日本に行くべきか、それともウクライナに留まるべきか––––。
空襲警報が連日のように鳴り響く首都キーウ。その中心部のホテルで4月下旬、通訳者のアナスタシーヤ・ドローシナさん(30)は、葛藤する気持ちを吐露していた。この春から日本の法政大学への留学を控えていたが、戦火の母国に家族を残して行くかどうか、決めかねていたからだ。
「もし私が東京へ行ったら、大好きな街キーウと家族には今後会えなくなるかもしれません。ロシア軍に攻撃されて家族に何か起きる可能性もありますから。それに寂しくなるし。だから日本には行きたいですが、迷っています」
4回目の挑戦でやっと手にした国費留学のチャンス。その「夢の切符」を使うか否かの決断を迫られていた。