カツ丼の歴史は謎に包まれている。大正時代に東京・早稲田近辺で生まれたという説が一般的だが、同時期に大阪で生まれたという説もあるし、山梨では「明治時代からカツ丼がある」と主張する蕎麦店もあり、諸説粉々なのだ。
最もよく知られている卵とじのカツ丼は、東京・早稲田が発祥といわれる。同じく早稲田発祥でもソースカツ丼は福井に移転した店を祖とする説が強い。ソースカツ丼なら群馬や長野などにも老舗が存在する。山陽地方のデミ(グラスソース)カツ丼ほか、“新潟タレカツ丼”“沖縄チャンプルー(野菜)カツ丼”など、それぞれの地方に各地域の特色が色濃く表現されたカツ丼がある。
ところが、岐阜のカツ丼は実に不思議なのだ。通うほどにカツ丼のイメージが混乱していく。
代表的な岐阜のカツ丼としては、瑞浪市の「加登屋食堂」の“あんかけかつ丼”がある。