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鳥谷敬が実践してきた「感情をコントロールする」これだけの方法

集英社オンライン / 2022年7月17日 18時1分

現役時代から「メンタルが強いですね」と言われることが多かったという鳥谷敬氏。だが、本人にそうした自覚はなく、ただ「気にすることを限定していた」だけだという。誰にも言わなかった苦悩を初めて明かした著書『明日、野球やめます 選択を正解に導くロジック』より一部抜粋、再構成して、鳥谷流の「メンタルコントロール」の極意をお届けする。

現役時代、ガッツポーズをしなかった理由

感情をコントロールするということも、長年意識してきたことのひとつだ。阪神のユニフォームを脱ぐことになった経緯を人に話すと、「もっと怒ってもいいのでは?」という反応も多かった。

ただ、怒っても結果が変わらないのであれば、怒る時間がもったいない。権限を持っていないところを動かそうとするなら、その権限を持つしかない。



プロ野球選手として球団から絶対に戦力外通告を受けたくないと思えば、球団社長になるしかないのだ。とはいえ、球団社長になったとしても、それはそれでまた違った問題が出てくるに決まっている。結局、どのポジションになっても、自分でコントロールできないことについては、どうしようもないのだ。

怒ることで、それが力に変わる人はそれでいい。例えば、監督やコーチから怒られて、「ふざけるな」と思いながら打席に入り、ホームランを打ってしまうバッターもいると思う。

ただ、自分の場合は、感情を抑えられずにイライラして、腹を立てた時の結果が非常に悪かった。高校でピッチャーをやっていた時もそうだった。

冷静に考えられなくなった自分がどれだけ能力を発揮できないかということを、それまでの経験で知っているので、感情をコントロールするということを常に意識しているのだ。

相手に与える影響を考えても、自分が損をする場合が多い。例えば、審判に自分の感情をぶつけてしまったことによって、次の打席でのジャッジに影響するなど、必ずデメリットがあるので、トータルで考えた時にグラウンドでは感情を出さないということを決めていた。

あまりガッツポーズをしないということも、同じ理由だ。試合中にガッツポーズをしたい気持ちになる場面は当然あるのだが、まだ試合が決まっていない場面で、そういうことをするのがどうなのか?という気持ちのほうが強かった。

浮かれすぎてもいけないし、相手の気持ちを奮い立たせてしまってもいけない。感情を出すことのメリット、デメリットを冷静な状態でよく考えてみてはどうだろうか。

人の話を真に受けない

いろんな人の話をよく聞くほうだと思う。情報はたくさんあったほうがいいので、できるだけ多くの人の話を聞いたほうがいいと思っている。ただ、基本的には人から言われたことを、そのまま取り入れることはない。

なぜなら、何かを選択した時に、出た結果を全部自分の責任にしたいからだ。全部自分の責任にするために、人からもらった選択肢をそのまま受け入れるのではなく、一度自分のなかで整理してから判断することを心がけている。

仮に人から言われた選択肢を受け入れるとしても、あくまでも選択したのは自分なのだということを忘れてはいけないと思う。

本来、人はメンタルが弱いものだ。そもそも人間の「才能」として、人からの批判に耐えるという能力は、生まれつき備わってはいないと思っている。

危険を回避する、恐怖、不安を感じるというような、生存本能として人間が備えている基本的な「才能」とは違う。もし、メンタルが強い人がいるとすれば、それは自分がどうなったら弱さが出るのかをその人が知っているということだと思う。

例えば、エラーをしてしまったとする。気持ちはどうしても、次はエラーしたくないというネガティブな状態になる。すると体はガチガチになり、ますますエラーをしやすくなる。

だが、どういう状況になったら自分がエラーしやすいかということさえ知っていれば、同じような状況になることを避けることができ、結果として次はエラーをしなくて済むようになる。

自分は他者から見たらメンタルが強いように見えるらしく、「メンタルが強いですね」とよく言われた。だが、決してそんなことはない。ただ気にすることを限定しているだけなのだ。

誰でも、すべてのことを気にしていたら、いつか精神的に参ってしまうだろう。人の言っていることや、人がどう思っているかを基準にして考えると、どうしてもそれに影響され、振り回されてしまう。なので、自分はそれを視界に入れないようにしている。そうすると、メンタルが強いとか弱いとかいう前に、それにまつわる感情が生じないので、精神的に参ってしまうということがない。まあ、それができているので、結果的にメンタルが強いと言われるのかもしれないが……。

他の人が言うことを気にする必要はまったくない。応援してくれる人は、たとえ失敗しても応援してくれる。応援してくれない人は、たとえ成功しても叩こうとする。そういうものだと思っている。

明日、野球やめます
選択を正解に導くロジック

鳥谷 敬

2022年6月24日発売

四六判/224ページ

1,650円(税込)

ISBN:

978-4-08-781722-5

プロ野球界屈指の遊撃手として、阪神タイガース・千葉ロッテマリーンズで活躍し、2021年シーズンをもって引退した鳥谷敬、引退後初の著書。

「40歳まで遊撃手を守る」「試合に出続ける」という目標をみごとに体現したプロ野球人生18年間。
NPB歴代2位の1939試合連続出場、遊撃手としては歴代1位となる667試合連続フルイニング出場という輝かしい軌跡を辿るとともに、誰にも言わなかった苦悩の日々を初めて本書で明かします。
さらに、プロ野球という個性派集団の中で“ポジション”を守り抜いた著者ならではの思考・発想も紹介!

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