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いわくつきの怪奇スポット、“血の出る松”の写真に映ったあり得ないもの

集英社オンライン / 2022年7月28日 17時1分

ゴルフの帰りにちょっとした好奇心で訪れたいわくつきのスポット。そこで撮った写真にこんなことが起きるなんて……コラムニスト・佐藤誠二朗氏が体験を語る。

埼玉県・所沢市の奇妙な史跡へ、小学生の肝試しノリで向かった同級生グループ

埼玉県・所沢市東端の、畑と住宅街が7:3くらいの割合で混在するのどかな街の一角に、こんもりとした森がある。
そこはかつて、“滝の城(たきのじょう)”という名の小さな城があった場所だ。

滝の城は、治承4年(1180年)に源頼朝の挙兵に応じて土豪が原型を築城。
戦国時代には武蔵国守護代・大石氏が、本拠地である八王子・滝山城の支城として整え、のちには北条氏を主として拡張された城である。
しかし天正18年(1590年)、小田原征伐のために挙兵した豊臣秀吉方の浅野長政率いる軍勢に急襲されて落城。以降は廃城となり、現在はわずかな遺構を残すのみとなっている。



などとエラそうに解説しているが、これはすべて後から調べて知ったこと。
滝の城は地元の人か城マニア、あるいはよほどの歴史好きでなければ知ることのない城跡だ。
僕自身も、長年暮らした地元である東久留米市の近くであり、また、暇な学生時代を過ごした大学のキャンパスがある所沢市内の史跡であるにもかかわらず、その存在には今回の一件に関わるまで気づかなかった。

そんなマイナーな場所を訪れた理由は、些細なものだった。
半年に一度の恒例で開催している小中学校時代の友人たちとのゴルフ大会の帰りみち、関越自動車道・所沢ICを降りた際に、車を運転していた友達が唐突にこう言い出したのである。
「この近くに、“血の出る松”っていう場所があるんだけど、行ってみる?」
そのいかにもいわくありげな恐ろしい響きに、車内にいた僕を含む男3人、女1人の同級生たちは、わぁっと盛り上がった。
「なにそれ!? 心霊スポット?」
「おもしろそう! 行こう行こう!」

52〜53歳のいい歳こいた男女4人は、まるで小学生時代の林間学校の肝試しのようなノリ
で、“血の出る松”を目指したのだ。

“血の出る松”の写真には、常識では考えられないものが写っていた

“血の出る松”というのは、滝の城の西側を走る七曲坂の傍に立っていた、大きな黒松のこと。
この黒松は木肌を傷つけると赤い樹液が滴るため、ここで大勢討ち死にした城兵の血が出る松と言い伝えられてきたのだそうだ。
しかし昭和47年(1972年)には枯死してしまったために伐採され、現在は「血の出る松跡」という石碑のみが残されているのだという。

七曲坂の入り口にさしかかったとき、ハンドルを握っていた、お調子者(小学生時代のことです)のなんチンが、声を落としてこう言った。
「ここからだから。すぐ通りすぎちゃうから、ゆっくり走るぞ」
助手席に座る生真面目(同上)なほっさんも、後部座席に座るアイドル的存在(同上)のチノさんも、そしてその横に座る優等生(同上)のこの僕も、息を殺して道路の左側を見つめていた。

「ほら、ここ。ここだ!」
なんチンが、一際大きな声で叫んだ。
確かに、道路脇に何やら石碑らしきものが建っている。
車がゆっくりと通り過ぎる間に僕は後部座席左側の窓を開け、iPhoneのカメラのシャッターを切った。

後続車が来ていたので、僕らの車はすぐにスピードを上げ、“血の出る松”の横を通り過ぎた。
つまり、“血の出る松”体験はほんの一瞬の、あまりにあっけないものだった。

車内にはやや拍子抜けした空気が流れつつあったが、今さっき撮った写真を見た僕がつい上げてしまった「うっわ! なんだコレ!」という声によって、再び緊張に包まれることになった。

その写真が、こちらである……。

ヒーッ!!

怪奇現象が発生し、小学生に戻って盛り上がる50代男子3人女子1人。しかし……

こんなことで嘘をついてもしょうがないし、誓って言うが、この写真は“撮って出し”。つまり色や明るさの調整を含む加工はいっさい施していないものだ。
撮影日は7月10日で、もちろん木々はまったく紅葉などしていない季節。
そしてカメラのレンズを向けた場所は薄暗がりで、肉眼では石碑に刻まれた字を読むのも困難だった。

まるで石碑から噴き出す血のようにも見える、この赤いものは何なのだろうか……。

僕がiPhoneのディスプレイでこの写真を見せると、3人の同級生たちは一様に叫び声を上げた。
「怖い怖い怖い」
「何これ? 赤いのなんてなかったよね!」
「こんなことってある!?」

みんなの気分は間違いなく、小学生時代に戻っていた。
アイドル・チノさんに至っては、写真を拡大して「ねえ、ココに顔がない!?」とまで言い出すではないか。

ネコだ! ヒーッ!!

「ああ、あるねえ。……ヒッ。これ、ネコじゃない?」
と僕が言うと、うわあーネコだネコだとまた騒ぎ出す、50代の男子3人女子1人。

結局、車内はギャーギャーヤバイヤバイと異様なテンションで盛り上がったまま、解散場所である東久留米市の駐車場にたどり着いた。

しかし皆の荷物をおろしているとき、車の左サイドを一瞥した冷静沈着なほっさんが、得意のゴルフでパーを決める時のような表情で後部を指差し、こう言った。
「まあ、多分これだよね」

明らかに、これだ

ちなみに、みんなで乗っていたこの車は、帰りの運転をほっさんとなんチンに委ねていたものの、実は僕の車。
だから、サイドに張り出す形のブレーキランプが付いていることは分かっていて、皆がワーワー言っている途中から僕は、(あ。ブレーキランプの映り込みだな)と気づいていたのだ。

写真を撮ったiPhoneの内蔵カメラには“ナイトモード”と言う便利な機能が搭載されていて、光量が少ない場合は自動的に作動することになっている。
ナイトモードは一度のシャッターで複数枚の写真を撮影し、自動的に処理して最終的な1枚の画像を生成する仕組み。
つまり、その場ではわからなかったブレーキランプの光をカメラが拾っていて、それが写真に反映されたと推測できるのだ。

タネがわかってしまえば、なーんだという話なのだが、小学生時代の肝試しノリがとても楽しかった僕は、皆にこう言った。

「いや、まだネコの謎が解けていない。みんな、帰り道には気をつけよう……」

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