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「恋愛に興味なし」でも恋愛模様を描く、注目の漫画家・黄身子って?

集英社オンライン / 2022年7月14日 11時1分

今、TwitterやInstagramなどで若い女性に支持を得ている漫画家・黄身子。若い女性が主人公の恋愛模様を描き、フォロワーの恋愛相談を聞く一方で、自身は「リアルの恋愛には消極的だ」という。 しかし、その感性で描かれた4コマ漫画は、恋に悩む女性の共感、時には心の救いともなっている。彼女の創作の原点や、アイデアの源は何なのかを探った。

恋愛漫画は描いているけれど、リアルの恋愛に興味はない

――黄身子さんが描く女の子たちのリアルな心理表現と、かわいらしいタッチの絵は若い方にとても共感を呼んでいますよね。

ありがとうございます。でも、私自身は全然恋愛体質ではないんですけどね(笑)

――えっ、そうなんですか? てっきりご自身の経験などを基に書かれているのかと……。



元々は、恋愛に限らず日常の中で私が感じた矛盾を漫画にしていました。

そのほかにも自分自身に対する自意識過剰だなと感じることとか、むしろ恋愛には向いていないなという思いを描いたりしていたんです。

それをTwitterにアップしていたら、恋愛に関して「私もです」という方が結構多くて。

そういった方が増えてからは、フォロワーの方の共感につながる見せ方も意識しつつ制作するようになりました。

今は恋愛の場面に限らず、日常の中で「人間関係って難しいな」と感じたことをヒントにして漫画を描いています。

――実際、その漫画に共感する方は多く、黄身子さんのSNSにはいつもたくさんの恋愛相談が寄せられていますよね。

そうですね。でも、恋愛相談に答える場合、私はそのお相手のことを知らないことがほとんどなので、「その恋愛はこうするべき!」みたいなことは言わないように気をつけています。「本当は、あなたはこう思っているんじゃない?」と、本人の気持ちが整理できるような返答をするようにしていますね。

Twitterで公開している漫画(黄身子@mososetsunightより)

漫画が好きな子ども時代を経て、「美術を学びたくて」京大に

――現在、漫画を中心に発信されていますよね。そもそもなぜ漫画という表現方法になったのですか?

子どもの頃から漫画が好きだったんです。「りぼん」「ちゃお」「なかよし」はどれもよく読んでいましたし、中学生以降は別マ(別冊マーガレット)をよく読んでいました。当時から少女漫画を読むのが大好きでしたね。

だからといって最初から漫画家になりたい!と強く思っていたわけではなく、いつかは作品を描いてみたいと思う程度でした。

誰でも一度は感じるような、恋愛の切なさや難しさを印象的に表現(黄身子@mososetsunightより)

――今のスタイルに辿り着いたきっかけは何だったのですか?

高校時代は油絵を描いていて、学生時代は大学で現代美術を専攻して学んでいたのですが、その中で、私自身にできる表現は、日常の隣にあるような身近でかわいいものだと気付きました。それが今のスタイルにつながっていると感じます。

――黄身子さん、大学は京都大学とお聞きしました。なぜ美術を学ぶために京大へ?

本当は美術系の大学に行きたかったのですが、親や学校の先生に反対されて。京都大学が自由な学風というのは知っていたので、大学の勉強以外にも好きなことができるかなと思い選びました。美術史や美術の理論が学べる専攻もあったので、そこに進みました。

――美大を諦めて京大というのは、珍しいですね!

そうかもしれませんね(笑)。高校時代から、美術を学べるところに行きたいという思いは強かったです。学生時代に美術を学べたからこそ、「自分にはどんな表現方法が向いているのか」に気付けたなと思っています。

「可愛くない状況」を可愛く描きたい

――黄身子さんの漫画は4コマで、幻想的に表現されていることが特徴ですよね。

4コマで表現しているのは、その方が得意ということもありますが、より感情移入して読んでいただけると思ったからです。

状況を詳しく描こうとすると、現実社会の縛りや立場、その状況まで描かないと成り立たなくなってしまいますが、私は作品の中で主人公とその相手の気持ちだけをフォーカスしたくて、あえて現実的なものを含まないファンタジックな雰囲気にしています。

非現実的な世界観の方が、読者がそのストーリーに引き込まれすぎず、自分と重ねながら読めるんじゃないかなと思うんです。

――恋愛のリアルな悩みや葛藤が、非現実的な世界観で描かれるのは、ある意味アンバランスな世界観な気がします。

そうですね。みんなが同じように抱えている恋愛や人間関係の悩みを、ファンタジーな世界に落とし込みたいという意図があります。可愛くない状況を可愛く描きたい、と言いますか(笑)。

そういうミスマッチさは大事にしているところですね。

可愛くない状況を、可愛く(黄身子@mososetsunightより)

脱サラし、さらなるアートの世界へ

――以前より漫画家、イラストレーターとして活躍されていますが、実は今年の4月まで会社員だったんだとか。

はい。つい最近までダブルワークという形で美術系の出版社で働いていましたが、今は創作の方をしっかりやりたくなり退職しました。

Twitterで連載中の漫画も、書籍で先行して読める(黄身子(@mososetsunight)より)

7月23日に本を出すことになったのですが、出版の機会をいただいたことが決断につながりました。

『本当のヒロインはこんなこときっと思わない』(黄身子・著、すばる社・刊)

――今回の書籍刊行といい、ますます活躍が期待されていますが、これからの展望やチャレンジしたいことがあれば教えてください。

4コマ漫画での表現は、今後もライフワークとしてやっていきたいです。それ以外だと、長編作品にもチャレンジしているので、そちらも力を入れていきたいです。

これまでは作品に余白を残すことで感情移入してもらっていましたが、架空の人物に感情移入するという形の楽しみ方もしてもらえるようにしたいですね。

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