今回のゲストは、タレントの武内由紀子さんです。武内さんは、1993年に「大阪パフォーマンスドール」のリーダーとしてデビューした後、今田耕司さん東野幸治さんと結成したユニット「WEST END×YUKI」からリリースした「SO.YA.NA」でブレイク。タレント活動や舞台女優を経て、40歳の時に7歳年下のパン職人の男性と結婚しました。武内さんは特別養子縁組制度で長男、長女を迎え、現在は子育てに奮闘する日々を過ごしています。前半では4年間の不妊治療を経て迎えた特別養子縁組という形、憧れていた家族像について話を聞きます。(この記事は全2回の1回目です)
【私のウェルネスを探して】武内由紀子さんが不妊治療を経て「特別養子縁組制度」でふたりの子どもを迎えるまで
集英社オンライン / 2022年8月5日 10時1分
今回のゲストは、タレントの武内由紀子さんです。武内さんは特別養子縁組制度で長男、長女を迎え、現在は子育てに奮闘する日々を過ごしています。前半では4年間の不妊治療を経て迎えた特別養子縁組という形、憧れていた家族像について話を聞きます。
引っ込み思案だけどアイドルに憧れ、夢を叶える
武内さんは、大阪生まれ大阪育ち。生粋の大阪人ですが、幼少期はとても控えめで、活発な姉と比べて引っ込み思案だったそう。だけど、憧れていたのはアイドル。松田聖子さん、小泉今日子さん、中森明菜さんらトップアイドルたちがスモークの中から出てくる姿に憧れ、小学5年生からオーディションに応募し始めます。アイドルの夢を諦めないまま、中学・高校へと進学。転機が訪れたのは19歳の時でした。
「よしもとが主催した『大阪パフォーマンスドール』のオーディションでした。16人が選ばれた中で私が一番年上だったので、リーダーに抜擢されたのですが、内気な性格もあってか全然やりたくなくて(笑)。そうしたら、よしもとの会長で当時は社員だった大﨑洋さんが、『じゃあ挙手制にしよや』って言ったら、みんなが『やりたい!』と手を挙げて。それを見て、まずいなと思って私も手を挙げたら『なんやねん!!』と突っ込まれて。結局、私がリーダーになりました」
大阪パフォーマンスドール時代の武内さん(写真提供/武内由紀子さん)
当時はオリジナルの曲が少なかったため、「東京パフォーマンスドール」の曲を歌うこともあり、市井由理さんのパートを担当することが多かったそう。それがきっかけで、「EAST END×YURI」の「DA.YO.NE」のカバーで抜擢され、「WEST END×YUKI」でリリースした「SO.YA.NA」が、多くの人に知られるきっかけになりました。
「アイドルになれたことが本当に嬉しかったです。大阪パフォーマンスドールに所属していたのは3年ほどでしたが、歌もダンスも夢中になってやりましたね。歌はさておき、ダンス経験はほぼなかったので、そこで勉強したようなもの。その後は、女優やタレント活動をしていましたが、30歳になる直前、舞台と出会ったことがとても大きかったです。ゼロから作り上げていく時間がとても楽しくて幸せな時間でした。当時はまだ、結婚願望や家族への憧れもなかったですね」
不妊治療をしていた4年間は、とても辛かった
28歳の時に一般男性と結婚しますが、相手も武内さんも仕事に没頭していたため、結婚生活は6年ほどで終わりに。その後友人からの紹介で、7歳年下の今の夫と出会います。「物静かで、いつもニコニコしている人だった」という夫と付き合いを重ね、早々にプロポーズを受けます。子どもができたら入籍しようと思いながら、4年経った40歳の誕生日に入籍します。
「彼と付き合って、家族を作りたい、子どもが欲しいと思うようになりました。でもなかなか子どもができませんでした。30代で産みたかったので、私だけで婦人科に通い初めて不妊治療を始めました。2年3年と経ちましたが状況は変わらず。入籍すると、体外受精などの高度な治療が受けられたり、治療費の助成もあります。東京都では、助成を受けられるのが42歳までという制限があったこともあり、急ぎたい気持ちもあって入籍をしました」
不妊治療をしていた4年間は、とても辛かったと振り返ります。仲のいい友人がどんどん出産しママになる。友達の子どもと遊んでいても、いつかママの元に帰ってしまう。街を歩いていてもマタニティマークをつけた人や、ベビーカーを押している人が目についたり。「普段は気にならないものでも、すべてが気になるんですよね。なぜ私はあそこに辿り着けないんだろう、と。自分の中が空っぽな気がしました」。そんな時、同じ不妊治療をしている友人から言われた言葉ありました。
産むことは諦めても、育てることは諦めきれなかった
