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素人にファンがつく大喜利の熱狂。シーンの中心人物が激推しする歴代の名回答

集英社オンライン / 2022年7月26日 14時1分

プロのお笑い芸人と素人が混ざり合い、回答の面白さで切磋琢磨している大喜利シーンは今、動員が増えている真っ最中だ。チケットが即完売する企画ライブや有名芸人も輩出しているこの界隈の中心にいるプレーヤーたちに、大喜利の魅力やおすすめの動画コンテンツを聞いた。

回答のぶつけ合いで盛り上がっていくスパイラル

人気急上昇中の大喜利シーン。その盛り上がりの背景を探るべく、今年5月、東京・新宿ナルゲキで開かれた「大喜る人たち season21」終了後、プロとアマチュアの出演者たちに座談会形式で話を聞いた。

座談会メンバーは、芸人の寺田寛明、警備員(ハチカイ)、Yes!アキト、アマチュアの六角電波、ぺるとも、冬の鬼、加えて主催者の小川悠介。前編では、大喜利シーンが盛り上がってきた経緯を聞いたが、後編では大喜利の魅力を聞きながら、おすすめのコンテンツを紹介してもらおう。



――プロ・アマ入り乱れ、シンプルにお題に答えていく「大喜る人たち」。ライブを見ると、大喜利特有の熱狂がありますね。

冬の鬼 「その場限り」だからかなと思います。今言われたことをどう活かすか、というところで楽しんでいるから。

ライブ終了後のナルゲキ客席にて。左列手前から時計回りに寺田寛明、警備員(ハチカイ)、六角電波、ぺるとも、冬の鬼、Yes!アキト、主催の小川悠介 ※プロフィールは前編に詳しい

Yes!アキト 大喜利って、全員で入れ替わって回答していくじゃないですか。回答のぶつけ合いをしてそれが盛り上がっていくスパイラルがあるというか、独自の生態系を形成しているような感じがします。「大喜る人たち」のように演者と観客がはっきり分かれているライブでも、お客さんとそれを共有できている気がする。「大喜る人たち」のYoutubeのコメント欄にもそういうノリを感じますね。

――相乗効果があるのはライブの醍醐味ですね。

Yes!アキト 「そういう答え方の角度があるんだ! じゃあ俺はこうするぜ」って発見のし合いなんですよ。だから回答がすっげぇところまで行くときがありますね。「もうついていけねえよ!」みたいな。

警備員 回答を遠くに飛ばしすぎて、お題と関係なくなってしまうときもありますね。

Yes!アキト 僕、さっきB'zのお題でイエモン(ザ・イエロー・モンキー)歌ってたし。

寺田寛明 意外とそういうのが受け入れられてるよね。(お題は)コウメ太夫だって言ってんのに全然違うネタのパロディをやり始めたり(笑)。(自身が主催している)「大喜利千景」にもあったノリですが、怒られると思いながらやってたんですよ。

警備員 演者にとってはめちゃくちゃ楽しいノリ(笑)。

寺田寛明 コメント欄とかを見てると、楽しんでもらえてるなぁと。これは発見ですね。どこまで遠くに飛ばして受け入れられるかって観客次第なので、探り合いです。今日ならここまで飛ばしてもウケそうだな、みたいな。

Yes!アキト 1個目の回答で飛ばしすぎるとわからないとかね。

六角電波 大喜利プレイヤーしかいない場だと、全員がそのお題に対する答えを考えてるから、当然出てくるべき回答はもうみんな頭の中にあるんですよね。だからとにかく遠くに飛ばして裏切らないとウケないんですよ。

一つの回答が欠けていたら起きないことが起きる楽しさ

警備員 「大喜る人たち」の場合はそういう前提がないから、いきなり飛ばすと「なんであの話はしないの?」ってなる。一人の回答者がバーンと遠投せず、回答者みんなでちょっとずつ投げて遠くに飛ばしていく感じですね。「ファミマの店員vsノブ」というお題のときはそれがうまくいった例だと思います。

Yes!アキトがいなければ始まらなかった魅惑の回答集

冬の鬼 確かに。共犯関係ですね。

Yes!アキト 「ファミマの店員 vs ノブ」は最初に俺が「ジャンボだったらあるのにな」って言い出したから起き得た一大センセーションですよ!

