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大阪桐蔭が3度目の偉業に挑む。「甲子園春夏連覇」は過去に7校だけ

集英社オンライン / 2022年8月12日 9時1分

104回目となる夏の甲子園が開幕した。なかでも注目は、史上初の「3度目の春夏連覇」をかけて挑む大阪桐蔭高校。そして、史上7校目の「夏連覇」に挑む智弁和歌山高校だ。では、過去の「連覇」にはどんなドラマがあったのか。『甲子園レジェンドランキング』(集英社)から一部抜粋・再構成してお届けする。

過去に7校だけの〝春夏連覇〟

球児の誰もが憧れる究極の目標、それが甲子園での優勝だ。「春のセンバツ」と「夏の甲子園」、年に2度ある栄冠を目指し、日々、白球を追って練習している。

全国に約4000校あるうち、春と夏の甲子園でどちらも優勝する「春夏連覇」を達成した学校は7校だけ。それだけ難しい大偉業なのだ。平成になって、はじめてこの春夏連覇を達成し、「平成の怪物」と呼ばれたのが横浜(神奈川)のエース、松坂大輔(元・西武など)だった。



【歴代甲子園“春夏連覇”チーム】
1962年 作新学院(栃木)
1966年 中京商(愛知)
1979年 箕島(和歌山)
1987年 PL学園(大阪)
1998年 横浜(神奈川)
2010年 興南(沖縄)
2012年 大阪桐蔭(大阪)
2018年 大阪桐蔭(大阪)

■決勝ノーヒットノーランで春夏連覇 松坂大輔(横浜)

高校に入学したばかりのころ、「サボりのマツ」と呼ばれるほど練習嫌いだった松坂。だが、2年夏の神奈川大会で、自分自身の暴投でサヨナラ負け。それ以来、嫌いだったランニングで誰よりも走り、地味な基礎練習にも文句をいわずに取り組むようになった。

2年の秋以降、どのチームにも負けなくなった横浜は1998年春、第70回センバツ大会に出場。その最初の試合で、松坂は甲子園球場では高校生史上初の球速150キロを記録。この剛速球に加え、高校生のなかにひとりだけプロがいる、といわれるほど鋭く曲がるスライダーを武器に連戦連勝。5試合すべてが完投勝利、そのうち3つが完封という圧倒的な内容で、見事、センバツ優勝を成しとげた。

全国の球児が憧れる存在になり、追われる立場となった松坂だったが、夏の甲子園大会でも主役の座は譲らなかった。延長17回までもつれる死闘となった準々決勝のPL学園戦では松坂が250球をひとりで投げぬき、完投勝利。その翌日、「今日は投げません」と宣言してはじまった準決勝では、リードを許していた9回表にマウンドへ。3者凡退に打ちとると流れは横浜へと移り、奇跡の逆転勝利を呼びこんだのだ。

つづく決勝戦では、大会史上59年ぶりとなる「決勝ノーヒットノーラン」。最後の打者から三振を奪い、松坂はガッツポーズ。史上5校目の春夏連覇達成の瞬間だった。

〝琉球トルネード〟でつかんだ「沖縄の悲願」 島袋洋奨(興南)

1998年の横浜の次に春夏連覇を達成したのが2010年の興南(沖縄)であり、その立役者が、左腕エースの島袋洋奨(元・ソフトバンク)だ。

身長172センチという小さな体をめいっぱい大きく使おうと編み出した投げかた、「琉球トルネード」から繰り出すキレのあるストレートと変化球で三振を奪うのが島袋の得意のパターン。

はじめて甲子園に出場した2009年春、第81回センバツ大会で「1試合19奪三振」を記録し、全国区の投手になると、2010年春、第82回センバツ大会でも1回戦から14個の三振を記録。その後も順調に勝ち進み、決勝では東京の雄・日大三と対戦。互いに5点を取り合って延長戦にもつれこんだが、島袋は延長12回をひとりで投げきり、興南がセンバツ優勝を達成した。

春に優勝できても、夏の甲子園では頂点に届かなかったのがそれまでの沖縄県勢。沖縄の悲願、ともいえた「夏制覇」と「春夏連覇」をかけて臨んだ第92回夏の甲子園でも、「打倒! 興南」を合言葉にむかってくる全国の強豪校を撃破。決勝戦では、神奈川の強豪、東海大相模を退け、史上6校目の春夏連覇を達成した。

