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好物は焼肉、大の苦手はトマト。大谷翔平をつくる食生活のリアル

集英社オンライン / 2022年7月10日 13時1分

エンゼルス・大谷といえば徹底した食事管理で知られる。番記者9年目を迎える筆者が、日本ハム時代から確立されていた大谷の食生活に対する考え方を紹介する。

ダルビッシュから助言を受ける

最初に驚いたのは2年目の2014年のシーズン後だった。自主トレの拠点を置いた千葉・鎌ケ谷の寮では、食事にトンカツや空揚げが出されるというが、大谷は「衣は全部取ってから食べます」と話していた。当時、93キロ。大幅増量を目標に掲げ、「体重を増やす以上、食べるだけ食べてもいいと思っている。ただ、低脂質・高タンパクが大事」とも語っていた。

しかし、同年は投手として前半に9勝(1敗)も、後半は9試合で2勝(3敗)と蓄積疲労によるスタミナ不足を痛感。当時からクレープなど甘いもの好きとして知られていたが「チョコレートとかは夜に食べない。(食べる時も)タイミングを考えている」と自制。全ては徹底した食事管理と筋力トレーニングで鋼の肉体をつくりあげるためだった。



その成果もあり翌15年に投手3冠に輝くと、今度はシーズン後に食生活を一変させた。トンカツの衣を外してから食べる行為については「今は体を大きくしているので特にそこまではやっていない」と明かした。さらにビュッフェ形式の寮の食事では「揚げ物コーナー」が設置され、チーム関係者は「特に夜はかなり食べている」と話していた。

写真はイメージです(画像:photoAC)

同年12月には元背番号11の先輩・ダルビッシュと合同トレーニングを敢行し、体づくりの助言を受けた。「栄養面、トレーニングを含めて、正しい練習をどれだけこなせるか重点的にやっていて、凄く勉強になった」。プロテイン摂取などを含め1日6、7食の食生活を続けた。

そして、年明けの16年1月6日の自主トレ公開日。「だいぶ体重は増えてきた。オフに入ってから7、8キロ。上半身、下半身、体幹、全体的に大きくなっている。(今の体重は)100キロくらいです」と人生で初めて体重が3桁の大台に達したと告白した。メジャー5年目の22年現在の体重102キロの基礎はこの時にできあがったといえる。

タマネギのみじん切りにもトライ

食生活による「体づくり」の転機はもう一つある。メジャー移籍後の18年のキャンプ前。プロ3年目の15年からアドバイザリー契約を結ぶ株式会社明治の担当者から栄養情報のレクチャーを受け、同行した調理師と調理実習を実施した。

タマネギのみじん切りから大谷自身が実践し、チキンライスの上にのせたオムレツにナイフを入れると〝ふわとろ〟の卵が開いていく「タンポポオムライス」をつくった。白米や玄米を鍋で炊く方法も教えられ、自分で日本と変わらぬ「おいしさ」を再現できるようになった。

写真はイメージです(画像:photoAC)

同年のシーズン後に「自炊といっても朝だけ。軽くオムレツをつくったり、その程度かな」と照れながら話していたが、料理への意欲が失われることはなかった。手術を受けた左膝のリハビリに時間を割いた19年のシーズン後こそ「Uber Eats(料理の配達アプリ)」を利用した食生活を送っていたが、20年のシーズン後には「自分で3食つくって食べていますよ。(メニューは)ご飯とタンパク質ですね。肉やホタテ、魚介系などが中心です」と話していた。

当時、料理技術の向上については「本当にゆでたり、焼いたりとか質素なものですね(笑)。調味料とかなるべく使ったりしないので。あとはフルーツを食べたりとか、野菜をゆでてそのまま食べたりとか。そんな感じで健康な食事を3食、食べています」とも。全ては野球につなげる「体づくり」のためだが、明治の担当者によれば「トリュフ塩をかけたら全部おいしい」と話していたこともあったという。

大谷翔平が苦手な食べ物は......

ここからはストイックな大谷が「食」で見せる意外な一面に触れたい。大谷が日本ハム時代の2017年に球団事業の一環で小中学校の校内放送向けに寄せたコメントは興味深かった。「僕が好きな給食メニューは米粉パンでした。モチモチとした食感が大好きでチョコレートクリームをつけて食べるのが大好きでした。給食の献立に両方がそろう日をとても楽しみにしていました」。米粉は小麦粉に比べて栄養素も豊富で、炭水化物のほかにもたんぱく質、脂肪、ビタミンなどが含まれる。自然に栄養価の高いものを好んで食べていた。

大谷の苦手な食べ物はトマト。同じく日本ハム時代の2017年に応援大使を務めた北海道月形町で開催されたシーズンオフのトークショーの最後には「飲んだことがない」というトマトジュースを一気に飲み干し、町民から大歓声を浴びた。後にも先にも大谷がトマトを食べた(飲み込んだ)のはこの時だけかもしれない。

焼肉でチームメイトをおもてなし

アスリートとは縁遠い存在というイメージだが、ポテトチップスだって時には食べる。2021年9月、私は米国出張にあたって大谷に「東京ばな奈」とカルビーがコラボした進化形ポテトチップス「じゃがボルダ」(カツオと昆布のうまみだし味)を渡したことがあった。

当時はコロナ禍の影響でクラブハウスでの取材ができなかったため、球団関係者を通じて渡したが、後日に水原一平通訳が「人生で食べたポテトチップスで一番おいしかったらしいです」と大谷からの伝言を届けてくれた。同年は試合後に主砲トラウトの部屋に選手数人で集まってピザやチキンウイングを頼んで、テレビのニュースで他球団の結果やハイライト映像を見ながら、交流を深めることもあったという。

写真:アフロ

好物は焼き肉、寿司。遠征先からアナハイムに戻ってきた今年の5月19日のオフには水原一平通訳、先発左腕サンドバル、外野手マーシュと4人で、焼き肉店で外食を楽しんだ。
マーシュ、サンドバルにとっては初めての日本式の焼き肉。大谷と水原通訳が全てのメニューを注文して、「おもてなし」した。

ユッケ、タン、リブキャップ(リブロース上部の希少部位)などに挑戦したサンドバルは「本当に最高だった」と振り返り、マーシュも「全てが初めての経験で楽しかった。ボンディング・エクスペリエンス(絆を深める経験)だった」と感激の表情を浮かべた。

21年シーズン後の日本帰国時には外食に行く時間がなかったため、久々の焼き肉を仲間たちと楽しんだという。

大谷は7月5日に28歳の誕生日を迎えた。一般的には心技体においてプロアスリートとして全盛期にあたるが、明治の担当者によれば、大谷は「30歳くらいまでは体の進化を求め、技術はその後に追い求める」と話しているという。現代野球の常識を覆す活躍を続ける二刀流。「食生活」に注目すれば、今後の進化のヒントが見えてくるかもしれない。

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