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コロナ後遺症や疲労疾患にはコエンザイムQ10? 最新研究結果と対策

集英社オンライン / 2022年7月12日 16時1分

新型コロナ罹患後の「コロナ後遺症」を含めた疲労に関する疾患などを対象に、コエンザイムQ10との関連性を調べた研究結果が発表された。コエンザイムQ10は、コロナ後遺症のバロメーターとなるのか?

私は最近ずっと疲れている。仕事量が多いせいだろうか。それとも家庭や育児の悩みがあるから? もしくは単なる加齢による体力減退かもしれない……。

そんな疲れたライターが向かったのは、都内某所で開催された「疲労の新常識」に関するセミナーである。

中でも注目は、新型コロナウイルス感染症(COIVD-19)にかかった方に起こるといわれる「long COVID」、いわゆる「コロナ後遺症」に関する新たな調査結果だ。さっそくその内容をお伝えしたい。


コロナ後遺症の鍵を握るのは「コエンザイムQ10」?

この通称「コロナ後遺症」とは、新型コロナにかかった後に一定の症状が持続している状態を指す。メディアで多く報道されたのは味覚障害や脱毛などだが、罹患後から続く倦怠感や、身体活動後に起こる極度の疲労感、頭が何となくぼんやりする「ブレインフォグ」、筋肉痛なども挙げられており、社会問題となっている。

このコロナ後遺症について研究を進めていたのが、ナカトミファティーグケアクリニックの中富康仁(なかとみ やすひと)院長だ。専門は、脳科学や慢性疲労症候群に関する臨床・研究。2022年6月11日に開催された「日本疲労学会」において、「COIVD-19後遺症患者における客観的な疲労関連評価の検証」という調査結果を発表した。

「今回の調査に当たって、まずは2014年4月〜2022年5月の間に疲労関連検査を受けた計1747名の患者のデータを選定。

その中で、新型コロナ罹患後に倦怠感などが残る『COVID-19感染後 筋痛性脳脊髄炎(もしくは慢性疲労症候群)』と言える方や、ワクチン接種後に何らかの症状が残った『COVID-19ワクチン接種後遺症』の方、うつ病の方などのうち、コエンザイムQ10サプリメントの摂取履歴のない157名のデータを洗い出しました」(中富さん)

コエンザイムQ10とは、人間の体内でエネルギーを生産するミトコンドリアに作用する成分のこと。体内の酸化を防ぐ「抗酸化作用」を発揮するともいわれている。疲労や慢性疲労を軽減する目的で、サプリメントから摂取する方も多い。

セミナー配布資料より

以前から行われている研究によって、パーキンソン病やがん、メニエール病などの病気を患っている方や、慢性疲労と関わりが深いうつ病の方は、健常者に比べて血中コエンザイムQ10の濃度が低いとされている。そのため「コロナ後遺症患者のうち、疲労感が強い方も、血中コエンザイムQ10濃度が低いのではないか」という仮説が立ったのだ。

コロナ後遺症患者などに見られる「血中コエンザイムQ10濃度の低さ × 酸化ストレスの高さ」

「選定した157名の患者の血中コエンザイムQ10濃度、そしてコエンザイムQ10が作用する酸化ストレスを測定したところ、『健常者と比較して血中コエンザイムQ10濃度が低く、酸化ストレスが高い』という傾向が見られました」(中富さん)」

この調査と関連して、1ヶ月から6ヶ月未満の疲労(亜急性疲労)を抱えている成人を対象に、還元型コエンザイムQ10を12週間かけて摂取してもらう研究も行われている。その結果、疲労感や眠気の改善などが見られている。

セミナー配布資料より

今回のように「コロナ後遺症を含めた疲労に関する疾患をもつ方をまとめて、体系立てて評価した調査は、おそらく世界で初めて」と中富さん。この調査結果が「問題提起」となり、今後世界的にさまざまな研究が行われることを願っているそうだ。

コエンザイムQ10がコロナ後遺症や疲労に関連するなら、日々どうやって摂取したらよいのだろうか。血中のコエンザイムQ10濃度を測定する方法は? その答えも教えてくれた。

コエンザイムQ10は「肉類・魚類」から効率的に摂れる

コエンザイムQ10を食事から摂取するなら、どんな献立がおすすめなのか。ここからは、和洋女子大学家政学部健康栄養学科の鈴木敏和先生が教えてくれた。

「コエンザイムQ10は体内で生産されていますが、食事からも摂取しないと減少してしまうような成分です。よって25〜40%は食事から摂取するのが望ましいといわれています。

コエンザイムQ10の摂取目標は定められておりません。しかし日本人の食習慣であれば、1日あたり5mgのコエンザイムQ10を食品から摂取可能であるというのが通説です」(鈴木先生)

コエンザイムQ10を効率よく摂取できるのは、豚肉や牛肉、鶏肉といった肉類や、ニシン、ニジマスなどの魚類など。またゴマ油などの油分にも含まれている。これらの食材を積極的に食べて、酷暑が続く季節を乗り切りたい。

2022年7月4日~7月8日にタニタ食堂にて提供された、和洋女子大学鈴木研究室監修のメニュー

気になる血中コエンザイムQ10濃度は? 検査ツールも登場

疲労が続く人は、自身の血中コエンザイムQ10濃度が気になるだろう。最後に登壇した株式会社マイクロブラッドサイエンスの西村知晃さんが、提供している検査ツールを紹介した。

「当社の提供する『MBSキャピラリー』は、指先から数滴の血液が採取できるツールです。受検者自身で血液の採取が簡単に行えます。またほんの少しの血液だけで、通常の腕からの採血と同等の検査精度を実現しています」(西村さん)

セミナー終了後には、このMBSキャピラリーを使って参加者の血中コエンザイムQ10濃度を測れるコーナーが設けられた。疲労に困っている私もさっそく参加。

自分用の測定キットが配布される。中身はMBSキャピラリーやアルコール不織布、絆創膏など。

コエンザイムQ10濃度を測る検査ツール

採血方法は簡単。MBSキャピラリーのキャップを取って指先にその先端を当て、自分のタイミングでボタンを押すだけ。小さな傷から出た血液を、MBSキャピラリーに採取したら終了だ。何気なくボタンを押したら、「バン!」という小さな衝撃とともに針が指先を突いたので少し驚いた。

対応を担当してくれた臨床検査技師によると、「通常の採血は医療行為なので医師のオーダーが必要ですが、検査ツールなら『自傷行為』に当たるので医師の許可が不要」とのこと。この結果結果は「Lifee」というアプリから10日程度で届くそうだ。


コロナ後遺症や疲労感などの軽減に困ったら、コエンザイムQ10に着目してみるのもよいかもしれない。何より重要なのは、自身の体調に目を向けて健康的な生活を送ること。「健康は一日にしてならず」である。

取材・文/金指 歩

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