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こころの隙間を満たす魔法の是枝映画『ベイビー・ブローカー』

集英社オンライン / 2022年7月1日 11時1分

ヨガ講師として活躍する仁平美香さんが、女性の美と健康に効く映画をピックアップ。シリーズ4回目は、是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』を紹介。映画を見終わった後に実践したい、体を整えるメソッドも必見。

赤ちゃんポストからはじまる不思議な旅

クリーニング店を営むサンヒョン(ソン・ガンホ)
ⓒ 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

みなさま、こんにちは。
ヨガ講師やセラピストなど女性の体と心の健康にまつわる活動をしている仁平美香です。今回は、今年のカンヌ国際映画祭で、主演のソン・ガンホさんが最優秀男優賞を受賞されたことでも話題の新作映画『ベイビー・ブローカー』を紹介します。



本作は是枝裕和監督の3年ぶりの映画ということで、これは絶対に外せない!と楽しみにしていました。
今月のコラムの作品をいくつかの中からゆっくり考えようと思っていたのですが、鑑賞後、試写室を出た後も余韻がずっと消えず、気づいたらカフェに飛び込んでコラムを書きはじめていました。自分なりの感想を書き留めておきたいという気持ちが抑えられなかったのです。

児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)
ⓒ 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

クリーニング店を営みながらも借金をかかえるサンヒョン(ソン・ガンホ)と赤ちゃんポストのある施設で働くドンス(カン・ドンウォン)は、子供がほしいと願う家庭に裏で赤ちゃんを売るブローカー。
ふたりはポストに預けられたばかりのウソンという赤ちゃんを施設から連れ去りますが、思い直した母親ソヨン(イ・ジウン)が戻ってきたことで、成り行きから、買い手探しの旅に同行させることになります。
そこにドンスが育った児童養護施設の少年も加わって…。

一度は赤ちゃんポストに我が子を預けたソヨン(イ・ジウン)
ⓒ 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

ブローカー商売を、かわいそうな赤ちゃんのために養父母を探す善意からの行動だと開き直るサンヒョン。
自らも施設で育ち、捨てられることの痛みを誰よりも理解していて、転売屋の気配にも敏感なドンス。
頑なにこころを閉ざし、里親候補が気に入らないと口汚く食って掛かる母親ソヨン、そして赤ちゃんのウソン。

でこぼこした偽りの家族の旅で一行は時にぶつかりながらも、協力して赤ちゃんの世話をし、ささいな日常をともに過ごすことでお互いを少しずつ理解していきます。その過程はソヨンの気持ちを徐々に溶かしていくことに。

赤ちゃんポストを見つめる目、そして美味しそうな韓国スナック

左からスジン刑事(ペ・ドゥナ)、後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)
ⓒ 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

サンヒョンたちを現行犯逮捕しようと、ずっと尾行を続けている女性刑事コンビのシーンも印象に残ります。
赤ちゃんポストに子供を置いていったソヨンに強い憤りを覚えていたスジン刑事(ぺ・ドゥナ)とその後輩であるイ刑事(イ・ジュヨン)とのやりとりは、私たち観客に赤ちゃんポストについて一緒に考える時間をくれていると感じました。

とある事情で、愛するわが子を手放そうと決意したソヨンの切ない母性は、それに触れたサンヒョンやドンスたちだけでなく、刑事スジンにも変化をもたらします。

ちなみに刑事コンビの張り込み中には韓国スナック(辛ラーメンやら韓国おでんやら)をむしゃむしゃと食べるシーンがいくつか出てくるのですが、それはそれは美味しそうで、わたしは上映中におなかがグーッとなってしまいました(恥)。
鑑賞後には、韓国料理店や韓国食材ショップに行く予定を組んでおくことをおすすめしたいです。

「生まれてくれてありがとう」

ⓒ 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

一番印象に残っているのは「生まれてくれてありがとう」という言葉が出てくるシーン。登場人物はそれぞれが、親の不在や、本当の家族との間にできたこころの隙間に苦しんでいるのですが、その隙間をやさしく満たしあう、救いのような言葉でした。
お互いを認め合い、幸せになってほしいと願う絆が確かにそこにはありました。
血のつながりの有無に関わらず、いわばこころでつながった家族になった瞬間。

私自身も大切な友人を思い出していました。
出会った頃から不思議と無条件でお互いの存在を認めあい、自分のことのように幸せを願いあう家族のような存在。
自分をとても大切に思ってくれる人がいる、また自分もそんなふうに思える相手がいることはそれだけで勇気とやさしさがわいてきます。

罪を犯し、明るいとはいえない道を歩んできた登場人物たちが、家族のような存在を思い出し、それを頼りに強く生きていってほしいと願いながら映画を見終わりました。

自分に大切にふれる腕のセルフマッサージ

愛する人とはもちろん、自分をも大切にしたくなる映画を見たあとにおすすめのセルフケアを紹介していきます。

皮膚には様々な触覚の受容器がありC触覚線維という感情に深い関わりがある受容器もあります。前腕にはこの線維が多く、自律神経のバランスを整え、ストレスや緊張状態を和らげる効果が期待できます。

両手を20秒程こすりあわせ、手のひらをあたためましょう。
片側の前腕をできるだけゆっくり3~5分程撫でてみましょう。
反対側の前腕も同様に行いましょう。

ポイント1
前腕を撫でる際は指に力をいれずに手のひら全体を使い、皮膚の表層を軽くさする感じではなく、手のひらを前腕に密着させてしっかり撫でましょう。

ポイント2
ゆっくりとした動きにのみC触覚線維は反応します。赤ちゃんにやさしく触れる気持ちで撫でると自然とタッチがゆっくりになります。自分に触れているけれど誰か大切な人や赤ちゃんを思い浮かべて行ってみましょう。(スピードはあまり神経質にならなくてよいですが、目安としては1秒に5cm進む程度)


『ベイビー・ブローカー』(2022) BROKER 上映時間:2時間10分/韓国
公開中
配給:ギャガ
ⓒ 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

公式サイト
https://gaga.ne.jp/babybroker/

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