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「キーワードでスコットランド史がよくわかる」桜井俊彰『スコットランド全史 「運命の石」とナショナリズム』を佐藤賢一さんが読む。

集英社オンライン / 2022年7月11日 17時1分

日本語でイギリスというのが悪いのか。サッカーやラグビーのワールドカップが開催されると、その代表チームはイングランドと呼ばれるが、これ、どういうことなのか。

キーワードでスコットランド史が
よくわかる

日本語でイギリスというのが悪いのか。サッカーやラグビーのワールドカップが開催されると、その代表チームはイングランドと呼ばれるが、これ、どういうことなのか。イギリスとイングランド、まあ、似ているからいいかと流しかけるが、単に発音の問題ならイングランドに訂正すればいいじゃないかと、やはり釈然としない。が、その国からは同じワールドカップに、ウェールズ代表とか、スコットランド代表とかが出るときもあるのだ。一国から複数チームが出るのはズルいと思う気持ちはさておき、そうすると、日本でイギリスと呼ばれている国は、イングランドと同じではないことになる。実はイギリス=イングランド+ウェールズ+スコットランド+北アイルランドなのだ。なるほど正式名称が「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」で、グレートブリテンの連合王国の中身というのが、その三国だったのだ。


しかし、だ。イギリスと同じでないなら、しばしば政治問題になる北アイルランドはわかるとして、イングランドとは何か。ましてやウェールズとは? スコットランドとは? かかる問いに答えてきたのが、桜井俊彰である。その取り組みが「誰も書かなかった英国史三部作」で、これが『消えたイングランド王国』(二〇一五年)、『物語 ウェールズ抗戦史 ケルトの民とアーサー王伝説』(二〇一七年)、そして六月に刊行される『スコットランド全史 「運命の石」とナショナリズム』で、ついに完結する。この最新作だが、「全史」などと打ち上げられると、その起源から現代まで、ぎっしり詰めこまれているのかと、やや身構えてしまう。が、ここでは運命の石、マクベス、ウィリアム・ウォレス、ロバート・ブルース、メアリ・ステュアート、ジェームズ一世というようなキーワードを軸にすっきりまとめられているので、その歴史がスルスル頭に入ってくる。あげく、話題のスコットランド独立までが展望される。今日的問題を理解したい向きまで含め、これ、お薦めである。

スコットランド全史 「運命の石」とナショナリズム

桜井 俊彰

2022年6月17日発売

946円(税込)

新書判/256ページ

ISBN:

978-4-08-721219-8

【たったひとつの『石』が歴史を変えた】

スコットランドのエディンバラ城に宝物として収められている「運命の石」。
この石は、ブリテン島北部がスコットランドと呼ばれるようになる以前から存在しており、その地域を治める王たちの戴冠の儀式に用いられてきた。
本書では、スコットランド人が信じてきた「運命の石」の伝説を辿ることで、ブリテン島北部がスコットランド王国と呼ばれるまでの苦難や、イングランドの侵略と独立戦争、そして現代の独立運動の高まりまで、スコットランドの歴史を通覧する。

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