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1万円で投資できるアートがずらり! 気鋭のスタートアップANDARTが仕掛ける「アートの民主化」

集英社オンライン / 2022年8月10日 13時31分

日本は世界有数の「アート鑑賞が好きな国」。しかし「アートの所有」という面では存在感が薄いのはなぜか。「アートの民主化」を掲げるANDARTに、アートを所有する「アート投資」の魅力について聞いた。

日本には数多くの美術館があり、ゴッホやピカソなど有名なアート作品が来日すると、多くの来館者で賑わう。その動員人数は世界でも2、3位を争うほどだ。

そんなアート好きな日本人だが、「アートを所有する」という面では急になりを潜める。「アートは富裕層だけが所有できる贅沢品であり、一般人には購入できない」という印象が強いからだろう。

そんな「アートを所有する」という難題に切り込んでいるのが、2018年創業のスタートアップ「株式会社ANDART(アンドアート)」である。観て楽しむだけではないアートの魅力について、同社取締役の高原大介さんに話を伺った。



※取材は「b8ta Tokyo Yurakucho エクスペリエンスルーム」で開催されている『データでみる美術展 by ANDART』会場にて実施した。この展示は2022年8月15日まで延長予定。

「情緒的」かつ「投資的」な魅力をもつアート

まずは高原さんに、日本・海外アート市場の規模や現状、コロナ禍での変化について聞いた。

株式会社ANDART 取締役COO 高原大介さん

「アート・マーケット2022によると、グローバルのアート市場は651億ドル=8.4兆円(1ドル130円として)規模で、コロナ禍の前よりも拡大しました。この要因として、コロナ禍でお金の使い道が限られた『超富裕層』が、アートに積極的な投資をしたことが挙げられます。

一方、日本のアート市場は2,000億円程度に留まり、コロナ禍以前よりも若干縮小傾向です。

海外の資産家がアートを買う理由のひとつは、アートが資産を形成する『ポートフォリオ』の一部として定着しているから。野村資本市場研究所の調査によると、世界の超富裕層は資産の5%程度をアートなどの『収集品』で保有しています。

日本の所得水準やGDPから見ても、アートを購入するポテンシャルはあります。それなのにアートへ資産が回らない背景には、そもそも『アートは買えない』という認識が強く、アートに投資する文化がないからではないでしょうか」(高原さん。以下略)

『データでみる美術展 by ANDART』で展示中の、アンディー・ウォーホル
《Campbell's Soup I (Pepper Pot)》。思ったよりも大きい

そもそもアートには、観て楽しむ「情緒的な魅力」と、資産としての「投資的な魅力」がある。日本ではこの後者に関する認識が薄い、と高原さんは言う。

ではアートを投資対象として見たとき、どのようなメリットがあるのだろうか。主に2つの魅力を教えてもらった。

「ひとつは、長期保有によって大きな価格上昇が期待できる点です。先日、元ZOZO社長の前澤友作氏が、約62億円で購入したバスキアの大作《Untitled》(1982)を手放しましたが、その売却額は約110億円と高値でした。こうした価格上昇が見込めるのが大きな魅力です。

もうひとつは、株式や債券など他の金融資産との相関性が低い点です。コロナ禍やウクライナ情勢など、市場を左右するような出来事が多い中では、資産をいかに分散投資するかがポイントとなります。アートに投資しておけば、バランスのよいポートフォリオが形成できるのです」

「アートの民主化」を実現すべく、小口投資プラットフォームを展開

独特な資産性をもつアートに、一般人でも手が届く仕組みを作りたい。そんな「アートの民主化」を実現するため、ANDARTが立ち上げられた。現在の利用者は約2万人に上る。

「アートを購入したいと思っても、どんな作品が値上がりするのかわからないし、すでに高額の作品を買うのは難しいですよね。また、そもそも家に高価なアートを飾る場所がないという問題もあります。

