四歳の娘がいる文美子は、夫との味気ないセックスに不満を覚えながらも、結婚生活をやりすごしていた。
ある日、文美子は、ママ友に誘われて行ったパーティで、舞台俳優の若者、高山夏生と出会う。そのパーティは、お金に余裕のある女性たちが、若くて美しい獣のような若者たちと出会う「禁猟区」だった。
『眠れぬ真珠』『夜の桃』『水を抱く』などの恋愛小説が数多くの読者を獲得し、映画化された『娼年』と続く『逝年』『爽年』の三部作で、性に迷う現代の女性たちを癒やす男性を描いた石田衣良さん。最新刊『禁猟区』は、長篇としては『オネスティ』、短篇集を含めれば『MILK』以来、久々の恋愛小説です。「#MeToo」運動が世界的に盛り上がり、ジェンダーについての常識が変わりつつある今、愛と性を書くことについてお話をうかがいました。
聞き手・構成=タカザワケンジ/撮影=山口真由子