富士山。日本人なら知らない人はいないはずだ。日本で最も高い山として多くの登山客でにぎわいを見せている。富士山がこれほどまでに日本人に愛される理由として、日本文化と強く結びついてきたことが挙げられるだろう。
富士山は2013年に世界遺産に登録された。ふつう、山などの自然景観が世界遺産になる場合は「自然遺産」として登録されるのだが、富士山は「文化遺産」としての登録だった。正式名称は「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」。
自然ではなく、それを取り巻く信仰や芸術のあり方までをも含めた全てが世界遺産になったわけである。
富士信仰の起源は古く縄文まで遡ることができるというが、それが庶民にまで広がったのが、江戸時代だった。平和な時代の下で庶民の旅行が盛んになり、富士山もその目的地の一つになったことがその理由だ。しかし、そこにはまた別の理由もあると私は考えている。
それが、富士山のチェーン展開だ。どういうことだろうか。