①明青学園 VS 須見工(『タッチ』小学館)
東東京代表を決める一戦。甲子園未経験の明青学園をエース・上杉達也が引っ張る。永遠のヒロイン・浅倉南の「甲子園につれてって」という希望を実現できるかどうかのまさに大一番。
対する須見工を牽引するのは、天才打者として全国にその名を轟かせる新田明男。2人の対決が試合の主軸になるのは確かなのだが、事故死した弟・和也の思いを背負おうとする達也、明青学園に復讐するはずが本来の野球人へと戻っていく柏葉英二郎監督、さらには意外なプレーで試合を動かす須見工の2年生・大熊など、複雑に絡み合った思いが名勝負を編み上げていく。
連載当時、「何だよ、あだち充! 野球の勝負シーンもちゃんと描けるんじゃないか!」と多くの読者を驚かせた試合であり、野球マンガの大家となった今でもベストワンに挙げられることの多い一戦である。
試合のラスト、勝負が決するのと同時に、亡き和也もひとつの奇跡を残す。柏葉英二郎監督との後日談も、あだち充らしい言葉のやり取りを使ったエピソードで胸にグッと来る。