幼少期に会津戦争を経験し、母と死別したカシは、養子に出されて、一人横浜へ。「フェリス・セミナリー(のちのフェリス女学院)」で寄宿舎生活を始めます。新しい時代の息吹にあふれた場所で恩師となる人と出会い、懸命に英語を学び、友情を育むなかで、己の生きる道を見出していくカシ。女性であっても「自立」したひとりの人間でありたい――。愛する同志を得て、結婚、出産をしながらも、翻訳・創作に命を燃やし、31年の人生を駆け抜けました。梶よう子さんの新刊『空を駆ける』は、名作児童文学『小公子』の翻訳家として知られる若松賤子の物語です。刊行にあたり、お話を伺いました。
聞き手・構成=小元佳津江/撮影=露木聡子