こうした悩みをすべて解決し、アートを気軽に所有してもらうために生まれたのが、ANDARTというサービスなんです。

ANDARTでは、弊社代表が直接買いつけた有名アート作品のオーナー権を、約1万円から購入することができます。購入した作品はオンラインからいつでも観ることができるほか、ユーザーが購入した作品を直接観られる『オーナー限定イベント』も不定期で開催しています」

『データでみる美術展 by ANDART』では、カウズ《URGE》も展示中

また2022年7月には、アート投資の体験をさらに楽しめるように、オーナー権の売買機能を強化するなどのリニューアルを行っている。

「ANDARTユーザーに利用動機に関するアンケートを取ったところ、アートに関心がある方が41%だったのに対し、資産形成としてアートを購入される方が43%と、後者が若干上回ったんです。この結果を受け、小口投資プラットフォームとしての利便性を強化しています」

ANDART内でオーナー権を売買しようと思ったとき、「うまく利益が出せるのだろうか」という疑問が生まれる。株式市場のように取引の目安となる指標はあるのだろうか。

「アートの価格は基本的に各オークションでの落札価格の変動が一つの指標にされています。ANDARTでは、『最新の参考オークション評価額』と、ANDART内での『最新取引価格』の2つを表示して、取引の参考にしていただいています。

アートは基本的に価格変動が大きく、例えば作品のコンディションなどアートの評価以外によっても落札価格がかなり低くなることもある資産なので、閲覧するタイミングによっては、大きく値下がりしているように見えることも。そのときは『参考オークション評価額』データグラフを閲覧し、これまでの値動きを見た上で判断するのがおすすめです。

また、買い手と売り手はそれぞれ売買希望額のオファーを出すことができるようになり、これまで以上に売買が成立しやすい環境を整えています。とはいえ、アートは基本的に長期投資に向いている資産なので、できれば長期保有して楽しんでいただけたら嬉しいですね」

近年人気の高いバンクシーの《Pulp Fiction》

思わぬ「NFT」の流行が追い風に。新しいアートの経済圏が生まれる日も近い?

実は、コロナ禍で思わぬ「追い風」が吹いた、と高原さんは言う。

「コロナ禍で在宅する時間が長くなったことで、おうち時間を豊かにする動きが活発化し、その文脈でアート購入が取り上げられるようになりました。

また、2021年にものすごく盛り上がったのが『NFT』。デジタルアート作品が次々と世に出るようになって、『アートってデジタルでも所有できるんだ』という認識が広がりました。ANDARTはまだNFTではありませんが、『NFTみたいにオンラインで所有・取引できるもの』として認知が拡大しています」

最後に、今後ANDARTやアート市場をどのように盛り上げていくのか語ってもらった。

「『アートを買うのは面白い!』ということを、もっと伝えていきたいですね。アートは富裕層の所有物でも、鑑賞するだけのものでもありません。アートを所有する体験から始めるすべてが、面白いものなんです。

先日は、同じアートを保有するオーナーたちがアートの売却などを議論できる『オーナー総会の開催』の受付を開始しました。株式を保有する方が集まる株主総会のように、さまざまな議論ができる場として機能したらいいなと考えています。今後はこれ以外にも、オーナーたちが共に楽しめるような仕組みを作っていく予定です。

ANDARTのようなアートの小口投資プラットフォームは、まだ世界に数えるほどしかありません。しかし約8.4兆円という世界のアート市場からすると、かなりの伸びしろがあると思います。

小口からアートを楽しむ人が増えていった先に、日本にも世界にもなかった新しいアートの経済圏を作っていけたら嬉しいですね」

撮影/山本春花


<INFORMATION>

『データでみる美術展 by ANDART』(会期延長中)

展示概要:アンディ・ウォーホル『Campbell's Soup I (Pepper Pot)』など、世界的に評価の高いアート作品と、オークションでの落札価格などのデータが共に展示されている、異色の美術展

会場:b8ta Tokyo Yurakucho エクスペリエンスルーム
東京都千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル1F
会期:2022年8月15日まで延長予定
入場料:無料
イベントサイトはこちら

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