本
監督:大友啓史/主演:佐藤健/原作:和月伸宏・著『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』
※『京都大火編』『伝説の最期編』(2014)、『最終章 The Final』『最終章 The Beginning』(2021)もアリブルーレイ DVD デジタル配信 好評発売中/レンタル中 セル発売・販売元:アミューズ
レンタル&オンデマンド発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
©和月伸宏/集英社 ©2012「るろうに剣心」製作委員会
今まで見たことない殺陣アクションです。度肝抜かれました。
様式美なんて知るか!という熱量に撃ち抜かれます。
江口洋介・吉川晃司、いい年齢のオッサンたちの共演陣も若者に負けてません。
モヤモヤして何も考えたくない時にオススメです。
『バクマン。』(2015)上映時間:2時間/日本
監督:大根仁/出演:佐藤健、神木隆之介、染谷将太、小松菜奈/原作:原作・大場つぐみ 漫画・小畑健『バクマン。』Blu-ray&ディーブイディー発売中 発売元:集英社&アミューズ 販売元:東宝
©2015映画「バクマン。」製作委員会 ©大場つぐみ・小畑健/集英社
週刊少年ジャンプ編集部を舞台にした新人マンガ家たちの生存競争。
ジャンプほど熾烈じゃないにしてもホントこの業界生き抜くのは大変なんですよう~(涙)。
という意味でも見ていただきたいと。地味な作画風景が派手に演出されてるのも斬新で楽しいです。
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(2016)上映時間:2時間48分/日本
監督:片渕須直 原作:こうの史代・著『この世界の片隅に』Blu-ray&DVD発売中 発売・販売元:バンダイナムコフィルムワークス
©2019こうの史代・コアミックス / 「この世界の片隅に」製作委員会
戦時中の市井の人が生活感たっぷりに描かれております。
キャラはほわっとして可愛いのにエロい。
絵の情報量が膨大。空襲の恐怖で痺れる。
まさに私の好みど真ん中の1本。
これ見て呉に聖地巡礼に行ったほど。
5本の中で一番、桜木紫乃に見てほしい作品です。いや見るべき作品。
できれば長尺の『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(2019年12月公開)を是非。
桜木紫乃より→もんでんあきこさま
オヤジハンター もんでんあきこさんに捧ぐ艶オヤジ・シネマ5本
『ハバナ』(1990)Havana 上映時間:2時間24分/アメリカ
監督:シドニー・ポラック/主演:ロバート・レッドフォード©Mary Evans/amanaimages
この映画のロバート・レッドフォードにぐらぐらきたのは、30代のころ。
革命前夜のキューバで、革命家の人妻に惚れてしまったプロ・ポーカーギャンブラー/ジャック・ウェイルを演じるロバート・レッドフォードの、喜怒哀楽を刀みたいに懐に隠す演技を、どうかご覧ください!
『愛のコリーダ』(1976)上映時間:1時間42分/日本・フランス合作
監督:大島渚/主演:藤竜也、松田暎子©Capital Pictures/amanaimages
眠れぬ夜中に、静かな映画を見ようと思って再生したのが間違いでした。
眠れねえ~。なんのお導きか、その前後に主演の藤竜也さんのインタビュー記事を読んだのだ。
いくら相性がいいとはいえ、女と寝食を忘れて繋がり続け、より深い快楽を求めるあまり命のやりとりへ発展してゆくことの怖さ。
今でいう「本番」ありの文学作品なのだが、そのことについてインタビューに答えていた藤竜也のひとことに二度惚れ。「集中力との闘いでしたね」。泣かせるわ。やっぱり、好きだわ。
ドロン、優作、ジュード…大好きな男たち(桜木→もんでん)
『愛人関係』(1974) Les Seins de Glace上映時間:1時間46分/フランス アフロ
監督:ジョルジュ・ロートネル/主演:アラン・ドロンEverett Collection/アフロ
これね、なぜか数あるアラン・ドロンの映画でわたくしが最も好きな1本。
愛した男を殺してしまうという病を持った女ペギー(ミレーユ・ダルク)を、陰ながら支えている弁護士マルクを演じるのがアラン・ドロンでね。
彼女が犯した罪と自分の気持ちの精算を、山奥の銃声だけで表現したラストシーンは最高です。
静かに、気持ちを伝えられぬまま女を守る男の至福と悲哀を、どうぞご堪能ください!
『探偵物語』(1983)上映時間:1時間51分/日本
監督:根岸吉太郎/主演:薬師丸ひろ子 松田優作
ふと懐かしくなって、ふらりと見てしまったのですが。この映画の松田優作は、松田優作の懐の深さが見えて、なにより松田優作が演じる松田優作を、本人が心から楽しんでるようなところがあって好きです。
ラストのキスシーンは、57歳のおばちゃんを泣かせるくらい良かったなあ。
恋なんて遠い昔の出来事になっちゃったけど、松田優作はあの頃のままで、ずっとスクリーンにいるんだよなぁ。
『ホリデイ』The Holiday(2006年)上映時間:2時間18分/アメリカ
監督:ナンシー・マイヤーズ
出演:キャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレット、ジュード・ロウ、ジャック・ブラックEverett Collection/アフロ
愛するジュード・ロウが、子持ちの父ちゃんを演じながら、まるで少年のような表情で恋をします。
ロサンゼルスからやってきた金持ち女役のキャメロン・ディアスが、惚れるのも分かるわ~。はにかんだり、泣いたり、虚勢を張ったり。
男というより中年の「男の子」になっちゃうジュード・ロウをお楽しみください!
取材・文/米澤和幸(lotusRecords)
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