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タクシー業界の秘密兵器。乗客と車をマッチングする「AI需要予測サービス」

集英社オンライン / 2022年8月5日 14時1分

タクシー運転手になるために必須の地理試験って? お客さんが乗りやすいスポットが、AIによって学習されてることは知ってた? 広告業界も注目する新しいタクシー広告の手法とは? 8/5「タクシーの日」にちなんで、誰かに話したくなる最新タクシートリビアをお届けする。

タクシーセンターで購入ができる、地理問題例集

タクシー運転手が受験する地理試験って知ってる?

「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」通称、地理試験とは、二種免許と同じ国家資格で、おもに東京、大阪、神奈川の指定区域でタクシードライバーになるためには必須となる試験だ。

試験の出題範囲は、通りの名前、交差点名はもちろん、名所・旧跡、駅、著名なホテル、公園、建物など多岐に渡り、40問中32問…正解率80%以上で合格という、超・狭き門なのである。



タクシーに乗った際ドライバーさんに「◯◯までお願いします」と目的地を伝えると、多くのドライバーさんは「◯◯通りから、◯◯通りを抜けて、◯◯交差点を右でいいですか?」と、瞬時に目的地までのルートを確認してくる。このやり取りは、地理試験の知識があるからこそなのだ。

せっかくなので、問題を解いてみよう!
※解答は、記事の最後に掲載しています。

問題1
次のA群の幹線道路が、B群の幹線道路と交わる交差点名を下記の解答群の中から選びなさい。

A群幹線道路 B群幹線道路 交差点
青梅街道 ― 吉祥寺通り (1)
環七通り ― 池上通り (2)
方南通り ― 山手通り (3)
靖国通り ― 中央通り (4)
新青梅街道 ― 中杉通り (5)

ア、 須田町 イ、関町交番前 ウ、春日橋 エ、鷺宮四丁目
オ、清水橋 カ、小川町 キ、貫井二丁目

問題2
次の乗車地から降車地までの、最短経路で経由する交差点名を解答群の中から順番に選びなさい。

乗車地 岩波ホール→
(1)→(2)→(3)→春日町→(4)→(5)→都営三田線 巣鴨駅

イ、 白山二丁目 イ、千石一丁目 ウ、水道橋 エ、本郷三丁目
オ、上富士前 カ、三崎町 キ、壱岐坂下

ちなみにベテランドライバーともなると、地理が頭に入っているだけでなく、天気、曜日、イベントの開始時間と終了予定時間といった基礎情報を元に、その日の戦略を構築。どのエリアをメインに攻めるのか? 車に乗り込む前に、走るコースを思い描いているというのだ。

さらにすごいのは、緻密に描いた戦略に、培ってきた経験をプラス。「こっちの道の方がお客さんがいそうだ」とか、「あそこに行ってみよう」とか、それぞれがその場その時に合わせた、鋭い勘を働かせていること。

では、新人ドバイバーはどう頑張ってもベテランのドライバーには勝てないのか!?

どうやら昨今はそうともいえないようだ。新人ドライバーたちの大きな味方といえるのが、大和自動車交通が、ソニーと共同で開発したAIによる「需要予測サービス」。その驚きの機能を紹介する。

Z22MA第003号

大和自動車交通が日本初導入したソニーのAI需要予測サービスとは?

カーナビと同じ位置に設置されているので、一見、カーナビと間違われやすいが、ソニーグループが開発し、大和自動車交通が日本で初めて導入した、AIによる「需要予測サービス」を知っている人はまだ少ないだろう。

このAIによる「需要予測サービス」は2019年から開発を進め、2021年にサービス導入開始、2022年7月には東京都内を走る大和自動車交通グループの約2000台以上のタクシー車両すべてに搭載されたこ。これはお客さんを乗せた後に機能を発揮するものではなく、その前…どのポイントにタクシーを待っている人がいるか、どこを走らせたら、お客さんがたくさんいるのかを予測するシステムだ。

