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30代以上が見逃してはいけない、3つのテレビ局と2つの情報サイト

集英社オンライン / 2022年7月10日 10時1分

“教養コンプレックス”を抱える人たちに向けて、まったく新しい教養テーマを提示し、それを身につけることをめざす本『39歳からのシン教養』(PHP研究所)から一部抜粋・再構成してお届けする。

放送局は3つだけチェックすればいい

海外のメディアもいまひとつ信用できないが、中東カタールのドーハに本社を持つ「アルジャジーラ」は、信用に値する数少ない放送局の一つだ。反米でもなく中立的で穏健、そのうえ速報性で群を抜いている。

“The one opinion and the other opinion(1つの意見があれば、もう1つの意見がある)”のキャッチコピーが示すとおり、意見の多様性を認めているのも特徴的だ。

基本理念や信条に縛られた日本の新聞社とは大きく異なる。それでいて「アラブの春」を肯定的に扱っていたりと、人道的、民主主義的価値観を重んじている。「アルジャジーラ」の最大の顧客の一つがNHKだと言われている。NHKはアルジャジーラから映像使用権を買っているのだ。



少し捕捉しておこう。アラブの春の引き金となったチュニジアのジャスミン革命(2010〜2011年)が起きたきっかけは、政府に抗議して焼身自殺する露天商の動画だった。フェイスプックに投稿されたその動画をアルジャジーラが紹介したことで、チュニジア国民の怒りに火がつき、最終的にベン=アリー大統領の政権が倒れた。

メディアが政治を劇的に動かした顕著な例と言えよう。中東だけでなく、世界で何が起きているのかを知る媒体としては、アルジャジーラは欠かせない。もちろん経済関連記事もデータ等がしっかりしており、筆者が最も信頼する媒体の一つである。

ほかには、BBCも信頼できる。BBCは公共放送局であり、政府系媒体と考えていい。その点は多少気になるが、故意に虚偽の事実を流すことはなく、とくにデータ面では全面的に信頼が置ける。

日本なら先に述べたNHK一択だろう。放送法の遵守を求められる法人であることが大きい。したがって、放送局だとBBCとNHKにアルジャジーラを加えた3つになる。
残りのテレビ局は、情報の一部を切り取って本質を偏向し、つまみ食いのような報道ばかりで信憑性に欠ける。

1世紀にわたり、号数をサバ読みし続けた新聞紙

また、紙媒体にはなるが、「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」は腕の立つ書き手が経済ネタをカバーしており、データも間違いがほとんどなく信頼に値する。

世界広しといえども、こうしたジャーナリズムの基本を実践する媒体は少ない。あの「ニューヨーク・タイムズ」もすっかり左翼の巣窟になってしまった。

そもそも「ニューヨーク・タイムズ」は、2000年1月1日に「昨日までの発行号数は間違いだった」と報じている。これもウィキに書かれているのだが、1898年2月に1万4499号の翌日を1万5000号としてしまったらしい(実際は1万4500号)。その後、実に102年間、500多い号数のまま読者を欺いてきたことになる。

こうした事態を考えると、現在の「ニューヨーク・タイムズ」の惨状も宣なるかなと言わざるをえない。

ここまで述べてきたように、ウィキは大手メディアと比べれば相対的に信用できるが、論文を発表するといった場合はダブルチェックが不可欠。そのダブルチェックも、信用できる媒体を選ぶように意識しなければならない。

その際、思想的に片寄った媒体は、正しかろうが、正しくなかろうが筆者は絶対に選ばない。
イデオロギーとか宗教が入った時点で、客観的な文章とは言えないファンタジーになるからである。

日本なら「フォーサイト」「クーリエ・ジャポン」

日本では、NHKや日経以外でも、信頼できる媒体がないわけではない。どちらも出版社系の会員系サイトである「フォーサイト(Foresight)」(新潮社)や「クーリエ・ジャポン(COURRIERJAPON)」(講談社)は見逃し厳禁だ。

とりわけ中国ネタは、この2つのサイトがあれば十分。何より書き手の選び方が素晴らしく、その道の第一人者だけを集めている。

たとえばフォーサイトでは、イスラム関係だと池内恵氏、インテリジェント系の記事であれば春名幹男氏、アフリカ関道では白戸圭一氏。岩瀬昇氏のエネルギー通信も文句のつけようがなく、いずれも一般のメディアではお目にかかれないレベルの高さだ。

このラインナップを揃えられるのは、"会員制サイト"という側面が大きい。「フォーサイト」「クーリエ・ジャポン」ともに、有料で記事を配信している。

本来、貴重な情報には高額の原稿料が支払われるべきだから、広告収入頼みのサイトで実現するのは不可能に近い。

0.1%の一流人にだけ向けた上質なメディア

新潮社も講談社もそれがわかっていて、会員制の有料サイトとして、お金を出してでもハイクオリティの記事を読みたい人向けに配信している。ボクシングのビッグマッチでも、有料のライブビューイング(当初、クローズド・サーキットと呼ばれていた)を行なうことがあるが、考え方としてはそれと似ている。

はっきり言ってしまえば、「日本の0.1%ぐらいが読んでくれればよくて、99.9%は読まなくていい」というぐらいのスタンス。こういう会員制メディアは"マス"メディアでない分、信頼が置ける。信頼できない情報を流すようになれば、簡単に淘汰されてしまうから、媒体も必死になって情報をチェックするし、それこそいい書き手を揃えようとする。

だから、信用できるのだ。

ちなみに筆者はこの2つの媒体に加え、先に述べた「MITビジネスレビュー」「ウォール・ストリート・ジャーナル」「日本経済新聞・電子版」を有料サブスクしている。

これらを半年ほど購読すれば、ググるべきキーワードがストックされ、情報収集、原稿執筆のみならず、普段のビジネスの場面でも十分通用するだろう。

39歳からのシン教養

成毛眞

2022年6月21日

1870円(税込)

文庫 336ページ

ISBN:

978-4-569-85175-4

地政学/統計学/生命科学/英語/先端技術/宇宙/NFT…… 数歩先の未来も予測できる「成毛式・1ランク上の勉強」

「学び直しブームだけど、何を学べばいいのかわからない」「仕事だけでなく、家事・育児に忙殺されて本を読む時間がない」「自分の“教養力"に自信がない……」。本書は、そんな“教養コンプレックス"を抱える人たちに向けて、まったく新しい教養テーマを提示し、その身につけることをめざす本です。 「30代も半ば以降になって、じっくり本を読み知識を蓄えるようではもはや手遅れ」。 『amazon』『2040年の未来予測』などで時代流れを先読みしてきた著者が実践する、ビジネスや投資、企画にも役立つ「コスパのいい学び方」を伝授します。 歴史分野はテレビを観ながらウィキペディアでキーワードを検索。宇宙や生命科学分野は、月1回定例的に特定のサイトをチェックするなど、予備知識&暗記いらず、忙しいミドルエイジのビジネスパーソンでも簡単に真似できます。まわりと同じことをしていては差がつきません。本書でぜひ、数歩先の未来を読む勉強法を身につけましょう。

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