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すぐに実践できる! 仕事で疲れた脳を回復させる簡単な方法

集英社オンライン / 2022年7月6日 9時1分

誰でもすぐに疲れた脳を回復させることはできる! 脳に悪い習慣を知ってパフォーマンスアップ。『図解 脳に悪い12の習慣』(幻冬舎)から一部抜粋・再構成してお届けする。

「好きじゃない」と思うと損をする

「嫌い」「苦手」のレッテルがはられた情報に対しては、脳のパフォーマンスが落ちますから、苦手意識は極力もたないようにしましょう。

脳は目や耳など五官から得た情報を取り込むと、その情報を理解して判断し、思考して記憶しようとします。取り込まれた情報が最初に到達するのは、さまざまな神経回路からなる「A10神経群」と呼ばれる部分です。

A10神経群には、好き嫌いをつかさどる「側坐核」、危機感をつかさどる「扁桃核」、言語や表情をつかさどる「尾状核」、意欲や自律神経をつかさどる「視床下部」などがあります。



A10神経群は、いわば感情をつかさどる中枢で、さまざまな情報が通ったときに、「好きだ」「嫌いだ」「感動した」「おもしろい」といったレッテルをはります。

すなわち、脳が理解したり、思考したりする情報は、すべて感情のレッテルがはられるわけです。このことからわかるのは、理解力、思考力、記憶力などの脳の力は、いずれも最初の感情に大きく左右されるということです。マイナスのレッテルをはられた情報に対しては、理解、思考、記憶の点で脳のパフォーマンスは落ちてしまうのです。

勉強でも仕事でも、苦手意識をいだいたり、嫌だなと感じたりすると、効率も悪くなり、うまくいかないものです。

「嫌い」とか「苦手」という感情は、脳の動きにブレーキをかけてしまいます。「嫌い」「苦手」というものであっても、「おもしろそう」「楽しそう」と思うようにし、その工夫をいかにするかが、理解力や思考力、記憶力を高める鍵を握るのです。

「でも」「無理」「疲れた」という口グセはやめよう

否定的な言葉は、脳の活動を鈍らせます。うっかり口から出そうになったら、すぐに引っ込めましょう。

脳はプラスの響きをもった言葉を好みます。プラスの言葉はプラスの思考や発想を生み、脳神経細胞の活動を活発にしてくれるからです。反対に気をつけないといけないのが、否定的な言葉です。

「でも」「無理……」「疲れた」、こんな言葉をつい口にしてしまうことはありませんか。口グセになっている人もいると思います。こうした言葉を発するのも、「自己保存」という脳のクセの表れであり、一種の自己防衛なのです。

グチめいた言葉を吐きだすのは、本人にとってはストレスのガス抜きという感覚があるかもしれません。しかし、それは誤解です。否定的な言葉は、脳には悪い影響しか与えません。A10神経群が否定的な言葉にマイナスのレッテルをはることで、脳の理解力や思考力が落ちてしまうからです。

自分がいわなくても周りにいる人が否定的な言葉をいっているのを聞くだけで、脳は同様の反応をします。ネガティブな発言をしょっちゅうしている人がいたら、少し距離をおいたほうがいいでしょう。

グチっぽい言葉は無意識に出てしまうことも多いので、ふだんの何気ない口グセを一度チェックしてみてください。気のおけない家族や友人に尋ねてみるのもいいでしょう。

知らず知らずのうちに吐きだしている、ちょっとした口グセによって脳のパフォーマンスが落ちているとしたら、非常にもったいないことです。

苦手な上司がいると仕事のパフォーマンンスは落ちる

相手のことが嫌いだと、こちらのためになる発言でも、脳はマイナスのレッテルをはることを知っておきましょう。

職場における苦手な上司と、どうつき合うかといった悩みをもつ人は少なくないと思います。苦手意識が強いと、ストレスはたまるし、仕事にもマイナスの影響を与えてしまいます。

この上司は嫌だと思うと、上司にまつわるさまざまな情報に対して、A10神経群は「嫌い」というレッテルをはります。その結果、上司が指示する仕事に対して、本来苦手なものでなくても、あまり前向きに取り組めなかったりします。

自分の得意な仕事を振られても、受け入れたくない気持ちになったりします。

仕事も提案も、それ自体は何の問題もないのに、嫌いというレッテルがはられた上司を経由すると、敬遠したくなってしまう。冷静に客観的に考えれば、否定的に感じる理由は何もないにもかかわらず、です。そうなってしまうのは損なことです。そもそも人を嫌いになるのは、前に述べた「自己保存」「統一・一貫性」という脳のクセのせいです。

こちらを否定してくるような言動は、自分の基準をなす「統一・一貫性」からはずれます。そして、自分を守りたいという「自己保存」が働くことで「嫌いだから避けよう」となるのです。

