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共働き夫婦が「最高のチーム」になるための3つの対話術

集英社オンライン / 2022年8月16日 17時1分

仕事と家庭、どちらも諦めたくはないけれどうまくいかない——そんな悩みを抱える共働きの夫婦は「対話」による解決を試みては。パートナーシップの課題解決に取り組んできたあつたゆかさんが解説する。

仕事と家庭、両方諦めたくはないけれど、どちらかを犠牲にしてしまっている——そんな悩みを抱える共働き夫婦は多いのではないだろうか。

こんな悩みへの処方箋として、7月25日に初の著書『仕事も家庭もうまくいく!共働きのすごい対話術』を出版したのは、パートナーシップの課題解決に取り組んできた、あつたゆかさん。今回はあつたさんに、パートナーと「最高のチーム」になるために必要な「対話」のコツを聞いた。

共働きの夫婦に「対話」が不可欠な理由

これまで8万人以上の共働き夫婦(未婚のカップルを含める)のパートナーシップ支援を行ってきたあつたさん。共働きの夫婦が抱える悩みには、男女ともに「仕事と家庭の両立」が多いという。

「『仕事が忙しいのに、自分だけに家事の負担が偏っている』『転職したいけれど、給料が下がるのでパートナーに反対された』など、悩みは多岐にわたります。豊かな人生を歩む上では、『ライフ』も『キャリア』も大切な要素。しかし『仕事か家庭か』の二者択一に頭を抱えている人は少なくありません」(あつたゆかさん。以下略)

共働き夫婦が仕事と家庭を両立するためには、家庭の「共同経営者」になる必要がある、とあつたさん。

株式会社すきだよ 代表取締役 あつたゆかさん

「結婚して共同生活を送っていると、結婚式や子育て、引越し、家計管理など、パートナーと協力して乗り越える『プロジェクト』が多くあります。ここで家庭内の『チームビルディング』がうまくいかないと関係性が悪化したり、ライフステージの変化によってどちらかが仕事や家庭を諦めることになったりするのです。

よって夫婦は家庭の『共同経営者』として、対話を重ね、意思決定を行いながら『プロジェクト』を運営していく必要があります」

家庭の「共同経営者」が求められる背景には、女性の社会進出によって共働き世帯がスタンダードになり、それに伴って働き方・生き方など価値観が多様化したことが挙げられる。社会変化に伴って「夫だから」「妻だから」といった性別による役割分担は消え、家族の形に関する既成概念もなくなりつつある。

お互いがどう生きたいのか、どんな家庭を作っていきたいのか。自分たちで話し合い、意思決定していかなければいけない時代なのだ。

パートナーと「対話ができる関係性」を築く3つのマインド

夫婦が家庭を運営していくにあたり「対話」は不可欠だが、パートナーとの「対話」に苦戦する人は非常に多いという。

「他愛のない『会話』はできて仲も良いけれど、ライフイベントや将来についてなどは意見が対立しそうで話し合うのが怖い、という方は多いですね。価値観の違いを恐れず、建設的な『対話』を重ね、幸せの形を自分たちの手で模索していく。夫婦にはその過程こそが必要だと思っています」

そもそもふたりの間に「対話ができる関係性」が整っていないと、対話まで行き着かないものだ。そこで「対話ができる関係性」作りのために意識したい、3つのマインドを教えてもらった。

1.対話しやすい「空気」づくり

「『パートナーが対話に応じてくれない』『意見を言ってくれない』という場合は、まずお互いが対話しやすい『空気』作りをします。ビジネスでは、自分の考えや気持ちを安心して発言できる状態を指す『心理的安全性』という言葉がありますが、家庭内でもこの考え方はとても大切です」

家庭内での心理的安全性を高めるため、話し合いが苦手なパートナーを責めないでほしい、とあつたさん。

「相手が何も反応しないとき『なぜ黙ってるの?』『何か言ってよ!』と詰め寄ってしまい、相手を萎縮させてしまっているケースがあります。相手にも『話し合いをしない権利』があり、言語化のスピードや対話しやすいシチュエーションも人それぞれです。

『残業で疲れていて今日は話す気力が残っていない』『幼少期に意見を否定されたトラウマがあり、意見を言うのが得意ではない』など、相手にも事情や背景があるはず。

対面で話すのか、LINEなどのテキストで会話するのか。モヤモヤを感じた都度話すのか、定期的に話し合いの場を設けるのか。お互いが安心して意見を言える環境を整えるのが先決です」

