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「こんなに稼げるなんて…」増える四大卒タクシードライバーの本音

集英社オンライン / 2022年8月5日 14時0分

タクシー運転手をイメージしたときに、なんとなく中年のおじさんドライバーを思い浮かべるという人は多いだろう。でも、だけど、しかし――。最近は20代のドライバーが急速に増えつつあるという。そこで、入社2年目の同期ドライバー、中島秀二郎さんと岡本美雪さんの2人に、ズバリ、本音を訊いてみた。(トップ画像/大和自動車交通江東㈱入社二年目の中島さん)

二種免許ナシでの入社

――お二人とも、入社2年目の24歳。タクシードライバーというと、セカンドキャリアの方が多いというイメージがあったので驚きました。

中島 大学4年の時、どういうところで働きたいのか、職種を限定せず、幅広く考えていて。その中で、たまたま見つけたのがタクシー業界だったんです。それまでは、年配の方が多い業界というイメージしかなかったんですが、最近は、若い人が入り始めているというのを知って、じゃあ自分もそこで頑張ってみようかなと思ったのが始まりです。



岡本 私はまず、東京で働きたいというのがあって。最初は、観光業界や旅行業界志望でしたが、コロナ禍で新卒採用が難しいという状況に追い込まれ、たまたま参加した説明会で、なんだか面白そうだなと思ったのがきっかけでした。

――お二人とも、たまたま…なんですね。

中島 そう…ですね(笑)。

岡本 選択肢には、全くなかったですから。やりたい仕事ができないなら、せめて東京で働きたいという夢だけでも実現させたいという気持ちの方が強くて、福利厚生が充実しているとか、社宅があるというのは、そのオマケのように思っていました(笑)。

中島 二種免許、東京都でタクシードライバーになるために必要な地理試験の合格という2大ハードルを超えるための勉強も、入社後のカリキュラムに組み込まれているというのも、この業界を選んだ理由の一つです。

――えっ!? ということは、入社した時、二種免許は持っていなかった?

中島 はい。普通免許は学生の時に取りましたが、二種免許の資格を得たのは入社後です。そのための時間も業務の中に組み込まれているというこの会社のシステムは、本当にありがたかったですね。

岡本 私も同じです。でも中には、入社してから普通免許を取って、そこから二種免許と地理試験の勉強を並行してやっていくという人もいます。

――え〜っ!? それも、アリなんですか。

中島 ドライバーになることを目的として入社した人、限定になりますけど。その人、その人にあった教習プログラムが用意されています。

ドライバーは女性の方がいい!?

――1日20時間という勤務時間は、大変じゃないですか?

岡本 そう思いますよね。私も20時間勤務というのがどれだけ大変なのか、イメージすることすらできなかったんですけど…うわぁ、嫌だな〜とか思って。でも、途中で3時間の休憩も取れるし、わりとすぐに慣れてしまって。いまはそれが当たり前というか、フツーです(笑)。

中島 正直最初はキツかったですね。ただ、勤務した日の翌日は休みで、さらに有給とかもあるので、計算すると月の半分以上、18〜19日は休日ということで。もともと、運転は好きだったし、休みは多いし、頑張れば頑張っただけ稼げる…というのはやっぱり大きな魅力です。

――そんなに…稼げるんですか?

中島 先輩から、最低でもこれくらいは貰えるよ…と聞いていた金額があって。それでも十分に多いんですけど、実際に勤務を始めてからいただいた給料は、それよりはるかに多くて。思わず、“嘘だッ!?”と叫んじゃいました(笑)。

――とはいえ、やっぱり、大変な職業ですよね?

中島 一番苦労したのは、道です。地理試験で勉強したはずなのに、「お客さんに〇〇まで…」と言われた瞬間、地図が頭から吹き飛んでしまって。一瞬、勘でなんとかなるか!? と思いましたが、それで間違えたら最悪ですから、「新人なので、道を教えていただけますか?」と正直に、お客様にお話しして。

――それで、なんとかなる?

中島 中には、「プロのドライバーなのに道も知らないのかよ」と舌打ちされるお客様もいましたけど…。逆の立場になったら、僕もそう思ったかもしれないですし。それでも、腰を低くして、「僕に勉強させてください」とお願いすると、皆さん、最後は、しょうがないなという顔で、教えてくださいました。

岡本 そういう意味では、女性ドライバーの方が得をしていると思います。私はそんなに嫌な思いをした経験はないですから。

――どういうことですか?

岡本 女性ドライバーというだけで、皆さん、やさしく教えてくださるので。道を間違えてもそんなに怒られないですし、夜の時間帯は、女性のお客様から、「女性ドライバーでよかった」と言っていただけることもありますから。

中島 男のドライバーでよかったと言われたことは、一度もないですね。羨ましいというか、ずるいなぁって、思います(笑)。

あるある失敗談

――失敗談を教えてください。

中島 いっぱいありすぎて、困るんですけど(苦笑)。一番は…深夜、上野で乗ってこられたお客様が、「小岩まで」と言った次の瞬間、眠ってしまって。道はひたすらまっすぐ走るだけなので、迷うことはないんですけど、小岩の手前で、「お客様、もうすぐ小岩ですが」と声をかけても、半分、酔ったまま、「まっすぐだ」と言うだけで。

岡本 本当に、まっすぐ走っちゃった?

中島 そう(苦笑)。今だったら、一度車を止めて、お客様がちゃんと起きるまで、何度でも声をかけるんですけど、当時はまだ新人の頃で…。お客様が、まっすぐだというんだから、まっすぐ走ろうと。

岡本 どこまで走ったの?

中島 千葉の市川あたりまで走ったときに、お客様が突然むくりと起き出して、「ここ…どこ?」と。

岡本 それは…かなり、まずい……(笑)。

中島 そう…なんだけどね。ひたすら謝って、冷や汗をかきながら、小岩まで引き返して。跳ね上がった料金どころか、チップまでいただいちゃって。嬉しいような、哀しいような、情けないような…複雑な気持ちになったのを覚えています。

岡本 失敗談というか、心にダメージを負ったのは…お客様に道を教えていただきながら走っていて、降り際無言のまま、エコーカードを取られたときです。

――エコーカードというのは?

岡本 お客様が、苦情や意見などを直接、会社に伝えることができるハガキで、日付と車番が記載されているから、もう一目瞭然で。

中島 何をやらかしたの?

岡本 まごつきながらも、なんとか目的地まではたどり着いたんですけど、最後の最後、お客様から、「次の信号を越えたところでいいから」と言われたとき、「えっ!? あっ、はい。かしこまりました」と言っている間に、目の前の信号が赤になって。しかも、運悪くそのタイミングで料金メーターがカシャンと上がってしまって……。

中島 あー、よくあるパターンのやつだ…。でも、それって僕らにも、どうしようもないことなんですけどね。

――他にも、ありますか?

岡本 う〜〜〜ん。あるような気もするんですけど…。思い出せないくらい、毎日が楽しくて。タクシードライバーになって本当に良かったと思っています。

中島 そういうのを聞くと、やっぱり、女性ドライバーの方が得をしているんじゃないかとな思いますね(笑)。

取材・文/工藤晋 撮影/神田豊秀

若手ドライバー対談後編
「22歳の女の子がタクシードライバーになるまで」はこちらから

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