警備員 言わなくてもみんな感謝してますよ(笑)。

Yes!アキト 「Yes!アキトがいなければ始まらなかった魅惑の回答集」ってキャプションに書いといてください。

六角電波 多分、大喜利の魅力ってそういうところなんですよね。誰か一人がいなかったら、一つの回答が欠けたら起きないことが起きる楽しさがある。

冬の鬼 「メンヘラな、くノ一、どんなの? 」の時とか、そうですね。お題に沿ってない、と怒る人もいそうな暴投だけど、面白すぎてオッケーというレベルです。

警備員 で、それだけ暴投したあとに、主催の小川さんが一切怒らないで褒めてくれるのが最高(笑)

小川はむしろお題に沿わない「暴投」を期待しているそう

冬の鬼 「大喜る人たち」はYouTubeとかのコメント欄の治安もいいよね。「大喜る」をきっかけに、お題から逸脱していく面白さが動画で残って、それをわかってくれる人が増えた。

寺田寛明 昔は『IPPONグランプリ』(フジテレビ系)や『着信御礼!ケータイ大喜利』(NHK)みたいなお題にしっかり当てた答えしか認めない人も多かったよね。

警備員 「キモいだるま落とし、どんなの?」の動画も、2万回視聴でそこまで再生回数が伸びているわけではないんですが、最初のわかりやすい回答から回答が崩れていくまでが美しいのでおすすめの動画ですね。

六角電波 逸脱していくものでは、僕は「大喜らない人たち」という企画が好きで。裏読みの企画なので、普通の「大喜る人たち」に見慣れてから見ていただくと面白いです。おすすめは「入園料10円の遊園地の特徴とは?」。

Yes!アキト あれは(一緒にユニット活動をしている)どんぐりたけしがいなければ成立しない魅惑の動画です。

Yes!アキト、どんぐりたけし、サツマカワRPGの3人で活動するユニットの「怪奇!YesどんぐりRPG」は活発に大喜利ライブに参加。写真はサツマカワRPG

「全国にぺるともが届いている」

――大喜利にしかないグルーヴがあるわけですね。それが「大喜る人たち」によって外にも広がっていった。

六角電波 全国に波及しているなと感じてます。広島在住の大喜利プレイヤーが、広島開催の文学フリマでアマチュア大喜利プレイヤーのエピソードをまとめた本を販売したそうなんです。ニッチですが結構買ってくれる人がいて、「大喜る人たち」でぺるともさんのファンになったという人も買いに来たらしい。

寺田寛明 全国にぺるともが届いている(笑)。

ぺるとも ありがたいですけど(笑)。

寺田寛明 「大喜利渋谷杯」も発端は、ぺるともなんですよ。

劇場を出るぺるとも(左)と警備員(右)

――「大喜利渋谷杯」は、渋谷スクランブル交差点のマルチビジョンにぺるともさんが映し出されたり、規模感のあるライブでした。どういう経緯で開催されたんですか?

寺田寛明 東急と渋谷カルチャーカルチャーの合同でやっている「渋谷渦渦(うずうず)」というイベント公募プログラムに採用されて開催されたものです。渋谷ロフト9を借りて「ぺるとも熱帯夜」というライブをやったのですが、それを見た渋谷カルチャーカルチャーの人が面白いから応募してみれば、と。このイベントは一般のプレイヤーがもっと増えてほしくて、大喜利を盛り上げるお祭りができればと思って構成しました。

六角電波 実際、大喜利をやる側になりたいという人はすごく増えてますよ。僕は今も会議室でやるような大喜利会を主催したりしていますが、一回に集まって成立する回答者の数って70人くらいが限界なんです。それを募集すると5分で埋まって、キャンセル待ちまで相当数集まる。

警備員 女性のアマチュア限定の「つぼみの会」も40人とかすぐ集まるそうですよ。

冬の鬼 中高生の子もいるらしいよね。

人前に出ないだけで面白い人がまだまだいる

――みなさんが10代の時に始まった「ネット大喜利」が発展していって、今また10代の子につながっているのは熱い展開ですね。今、注目すべき大喜利プレイヤーは?