「『養子は考えてないの?』と。その時は『いやいや、そこまでする気はない。子どもができなければ、夫と2人の生活を考えるよ』と答えました。そのやりとりが頭に残っていたんでしょうね。不妊治療をこれで最後にしようと決意した日。結果がダメだったと分かった瞬間から、スマホで特別養子縁組について調べていたんです。その直前までは、2人の生活でいい、夫はパン屋、私は舞台の仕事を頑張ればいいと思っていたんですよ。でも違いました。産むことは諦めたけど、子どもを育てるってことは諦めきれなかったんです」
武内さんが子どもを育てたい、家族を持ちたいと思う理由。それは自身が育った環境や今置かれている状況が、そう思わせているかもしれないと振り返ります。
「私が13歳の時に親が離婚して、母の実家で暮らすようになりました。福岡に住んでいる姉も、3人の子どもがいて実はシングルマザーで。生まれ育った大阪に、もう実家がないんですよ。それがとてもさみしいなと思うんです。従兄弟には実家があって、帰省したら生まれ育った家に帰る。親戚のおばちゃんに『実家があっていいなあ』って言ったら、『あんたが作ったらええやん!』って言われたんです。『ああ! なるほどな』と思って。それで今住んでいるこの家が、実家になったら嬉しいなと思って。子どもが巣立った時に、帰ってくる家があるといいなと思ったんです」
さらには、子どもがいない30年後の生活を想像した時。ちょうどまわりは孫ラッシュが続く中、「自分には子どもがいないし孫もいない。なぜあの時、そうしなかったんだろう」と後悔するだろうと思ったからだと言います。
特別養子縁組で親になるのにも年齢のリミットがある
特別養子縁組で子どもを迎えることについて、それぞれの親に報告しました。夫の両親は、「家族がいること、子どもがいることは人生の中で大切なことだと思うから」とすぐに賛成。しかし、武内さんの母や姉は、子育ての苦労を知っているからこそ「そこまでしなくてはいけない?」という気持ちを伝えたそう。しかし最終的には武内さん夫婦の決断を応援してくれたと言います。
そこから特別養子縁組制度をあっせんする民間団体を探し始めます。武内さんが見つけたのは、NPO法人が行う「赤ちゃん縁組」でした。半年から1年ほどかけて、育ての親になるための審査と登録を行い、養子として迎える赤ちゃんを待ちます。その時初めて知ったのが、親になる側にも目安の年齢があることでした。
「0歳児を受け入れた時、成人するまでの年齢から逆算すると、親側の年齢も45歳以下が理想。体力的なことや経済的なことも考えると、子どもとの歳の差が40歳くらいがいいということでした。そもそも産むわけではないので、制限がないと思っていましたから。養子縁組と特別養子縁組、違いがあるのも初めて知りました」
養子縁組と特別養子縁組は、戸籍上の表記が異なります。養子縁組は、族柄が「養子(養女)」などと記載されますが、特別養子縁組では「長男(長女)」と記載されます。
不妊治療を45歳までするとして、そこから養子縁組を考えると、時すでに遅しという場合も。武内さんは、「私が通っているクリニックでは、養子縁組については一言も言われませんでした。どうするかはさておき、早めに知りたかったし、選択肢として知っておくことは必要だと思います」と振り返ります。
45歳で長男、47歳で長女を迎える
武内さんは45歳で登録、研修や待機期間を経て2018年に長男、2020年に長女を迎えます。特別養子縁組では基本子どもの性別は選べません。団体によって子どもの名付け方も異なり、実母が決めるケースや迎える側の親が決めるケースもあるそう。実母との関わり方も色々で、長男の時は実母に会ったそうですが、長女の時は会えなかったと言います。
後半では、子育て真っ最中の武内さんの今、子どもたちにいつ事実を告知をするのか、武内さんが特別養子縁組制度について発信を続ける理由について聞きます。
武内由紀子さんの年表
1973年 大阪府に生まれる
13歳 両親が離婚し、母親と姉と、母の実家で暮らし始める
20歳 「大阪パフォーマンスドール」のオーディションに合格。リーダーを務める
22歳 ラップユニット「WEST END×YUKI」として「SO.YA.NA」をリリースして話題に
23歳 「大阪パフォーマンスドール」解散。タレント、女優活動へシフト
28歳 一般男性と結婚
29歳 舞台の仕事に没頭し始める
34歳 離婚
40歳 7歳年下のパン職人の男性と入籍、不妊治療を始める
45歳 特別養子縁組で長男を迎える
47歳 特別養子縁組で長女を迎える
撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子
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