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テスト、受験、発表会…本番前の子どもへの「声かけ」の正解

集英社オンライン / 2022年7月2日 10時1分

適切に声をかければ、子どもの力を伸ばし、励ますことができる。東大理Ⅲに三男一女を合格させた佐藤ママは子どもの成績を伸ばすためにどんな声かけをしたのか?『子育ては声かけが9割』(東洋経済新報社)から「子どものやる気の引き出し方」について一部抜粋・再構成してお届けする。

勉強計画を立てるコツ

計画を立てるときには、○時から○時まで国語、○時から○時までは算数といったように、単純に時間と教科で区切るだけではなく、「漢字の書きとり10問」「算数の計算10問」などといったように、その時間内にやれる内容を具体的に書きましょう。宿題を必ずやらせるためには、親が子どもの宿題をしっかりと把握する必要があります。

その日の予定が全部終われば、その日の勉強は終わりです。



帰宅したら、「まず宿題をさせてから遊びに行かせる」と決めているご家庭もあるかと思います。でも、宿題が終わってから出かけると、友だちが楽しく遊んでいるところへ遅れて参加することになりかねません。それでは子どもも不満が募り、「早く終わらせよう」と勉強が雑になることも考えられます。

そんなことになるくらいなら、帰宅したらすぐに遊びに行かせてもいいと思います。中学受験塾に行くようになったら忙しくなりますので、それまでは友だちと思いっきり遊ばせてあげましょう。そして、子どもが遊びから帰ってきたら、夕食までの時間にやること、夕食後にやることなどを計画通りにやらせてください。

中学受験塾に行く場合には、小学校と塾の宿題、テスト範囲などをどちらもチェックして、無理のない計画を立ててください。塾の宿題は前日に慌ててやらなくてもいいように、数日間に分けてやる計画を立て、予備日も設けておくと安心です。

わが家では中学受験が終わるまで、私が子どもたち全員の勉強の計画を立てていました。中学に入学してからは、自分で計画を立てる子どももいれば、引き続き私が中学以降もサポートする子どももいました。子どもの性格にもよりますから、小学校高学年以降に、子どもが「自分で計画を立てる!」と言って、しっかりとできているようなら子どもに任せてもいいと思います。その場合も、計画通りに勉強して、ちゃんと点数がとれているか、チェックするのを忘れないようにしましょう。

当たり前のことに、ご褒美は不要

勉強を頑張らせようと思って、「テストの点がよかったらご褒美をあげる」と言うのはNGです。テストのために頑張るのは当たり前のことなのに、点数がよかったときにご褒美をあげていると、「勉強=嫌なもの」と、頭の中に植えつけてしまうことになります。

小学校に行っても勉強をするのは当然のことですから、「成績がよかったらご褒美をあげる」やり方はおすすめできません。勉強の結果としてご褒美をあげると、子どもは「勉強」と「学ぶ」ということを甘くみることになります。

また、ご褒美をあげるとなると、どの点数だったら何を買ってあげるかといった基準を設けるのが難しいのが難点です。「ご褒美をどうしようか」とあれこれ悩む時間もいらないですよね。成績がよかったときにはもらえたご褒美が、悪いときには何ももらえないとなると、点数が悪くてがっかりしている子どもにとってつらいものです。

ですから、ご褒美で頑張らせるのではなく、頑張ったときに褒めてあげるだけで十分です。そのときの声かけはシンプルに、「よく頑張ったね。次もまた頑張ろうね」でいいと思います。

■未就学児にはご褒美も効果的

テストや成績表がある小学生以降の子どもに、成績がいいときのご褒美をあげることには反対ですが、就学前の子どもならご褒美で頑張らせるのもよいと思います。ただし、小さなご褒美に留めましょう。たとえば、幼児教室のプリントやワークブックなどをはじめたときには、楽しく続けられるように、「終わったらおやつ食べようね」と言っておやつの時間にしてもいいですね。

わが家では、就学前の幼い子どもたちが楽しく公文式教室のプリントを続けられるように、目標のプリント数と同じ数の小さなチョコレートを皿に並べて、「1枚終わると1粒食べられる」ルールを作っていました。乳幼児期には、プリントやワークブックを楽しくやることが何よりも大切です。1枚終わったら、小さな手でチョコレートを1粒つまんで食べていました。その仕草と笑顔がとても可愛かったですね。でも、ご褒美にお菓子をあげたのは幼児期だけ。小学生になってからは、勉強したときにご褒美でお菓子をあげることはありませんでした。

就学前の子どもの場合には、幼児教育の教材やワークブックなどを楽しくやれるよう、お母さんがいろいろと工夫しましょう。常に、子どもが笑顔で楽しくできることを考えてくださいね。

テストの前には「普段通りやれば大丈夫」

大切なテストや発表会などの前に、ネガティブな言葉が入った声かけをすると、子どもは想像以上に暗示にかかりやすいので気をつけなければなりません。お母さんが心配のあまりつい「あなたはあがりやすいから気をつけて」とか「あなたは緊張しやすいけど、頑張ってね」「ドキドキしてない?」といった声かけをすると、子どもは自分がそんな人間なんだと思い込んでしまいます。

また、よかれと思って、「失敗してもいいのよ」「失敗しても大丈夫よ」と言う人も少なくありませんが、この声かけも余計なお世話でありNGです。「失敗」を連想してしまいますから、励ましにも慰めにもなりません。これから頑張るぞと思っている子どものテンションを下げてしまうだけです。

大事な本番の前に、過去の失敗を持ち出すことも避けましょう。

「この前のテストは、問題をよく読まないでケアレスミスをしたけど、今回はしないでね」とか「この前の発表会のときのような失敗をしたらダメよ」などと言われると、過去の失敗の記憶が蘇り、不愉快な思いをするだけではなく、不安になります。親の心配をただ口に出すのではなく、言われる子どもの気持ちを考えなければなりません。普段のときに注意するのはまだいいとしても、一発勝負の本番前にそんなことを言う必要はないですよね。本番はこれ以上ないというほど緊張していますから、こんな声かけは百害あって一利なしです。

また、テストや発表会などの前には、プレッシャーになる声かけにも注意しましょう。たとえば「満点とろうね」「一番いい発表会にしてね」といった声かけは、余計なプレッシャーをかけてしまいます。「○○ちゃんも頑張っているから、あなたも負けないように頑張ってね」という声かけも、もちろんNG。人と比較したり、プレッシャーをかけたりするような言い方をされると、子どもは嫌な気持ちになります。

その子のいつもの頑張りを評価する

それでは、テストや発表会などの前にはどのような声かけをすればいいでしょうか。私は、「普段通りにやれば大丈夫!」「普段通りに頑張ってね!」と声をかけていました。この「普段通り」という言葉が大事で、子どもは「普段通りの自分でいいんだ」とちょっとホッとします。

私は、普段から「本番で100%の実力は出せないものよ。せいぜい7割出せればいい。だから、7割でうまくいくように日頃の実力を上げておくことが一番大事」と話していました。本番がいかにいつもとは違う状況なのかということは、話しておいたほうがいいと思います。

『子育ては声かけが9割』(東洋経済新報社)

佐藤亮子

2022年2月25日

1540円(税込)

単行本 296ページ

ISBN:

978-4-492-22401-4

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