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月8万円の投資で夢のセミリタイア! お金に縛られない「FIRE」という生き方

集英社オンライン / 2022年7月2日 11時1分

米国の若者の間でブームとなった「FIRE」。不労所得を得て、あくせく働く生活から解放されようという考え方だ。近年、日本でも注目が高まり、実践者も増えている。そこで本記事では、FIREの概要から現実的な実現方法まで、具体的な金額を試算しながら紹介しよう。

FIREとは「したくない仕事」からの解放

「FIRE」という言葉をご存じだろうか。書店では「FIRE」を冠した書籍のコーナーが設けられ、Twitterでは「FIRE達成」「FIRE生活者」「FIRE専門家」といった名前のアカウントが見られるほど浸透してきた。

FIREとは、「Financial Independence(経済的自立), Retire Early(早期退職)」の頭文字を取った言葉で、米国の若者を中心に広がっていった。不労所得を得て、お金のために働く生活から解放される生き方を指している。



給与以外に収入があれば、生活のためにしたくない仕事をしたり、忙しさのあまり趣味や家族との時間を失ったり、煩わしい人間関係に疲弊せずに済む。

ブームの中心となっている20〜40代のミレニアル世代(1980年代〜1990年代生まれ)は、「モノ」の消費よりも、家族や友人との時間や経験といった「コト」の消費を重視する傾向にある。労働よりも自由な時間が大切で、自分の人生は自分で選択するといった認識が、FIREの流行に火をつけたのだ。

早期リタイアはもはやお金持ちの特権ではない

給与を得ずに生活するとなると、大企業の役員や巨額の富を持つ資産家の特権のように思うかも知れない。しかし、実際にFIREを達成した人のなかには、元々一般のサラリーマンだった人も多い。

収入アップが早期リタイアの近道になるのは間違いない。しかし、FIREの実現には高給取りになることも、リタイア後の生活費を全て用意しておくことも必須ではない。

それより重要なのは、「投資」「節約」の2つだ。

投資というとハードルが高いように思うかもしれないが、今や株式や投資信託を保有している人は4人に1人と、珍しくない(※1)。なにより、預貯金だけで資産を増やすのは難しい。

たとえば、毎月5万円を貯めると20年間で1,200万円になるが、資産運用で年4%のリターンが得られると仮定した場合、同じ月5万円でも20年後には約1,800万円になる(※2)運用益を得る前提なら、FIRE達成までに捻出すべき金額を600万円も低くできる。この差は大きい。

節約は、投資に回すお金を増やす目的のほか、リタイア後に向けて用意しておくべき目標額を下げる目的もある。生活費が少なく済めば、それだけ事前に用意すべき資金も減るからだ。使いたい分だけ稼ぐのではなく、そもそもの生活費を抑えるのが、サラリーマンでもFIREを達成する最大のポイントになる。

また、リタイアしてから極端に生活費を下げようとすると、これまでの生活レベルとの差に悩むかもしれない。リタイア前からミニマムな消費を心がけることがFIRE成功の鍵だ。

※1 野村アセットマネジメント「投資信託に関する意識調査〜若い世代に広がる資産形成の動き〜」(2021年4月2日)

※2 金融庁「資産運用シミュレーション」

FIRE資金の目安は生活費の25倍

気になるのは、FIREするためにいくら準備しておくべきかということだろう。目安は「25年分の生活費」といわれている。ただし、25年分といっても運用によってリターンを得られるため、消費した分のお金が減って、ちょうど25年後に尽きるわけではない。

FIREには「4%ルール」といって、投資によって得られる運用益は年約4%だという定説がある。これは、米国市場の成長が年約7%であるのに対し物価上昇率が年約3%であることから、差し引き年約4%が利益として得られるという理論に基づいている。

日本は米国ほど物価上昇率が高くないが、米国に投資した場合には為替によって利益が変動する可能性がある。そのリスクを考慮し、日本で得られる利益も4%程度と考えていいだろう。つまり、生活費を4%の運用益内に収めれば、実質的に資産は目減りしない。

必要な投資元本はどのように計算するかというと、年間生活費が資産の4%に当たるよう逆算すればいい。「投資元本(100%)÷年間生活費(4%)」で、投資元本は年間生活費の25倍に当たる。これが「25年分の生活費」の根拠だ。

例えば、年間生活費が300万円(月25万円)なら、必要な投資元本は7,500万円。節約により年間生活費を250万円に抑えた場合は、6,250万円となる。

とはいえ、25年分の生活費を用意するのは簡単ではない。20年間で6,250万円を築くには、年率4%で運用するとしても月約17万円の投資が必要になる。

そこで考えたいのが、少しだけ勤労収入を得る「サイドFIRE」という選択だ。

ちょっとだけ働く「サイドFIRE」が現実的

サイドFIREとは、完全に仕事を辞めて全ての生活費を運用益でまかなうのではなく、時短勤務や業務委託で一部の生活費を稼ぐ、いわゆる「セミリタイア」のこと。投資でまかなう生活費が減る分、FIRE前に用意しておくべき投資元本も少なくなる。

例えば、FIRE後の年間生活費250万円のうち、120万円(月10万円)は勤労収入を得るとする。必要な投資元本は「(250万円−120万円)×25」で3,250万円。20年間、年4%で運用する場合、毎月8万8,610円を積み立てれば用意できる金額だ。生活費を減らす、または勤労収入を増やせば、さらに目標額は下がる。一気に実現可能性が高まったのではないだろうか。

ここで、月10万円を稼ぐのにどのくらい時間が必要か考えてみよう。東京都の最低賃金1,041円(2022年6月現在)で働くと96時間。8時間労働で換算すると12日、つまり週3日だけ働けばサイドFIREできる。残りの週4日は家族や友人と過ごしたり、趣味に費やしたり、お金にならない仕事をしてもいい。

完全なFIREには資金を要するだけでなく、仕事を辞めてしまうと社会との繋がりがなくなり生きがいを見失うこともある。自由な時間と労働のバランスが取れるサイドFIREは、現実的で自分らしい生き方ができる選択といえる。

大切なのは早期リタイアそのものではない。労働から解放されたいといっても、好きな仕事であれば続けたい、時短であれば続けたいという人もいるだろう。人生の優先順位を見つめれば、案外完全なFIREは必要ないのかもしれない。自分らしい生き方を求めてお金との付き合い方を考えることが、人生を豊かにする一歩といえそうだ。

文/吉村しおん

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