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「勉強はウィキペディアが9割でOK」と断言できる理由

集英社オンライン / 2022年7月8日 10時1分

30代も半ば以降になってじっくり本を読み、知識を蓄えるようではもはや手遅れ。ビジネスや投資、企画にも役立つコスパのいい学び方を伝授する『39歳からのシン教養』(PHP研究所)から一部抜粋・再構成してお届けする。

紙の本に負けないウィキペディア

「ウィキペディア(以下「ウィキ」)はアテにならない。いい加減な情報ばかりで見る価値がない」

そう言って最初から信用しない人がいる。そういう人は、ネット黎明期の価値観をいまだに引きずっている「時代遅れ」だ。ネットに触れてきた時間の長さに関してはベテランだが、ベテランゆえに今の時代に対応できているとはいえない。価値観をアップデートしないと、現状に無頓着な、頭の固い人と言われるはずだ。



断言しよう。ウィキペディアは、現時点で「最強の学習ツール」だ。

ウィキはなぜ価値があるのか。

詳述するが、基本的に1人の著者が書く本に対し、ウィキは複数人で書く。1人対複数人、個人対組織。すべて後者が勝るとは言わないが、総じて組織で戦うほうが優勢であるのは言うまでもない。日本版ウィキの編集に関わる人は、一説には5万人程度で、1つの事柄について100人がかりでチェックしていると言われる(管理者数は約40人)。

2022年5月1日時点

誤字脱字はもちろん、内容そのものが随時アップデートされる。しかも情報の出所となる文献・出典を明らかにしており、引用元が明示されている。論文を書く際には、調査などのデータや参考文献を正確に明示しなければならないが、ウィキはその点、新聞記事よりもしっかりしている。

速報性、正確性においてウィキは無敵

10年ほど前、学生が大学の提出論文にウィキから無断引用したとか、新聞記者がウィキをペースに記事を書いていたことが問題視されたが、そのころのイメージを引きずっていると、大きな誤解を招きかねない。もちろん無断引用するのは論外だが、あなたが知らない間に、ネット社会も、そしてウィキも進化している。

本は、時代のニーズに合わせてタイトルや内容が変わる。広辞苑や百科事典も、初版、第2版、第3版とマイナーチェンジされていく。パソコン関連の本なら新しい技術に合わせ、法律関連の本なら新しい法律に対応するように、アップデートしていく。ウィキの場合、それが日々、行なわれているわけだ。

間違っている記述はすぐに修正され、新しい事実が判明すれば、すぐに加筆される。

ネットの特性を生かして最新の情報に更新できる。本でこういうことを書くのも気がひけるが、本とウィキではスピードが全く違う。日々アップデートされていく媒体で、多くの人が関わり、正確で洗練された情報に進化していく。

速報性、正確性においてウィキは無敵なのだ。

時事問題もキーワードが9割

ウィキペディアのアカウントを作成すれば、「変更の履歴」が見られるので、一度見てほしい。

誰が最初に書き始めて、それに対して誰が何月何日にどこを書き直したかが全部わかる。
アカウントを作成しなくても、ページ右上の「変更履歴」をクリックすれば、これまでどのように編集・更新されてきたかが参照できる。それらを見るだけで、相当数の人たちによって情報が更新されていることがわかるだろう。

キーワードを見つけてググる習慣を身につけると、時事問題についても一定の見識が持てるようになる。

たとえば、「米中対立」。2021年3月に、米インド太平洋軍のテービッドソン司令官が「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と米上院軍事委員会の公聴会で証言して、あたかも米中が台湾をめぐって早期に軍事的に衝突する可能性があるように喧伝されたことがある。

新聞にしか目を通していないと、「世界大戦が勃発するぞ」と騒ぎ立てる記事に不安を抱いたりするものだ。

しかし、「中国 戦争」「中国 事件」などでググってみると、そうではない見方もできる。

ググることで歴史の隠ぺいも防止できる

中国の共産党支配体制がひっくり返るとは考えにくく、システム的にそのような事件は意外と起こらない。1989年に民主化を求めて「天安門事件」が起こったが、あれだけの大きな騒ぎも、結局、今では何もなかったかのようである。

騒いでいるのは欧米を中心とした先進国で、若い中国人は「タンクマン(戦車男)」の存在すら知らない。

タンクマンとは、この事件の際、天安門広場に通ずる長安大街の路上で撮影された映像に登場する、戦車の行く手を遮る男性のことである。知らない人はググってみて、どれでもいいから動画を見てほしい。天安門事件の実態の一端がわかるはずである。

中国では、天安門事件に関するキーワード検索はしばしば禁止されている。だが、世界中でググり続けられることで、歴史から葬られなくてすむ。

われわれに課された使命は大きい。

#2 Google検索で「中国史」は学べるが「新型コロナウイルス」学べない?
#3 ツイッターよりフェイスブックの方が貴重な情報源と断言できる理由(7月9日10時公開予定)
#4 30代以上は知っておくべき! 信頼できる3つのテレビ局と2つの情報サイト(7月10日10時公開予定)

39歳からのシン教養

成毛眞

2022年6月21日

1870円(税込)

文庫 336ページ

ISBN:

978-4-569-85175-4

地政学/統計学/生命科学/英語/先端技術/宇宙/NFT…… 数歩先の未来も予測できる「成毛式・1ランク上の勉強」

「学び直しブームだけど、何を学べばいいのかわからない」「仕事だけでなく、家事・育児に忙殺されて本を読む時間がない」「自分の“教養力"に自信がない……」。本書は、そんな“教養コンプレックス"を抱える人たちに向けて、まったく新しい教養テーマを提示し、その身につけることをめざす本です。 「30代も半ば以降になって、じっくり本を読み知識を蓄えるようではもはや手遅れ」。 『amazon』『2040年の未来予測』などで時代流れを先読みしてきた著者が実践する、ビジネスや投資、企画にも役立つ「コスパのいい学び方」を伝授します。 歴史分野はテレビを観ながらウィキペディアでキーワードを検索。宇宙や生命科学分野は、月1回定例的に特定のサイトをチェックするなど、予備知識&暗記いらず、忙しいミドルエイジのビジネスパーソンでも簡単に真似できます。まわりと同じことをしていては差がつきません。本書でぜひ、数歩先の未来を読む勉強法を身につけましょう。

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