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社員の主体性の有無が、『オフィスの床』を見るとわかる理由

集英社オンライン / 2022年7月27日 13時1分

社員の主体性は「オフィスの床」を見ればわかる⁉ 発行部数4万部を超える 『こうして社員は、やる気を失っていく』の著者・松岡保昌氏はこう指摘する。その真意を、書籍の内容を一部抜粋してお伝えする。

「当事者意識」のある社員は「主体的」に動く

自ら考えて動く。積極的にチャレンジする。このような行動が習慣化し、それを大切にしている組織に共通する特徴は、社員に「主体性」があることです。

「主体性」とは、決められたことを率先して行うというニュアンスの「自主性」とは違い、何をすべきかから自分で考え、行動し、その結果についても責任を持とうとする態度です。

社員の「主体性」が生まれる大前提となるのが、「当事者意識」です。 「当事者意識」とは、その物事に直接関係しているという自覚です。いわば、その物事を「自分事」として感じることです。それによって社員は自分から進んで物事に取り組もうとしますし、問題から逃げずに解決しようとするのです。



積極的で能動的な態度が生まれるのは、「自分事」になっているからこそなのです。

「当事者意識」の有無はちょっとした言動から見て取れる

たとえば、「会社が〇〇してくれないんですよ」と、なんの悪気もなく普通に言っている社員は、「主体性」がない、「当事者意識」がない。そういう人の比率が高い会社は、けっこう危ないです。

「自分たちは言われたことをやっている。上が悪い」と思っている人が多い会社も、かなりまずい。なぜなら、言われたことしかやらないからです。そのような状況で、生産性が上がるわけはないですよね。

実際に、私がコンサルティングする際に、「当事者意識」がない人が多い会社の場合には、まず、そのことの愚かさに気づいてもらうところから研修を設計します。

たとえば、こんな話からはじめます。

「あなたは、会社の入り口にゴミが落ちていたら拾いますか? 自分の会社だと思っていたら拾いますよね。でも、『当事者意識』のない社員ばかりの会社は拾わない。表現は過激ですが、腐りかけている会社の社員は拾わずに通りすぎるのです。自分の家にゴミが落ちていたら、普通は拾いますよね。会社も同じで、『当事者意識』のない社員は、会社が自分のものじゃないから拾わない。『当事者意識』の有無は、そういう小さいところから出はじめるのです」

落ちているゴミを拾うかどうかは、ささやかなことと思うかもしれません。しかし極端な例を言うと、目の前で火事が起こっても、「当事者意識」がない人は、「火事が起こっていますよ」と上司や総務に報告するだけで、目の前で燃えている火を、自分で消そうとはしないのです。

採用面接で「当事者意識」を判断できる質問

私はコンサルティングでいろいろな会社を訪れますが、他にも危険な兆候はあります。たとえば、古い昔のポスターが普通にそのまま貼ってある。入り口の植物が枯れていても、そのままに放置されている。

いずれも、社員は、毎日見ているはずです。見ていても、気づかない。気づいていても、やろうとしない。「当事者意識」がないと、関心すらなくなるのです。これらは、危ない兆候です。

さらに言えば「当事者意識」や「主体性」というのは、入社する前からすでに微妙な兆候が表れています。

たとえば採用面接で、同じ「成長」という言葉からも次の2つのパターンに分かれます。

・「私を、どのように成長させてくれますか?」と質問してくる人
・「私は成長したいので、それを支援してくれる制度はありますか?」と聞いてくる人

ちょっとした違いかもしれませんが、意識は大きく違いますよね。誰かが成長させてくれると思っている人が、果たして成長するでしょうか。

成長とは、自分のことです。「当事者意識」を持って主体的に学ぼうとしないかぎり、成長などしません。会社ができるのは、そのような人に、研修で学ぶ場、仕事で実践する場を与えてあげることだけなのです。

同じく面接で、学生時代のアルバイト経験を尋ねても、「主体性」のある人は「こんな工夫をした。こんなことを学ぶことができた。失敗したこともあったが、大きなものを得ることができた」など、いきいきと話します。

一方、「主体性」がない人は、お金を稼ぐための手段としてしかアルバイトを見ていないので、とくに工夫もしておらず、深い話が聞けないことが多いのです。

こうした、ちょっとした話からも「当事者意識」や「主体性」は感じ取れるのです。

「当事者意識」や「主体性」の欠如した集団で起こること

「当事者意識」や「主体性」は、その会社の当人である、そのビジネスをやっている当人であるという意識を、社員がどれくらい強く持っているかどうかによります。
実際に、「当事者意識」が欠如すると、仕事の押しつけ合いがはじまります。よく言う「たらい回し」は、その典型です。 「うちの仕事の範囲ではないので、誰かがやってくれるだろう」。そんな意識で仕事を押しつけ合う集団が、仕事の質を高め、生産性を向上できるはずがありません。

また、たとえばお客さんから何か要望が出たときに、「主体性」がない担当だと、「ごめんなさい、うちではそれはできないんです」のひと言で終わります。

ところが、「主体性」があると「おや、なんでそのような要望をされるのだろう?」と疑問に感じ、「ごめんなさい。それはうちではすぐにはできないのですが、どういうご事情でしょうか?」と聞いてみる。そして「前例はないのですが、一度社内で検討してみますね」などと対応します。つまり、今後に活かせる情報をキャッチできるの です。

「当事者意識」はどうやって生まれるのか

ただし、この「当事者意識」や「主体性」は、目の前にニンジンをぶら下げるといった発想などでは醸成できません。社員が、組織の理念やミッション、ビジョンに共感しているかどうかも大きく影響します。 「われわれはこういう価値をお客様に提供する」ということで共感性を高めていれば、やりがいを持って仕事にあたります。

たとえば、チェーンストアの店長が、ある他店舗での成功事例を聞いたとします。「当事者意識」がある店長であれば、その成功事例を自店に置き換えようとします。自分の店でも同じようにできないかと、工夫しはじめるのです。

このことは商品開発なども含めたあらゆる仕事の、あらゆる現場でも言えることです。

「当事者意識」が高い社員がいる職場では、「なんでなんだろう? 次はこうしてみよう。だったら、ああしてみよう」と試行錯誤を繰り返しながらブレイクスルーすることで、ヒット商品や、まったく新しいやり方などのイノベーションが生まれているのです。

では、どのようなときに、人は、仕事を「自分事」としてとらえるのでしょうか?

結論からお伝えすると、それは、仕事が会社のためだけではなく、自分のためでもあると心の底から思えるときです。
この仕事は、人生や自分のキャリアにとっても、意味や意義があり、とても価値があることだと思えるときに「自分事」になるのです。

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