こうしたクセを抑えるには、まずは「この人は苦手」という先入観をなくして、その人のいい部分を見つけることです。どんな人にも、いい部分は必ずありますから、そこを意識して見るようにすればいいのです。

「すごい!」と感動しない脳は衰える

小さなことでも、「へぇ〜」とおもしろがるようにするだけで、脳の機能は高まります。
食わず嫌いは、もってのほかなのです。ネガティブな感情は脳のパフォーマンスを落としますが、反対にポジティブな感情は脳の機能をレベルアップさせます。

とりわけ「すごいな」といった感動は、とても大事です。斬新な発想に触れたり、人の驚くような体験談を聞いたりしたときに、素直に「すごい!」と思えるかどうかです。A10神経群には言語をつかさどる「尾状核」があり、気持ちがポジティブに動くと、理解力と思考力が高まります。

感動といっても、小さなことに対して「へぇ〜」と思うようなレベルでもかまいません。すごく驚くようなことではなくても、「何かおもしろいな」「興味深いな」と感じる程度で、A10神経群は活発に動きだします。

ルーティンになってしまうと何事も当たり前のようになり、感動する機会が減っていきます。また周りが無感動な人ばかりだとその影響を脳が受け、感動する力を弱めてしまうこともあります。

もし、そのような傾向があるなら、真っ白な気持ちになって人の話を聞いたり、進んで新しい体験をたくさんすることです。

同時に、「すごい!」「おもしろい」といった言葉を口グセにするのもいいと思います。とくに誰かが話をしていて、「おもしろいな」と感じたら、ポジティブな共感の言葉をできるだけ伝えるようにしましょう。感動する力は、そうすることで確実にアップしていくのです。

疲れた脳を回復させる簡単な方法

「疲れる脳」と「疲れない脳」の違いは、意外なところにあります。毎日楽しいこと、おもしろいことをどれだけしていますか?

おもしろくない勉強をしているときや、苦手な人の話を長い時間聞いているとき、脳には疲労が加速度的にたまっていきます。反対に 「楽しい」「おもしろい」と感じると、A10神経群が活性化し、脳の疲労を除去する中枢を刺激してくれます。そのため、脳は疲れを感じなくなります。「疲れる脳」と「疲れない脳」の違いは、楽しいことやおもしろいことを、どれだけしているかの差でもあるのです。

仲のよい友達と食事をしながら楽しく会話をしていると、時間が経つのを忘れます。おもしろい映画を観たり、わくわくするようなストーリー展開の本を読んだりしているときも、時間はまたたく間にすぎていきます。

時間の経過が気にならないのは、脳がいっこうに疲れないからです。しかし、脳は疲れを感じると、ストレス状態から脱け出したくなって時間を気にしだすのです。

一度疲れてしまった脳を回復させるには、何もしないで休むといいと考えている人も多いと思います。

しかし脳にとっては、そうするより、楽しいことやおもしろいことをするほうが、効果的だったりするのです。

仕事やふだんの生活においては、常に「遊び心」を失わないことが、脳を疲れさせない秘訣です。どんなときでも、楽しいこと、おもしろいことを見つけるアンテナを立てておきましょう。

暗い表情をすると脳の働きは悪くなる

人は、幸せだから笑顔になるのではなく、笑顔でいるから、幸せを引き寄せているのかもしれません。

私が以前、日本大学医学部附属板橋病院の救命救急センターに勤めていたときのことです。上司としてスタッフに課していた、ある習慣がありました。

それは「鏡の前で最高の笑顔をつくってから、出勤すること」です。笑顔をつくると、それによってスイッチが入って気持ちが明るいほうへと向かうからです。

明るい気持ちになるだけで、脳の働きがよくなり、仕事のパフォーマンスも上がるのです。

笑顔をつくると否定的なことや暗いことは考えにくくなるものです。なぜなら顔の筋肉とA10神経群には密接な関係があるからです。A10神経群のなかの「尾状核」は表情をつかさどっていますが、楽しくて笑っているときは、A10神経群が活発に動き、脳の働きがよくなります。

一方で、特に楽しいこと、おかしなことがなくても笑顔をつくるだけで、顔の表情筋の作用で「尾状核」が刺激され、どこか楽しいような気分になるのです。

病院では脳の損傷によって意識を失っている患者さんをよく診ましたが、目や口の周りの表情筋を刺激して反応があれば、表情をつかさどっているA10神経群の尾状核の機能が残っていると判断して、治療にあたっていました。

笑顔で人と接し、明るい顔で仕事をすれば、それだけで脳はパフォーマンスを高めてくれます。まずは1日の初めに鏡に向かって、笑顔をつくる練習をすることから始めてみてください。

『図解 脳に悪い12の習慣』(幻冬舎)

林成之

2022年5月25日

1000円(税込)

単行本 172ページ

ISBN:

978-4-344-03968-1

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