六角電波 もともとがネットとか会議室でやっていた内輪の界隈ですから、進んで人前に出ないだけで面白い人はたくさんいます。例えば、OGAKUZUZさんとか、もとから界隈では面白いって評判だったのを、小川さんが見つけてくれてライブに出始めた。まだまだ面白い人が出てくると思いますよ。

Yes!アキト メジャーなところで言うと、真空ジェシカもそうですし、キュウのぴろさんが大喜利やってて面白いんだっていうのも見てほしいですね。あと、僕は田んぼマンがおすすめ。田んぼマンっていう、田んぼマンっぽい人がいるんですよ。

六角電波 まだ彼に誰も会ったことがない状態のオフ会で、駅で待ち合わせたんですが、改札を通っていく人たちの中からなんとなく「あれが田んぼマンさんじゃないですか」って言った人が本当に田んぼマンさんだったんですよ。

一同 (笑)。

六角電波 それと、僕は直泰さんがおすすめです。「大喜る人たち」にも呼んでほしい! 面白いし、自分もあんな回答出せたらなぁって思います。

寺田寛明 直泰はまだ理解されるのに時間かかるんじゃない?(笑)

劇場を出る寺田寛明(左)、Yes!アキト(右)

六角電波 いや、いけるんじゃないですか(笑)。

ぺるとも 僕は蛇口捻流さん。絶対面白い。彼を面白くないって言ってる人を見たことないし、彼のコンビのデッサンビーム自体が面白い。

――主催者としてプレーヤーを呼ぶ側の小川さんはいかがですか?

小川悠介 この間ライブにお呼びしましたが、フランツ土岐さんが面白かったです。

サムネイルの人物が土岐真太郎(フランツ、マセキ芸能社所属)

一同 あー! めっちゃ面白い!

Yes!アキト なんだろうねアイツ、面白いんだよね。

警備員 手数(回答数)も多いし。

寺田寛明 髪の長さがすでに面白いですよね。

一同 (笑)。

小川悠介 それと、人ではなくて動画ですが、「大喜る人たち」初期の「睡眠不足のプログラマーが作ったポケモン、どんなの?」をぜひ見ていただきたいです。

女芸人No.1決定戦「THE W」優勝前のオダウエダも両者出演している

――経緯や出演者を知らなくても、切り取った動画でも楽しめるのは大喜利のよさですね。

Yes!アキト 初見の人には見方がムズい界隈ではありますね。誰が芸人で誰が素人なのか把握しにくいという……でも、だからこそライブで自己紹介から見ると、さっき言っていたような相乗効果も感じられて楽しめるのでおすすめですね。

冬の鬼 やっぱりライブ全編を見てほしいですよね、前のお題の流れがあったりもするから。

寺田寛明 「大喜利渋谷杯」をやってみてよくわかったんですが、主催者は規模が大きくなるとしんどいんですよ(笑)。ライブは今くらいの規模で続けながら、テレビとかのもう少しメジャーな場所に今のメンバーを持って行けたらと思います。

警備員 『スピードワゴンの月曜The NIGHT』(ABEMA)に呼んでもらったときみたいな。

寺田寛明 はい。なので、配信でメジャー度を上げてくれた「大喜る人たち」にはとても期待しています。

左から時計回りに、寺田、冬の鬼、ぺるとも、警備員、六角電波、Yes!アキト

取材・文/宿無の翁
撮影/幸地一成

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