言ってみれば、過去の膨大なデータとベテランドライバーの経験と勘をそのまま搭載したような優れもの。効率的にお客さんとマッチングできる秘密兵器なのだ。

機能その1: 需要予測
東京都内を500m四方ごとのエリアに分割。需要が高いとAIが予測したエリアが赤くハイライトされ、高需要スポットをピンポイントでドライバーに知らせる。お客さんが乗りやすいスポット等を約2年間、AIが学習し、サービスの提供に至った。

機能その2: おすすめルート表示
目的地までお客さんを運んで戻る際、お客さんが乗る確率が高いスポットを経由するルートをAIが提案してくれる。不得意なエリアからも無駄なく戻ることが可能に。

機能その3:特需発生通知
電車の運休、遅延情報、大型イベントの終了など、タクシー需要が急速に高まるエリアや時間帯をリアルタイムで検出し、ドライバーに通知するサービス。もしかしたら今、東京のどこで何が起きているか、一番詳しいのは、タクシードライバーかもしれない。

機能その4: 空車動態表示
今、走っている道の前に、何台の空車が走っているのかを地図上にリアルタイムで表示してくれる機能。運転手にとって目の前の空車はただの商売敵でしかない。即座に道を変え、新たなお客さんとの出会いを提供してくれるのだ。

などなど、ここでは全ては明かせないが、ドライバーにとって有益な情報を得ることが出来るシステムが搭載されている。うまく活用すれば、新人ドライバーでも、入社後すぐに、ベテランドライバー並みの収入を得ることが可能だとか。

我々乗客にとっても、乗りたい時に空車が来てくれやすいサービスというのは、嬉しい限りである。

また、乗車だけではなく、街でタクシーを見かけた時に思わずワクワクしそうな最新の広告サービスを最後に紹介したい。

東京を走る広告塔としてのタクシーの新たなテクノロジー

「東京の街をギャラリーに変える」
というコンセプトで、都内を走る100台のタクシー(大和自動車交通&国際自動車)に導入されたのが、モビリティ車窓メディア『THE TOKYO MOBILTY GALLERY Canvas』。

空車で走るタクシーの後部左側の窓に広告を映し出す新サービスで、サイドガラスには、AGC株式会社が独自開発したガラス製透明スクリーン「グラシーン」を搭載。お客さんが乗車しているときは透明なガラスで、空車時のみクリエイティブが投影されるという、摩訶不思議なシステム。
WEBサイト「日経クロストレンド」にて紹介されるなど、注目が高まっている。

社内に設置された映写機

何を隠そうその記念すべき第1弾として、2021年8月に登場したのが、“最新99巻&100巻年内到達記念”として走った大人気漫画『ONE PIECE』とのコラボタクシーだ。

主人公、モンキー・D・ルフィが「海賊王におれはなる!!」と叫んだ1巻から、99巻までの名シーンを1台ごと合計100台に投影したタクシーが、都内の道を走り回っていた。ちなみに2022年の10月までの枠は既に売り切れてしまっているらしい。広告業界からも注目を集めるサービスだ。

© 尾田栄一郎/集英社

© 尾田栄一郎/集英社

今回の取材でわかったのは、我々が知らない間に、タクシー業界は様々な進化を遂げていたという事実だ。特にAI需要予測サービスのような、我々一般のお客さんにとっても便利なイノベーションが、これからもタクシー業界に起こることを願ってやまない。タクシーの更なるDX化に期待しよう。



地理試験の答え

問題1

A群幹線道路 B群幹線道路 交差点
青梅街道 ― 吉祥寺通り 関町交番前(イ)
環七通り ― 池上通り 春日橋(ウ)
方南通り ― 山手通り 清水橋(オ)
靖国通り ― 中央通り 須田町(ア)
新青梅街道 ― 中杉通り 鷺宮四丁目(エ)


問題2

乗車地 岩波ホール→
三崎町(カ)→水道橋(ウ)→壱岐坂下(キ)→春日町→白山二丁目(ア)→千石一丁目(イ)→都営三田線巣鴨駅



取材・文/工藤晋

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