は? そんなこと言う? おかしいだろ!
と、思った時にはあとの祭りだ。怒りの根源の相手は、すでに目の前にいない。
あの時、即座にああ言えばよかった、こう切り返すべきだった。頭の中でビシッとした「最適解」を探せば探すほど、それと程遠いふにゃふにゃの返しをしてしまった自分に腹が立つ。相手へと自分へとで2倍になった怒りの矛先の向けどころは、どこにもない。それは出口を失いマグマとなり、体内で増幅して、頭をカンカンに熱くする。肩はガチガチに固くなり、歯まで食いしばってしまう始末だ。
だめだ、これは頭にも悪いし体にも悪い。寿命が縮む。
そうして私はひとつ深呼吸をし、麦原だいだいの『気持ちいい体』を手に取る。鬱々としやすい気質の麦原さんが、ひたすら「気持ちいい」を取りにいく漫画だ。サウナ、温冷入浴、登山、焚き火、チリコンカン、ストレッチ、ハンモッキング、などなど。戸惑いながら挑戦し、気持ちよさにたどりつき、時には心が体から解き放たれるような爽快感までも得る。その様子を目で追っていると、体に入っていた力がすううっと抜けていく。
漫画に心をほぐされたら、ストレッチしたり温かいものを飲んだりして体もほぐす。そうすれば、頭の熱もひいていく。