2.「無責的思考」で「仕組み」を見直す

2つ目の「無責的思考」とは、問題が発生したときに「誰の責任か」を追及するのではなく、「問題解決のために何をすべきか」にフォーカスする考え方を指す。

「家庭内で揉めごとがあると、つい感情的になって相手のせいにしたり、自分が悪いと思い込んでしまったりしませんか?でもパートナー間での問題の多くは『誰も悪くない』ことが多いんです。相手や自分を責めるのではなく『仕組み』を見直してみてください。

仕組みといっても難しくはありません。例えば、在宅勤務中にお互いの声によって仕事に集中できず不仲になった事例では、ノイズキャンセリングのヘッドフォンを購入したり、どちらかが別の部屋やカフェなどに移動したりすることで解決しました。このように『誰も悪くない』という前提に立つと、スムーズに問題解決ができます」

3.「戦略的ご自愛」で対話する余裕を確保する

「大前提として、価値観の異なる人間と共に生活して家庭を運営するのは、エネルギーが必要なこと。仕事の疲れやストレスを抱えた状態ではなおさらです。まずは自分を大切にして、対話をする余裕を確保しましょう。これが『戦略的ご自愛』です。

自炊にこだわらず外食やお惣菜にする、マッサージやお気に入りの入浴剤を買うなど、ご自愛の方法は何でもいいと思います。

それから、自分のコンディションを相手に共有するのもオススメ。月経周期などをシェアできるアプリを使ったり、チャットツールでその日のコンディションを共有しておけば、一緒に対策できます。相手を大切にするためにも、まずは自分を大切に!」


共働き夫婦が「最高のチーム」になるための3つの対話術

「対話ができる関係性」づくりができたら、いよいよ対話を進めていこう。パートナーと「最高のチーム」になるための対話術を3つ教えてもらった。

1. 自分を主語にした「Iメッセージ」で伝える
2. 怒りではなく「一次感情」を伝える
3. 答えを無理に出そうとしない


「1つ目のポイントは『自分』を主語にして伝えることです。『あなたはなぜ、いつも〇〇なの?』などと相手を主語にする『YOUメッセージ』は、相手の気分を害したり相手を萎縮させたりする可能性も。

そこで『私は〇〇を手伝ってくれると嬉しい』などのように、主語を自分に変える『Iメッセージ』を使ってみてください。同じ内容であっても相手が受け入れやすくなるはずです」

2つ目は「怒りではなく『一次感情』を伝える」ことだ。

「パートナーと話し合おうとすると、つい感情的になって言いすぎてしまうことはありませんか?

怒りは『二次感情』と言われ、その手前に『寂しい』『悲しい』といったネガティブな『一次感情』が隠れています。怒りをぶつけたくなったら、少し冷静になって『〇〇が一緒にできなくて寂しかった』など一次感情を開示してみると、より相手に伝わりやすくなります」

最後のポイントは「答えを無理に出そうとしない」ことだという。

「どれだけ対話を重ねても平行線で、お互いが納得できる答えが出ないケースもあるでしょう。そうなると、対話自体が怖くなったり、関係性がかえって悪化したりすることも。

そういうときは、1つの答えを出すことに執着しなくてもよいと思います。A案とB案の両方を共存させる、C案という第3の選択肢を考えてみるなど、視野を広げて柔軟に考えたら決着するケースもあります」

さらに「いったん保留にするという選択肢も検討して」とあつたさん。

「ライフイベントには、家の購入や子どもをもうけるかなど、唯一の答えを出す必要がある事柄もあります。例えば共働きカップルの多くが悩む子どもに関しては、『持つか、持たないか』の二択で考えるのではなく、まずはお互いの考え方や抱えている不安を共有することから始めてみてください。

『子どもは欲しくない』という言葉には、出産の痛みへの恐怖心や、仕事と育児の両立への不安などさまざまな理由があるはず。無痛分娩の病院を探したり、自治体の支援制度やベビーシッターなどについて情報収集することで、不安が解消する可能性もありますよね。

子どもは希望しても必ず授かるとは限らず、また話し合いが長期戦になる場合もあります。大切なのは、定期的にお互いの率直な気持ちや価値観を共有し、粘り強く対話を続けていくことではないでしょうか」

人生を共に歩もうと誓ったパートナーであっても、価値観の違いに直面し、ときにわかり合えず衝突してしまう場面もあるだろう。価値観が異なる相手と対話を重ね、共に家庭を運営していくのは決して容易いことではない。

しかし「ライフ」と「キャリア」が切り離せない今の時代だからこそ、パートナーシップに真正面から向き合うことは、豊かな人生にも繋がるはずだ。

取材・文/安心院 彩

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