島袋は2010年春・夏の甲子園で11勝0敗、102奪三振を記録。年間奪三振数は歴代3位。年間10勝以上は松坂大輔(11勝)以来であり、2000年以降では島袋以外、誰も達成できていない快挙だった。

史上最長身選手が見せた最高の投球 藤浪晋太郎(大阪桐蔭)

興南の栄光からわずか2年後の2012年、次の主役は大阪桐蔭(大阪)。注目は身長197センチの「甲子園大会史上最長身選手」、藤浪晋太郎(現・阪神)だった。

2012年、第84回センバツ大会に出場した藤浪は、史上初となる「登板5試合すべてで150キロ以上」を記録。決勝では青森の光星学院(現・八戸学院光星)に12本のヒットを許したものの、試合には7対3で勝利。見事にセンバツ優勝を達成した。

「春勝っても、夏勝たなければ意味がないんです」と自ら語り、春夏連覇を目標に掲げた藤浪。憧れていたダルビッシュ有(現・パドレス)の投球フォームを研究して臨んだ第94回夏の甲子園大会では、初戦から14個の三振を記録。準々決勝では13奪三振の好投で相手を圧倒。つづく準決勝でも強豪・明徳義塾(高知)を相手に2安打しか与えず、完封勝利。センバツ以上の投球内容で決勝戦に進出した。

迎えた決勝の相手は、センバツと同じく光星学院。センバツでは12本ものヒットを打たれた相手だったが、準決勝と同じく相手に2本のヒットしか許さず、決勝戦史上最多タイの14奪三振を記録し、2試合連続の完封勝利。大阪桐蔭は史上7校目となる春夏連覇を達成した。最後の打者を152キロのストレートで空振り三振にした瞬間、両手をつきあげた藤浪。誰よりも高いマウンドで、誰よりも背の高い男が高みに登ったのだ。

57年ぶりの〝夏連覇〟と36年ぶりの〝春連覇〟

春夏連覇以上に難しい、といわれるのが、世代が入れ替わっても勝ち続けて2年連続で優勝する「夏連覇」と「春連覇」だ。

夏連覇の経験があるのは、甲子園の歴史でわずか6校だけ。この50年では2004年夏、2005年夏に優勝した駒大苫小牧(南北海道)だけ。2004年の大会では、大会歴代1位のチーム打率4割4分8厘という圧倒的な攻撃力で、北海道勢初優勝を達成した。

その翌年、今度は2年生エース、田中将大(現・楽天)を中心としたバランスの取れたチームで夏の甲子園に登場。決勝戦では田中が5回途中からリリーフ登板。1球投げるごとに調子をあげ、5対3とリードした最終回には3者連続三振。優勝を決めた最後の球は150キロのストレート。田中にとって人生初の「150キロ」であり、甲子園の歴史で2年生が150キロを投げたのも史上初、という投球で、57年ぶりとなる「夏連覇」を達成した。

2018年春、36年ぶり&史上3校目となる「春連覇」を達成したのが「西の横綱」大阪桐蔭だ。優勝投手になった根尾昂(現・中日)は、この前年センバツでも優勝投手を経験。2年連続での優勝投手は史上初の快挙だった。

この代の大阪桐蔭は根尾以外にも、藤原恭大(現・ロッテ)、柿木蓮(現・日本ハム)、横川凱(現・巨人)らが下級生のときから主力として活躍。彼らが最終学年を迎えた2018年はセンバツに続いて夏の甲子園でも優勝。史上初となる「2度目の春夏連覇」を達成したのだ。

そして迎えた今大会。今春のセンバツを制した大阪桐蔭は「3度目の春夏連覇」の大偉業に挑む。また、昨夏の覇者・智弁和歌山(和歌山)は史上7校目となる「夏連覇」への期待がかかる。3年ぶりに有観客の舞台で行われる夏の甲子園でどんなドラマが生まれるのだろうか。

甲子園レジェンドランキング

オグマナオト

2018年7月20日

704円(税込)

新書判/192ページ

ISBN:

978-4-08-321453-0


夏の甲子園100回大会記念!甲子園の伝説ランキングを大発表!怪物投手、ホームラン王、激闘の延長戦、奇跡の逆転劇、因縁のライバル、涙の一球、伝説の大記録、感動のドラマ、甲子園で起きた伝説を1冊に収録!100年の歴史のなかでナンバー1にかがやくのは…!?小学中級から。

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