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104年ぶりの偉業達成! 大物OBも球宴選手も大谷の2年連続MVPに太鼓判

集英社オンライン / 2022年8月10日 17時16分

1918年にベーブ・ルースが成し遂げて以来、104年ぶりとなる“2ケタ勝利&2ケタ本塁打”の偉業を達成した大谷翔平。移籍騒動も落ち着き、今シーズンはエンゼルスでプレーすることが決まっている。プレーオフ進出も絶望的なチーム状況でプレーすることに苦悩する様子も見られるが、先月行われたMLBオールスター2022では対照的な姿を見せていた。番記者9年目の柳原直之氏がお届けする。

MLBは8月2日にトレード期限を迎えた。ポストシーズン進出が絶望的となり、動向が注目されていた大谷に動きはなく、今季の残留が決まった。米メディアの報道によれば、ヤンキース、メッツ、ドジャース、パドレス、ホワイトソックスなど複数球団が大谷獲得に名乗りを挙げたという。ただ、今後も火種はくすぶり続ける。オフにかけて大谷の争奪戦が水面下で激しく繰り広げられそうだ。



そして、それを予感させるかのように、先月行われたMLBオールスターでは大谷の「2年連続MVP」獲得を予想する声が聞こえてきた。

MLBのトッププレイヤーが「MVP・大谷」と予想

今年のオールスターは、昨年と違いコロナ禍の取材規制は大幅緩和。ワクチンのブースター接種が条件だが、コロナ禍前のように両軍のクラブハウスでの取材が可能になるなど大きな変化があった。

そのため、球宴前日はオールスターに選出された全選手の会見が一斉に行われ、各ブースを忙しなく移動しながら選手に質問ができた。各選手の会見では日本メディアが質問しなくとも、二刀流・大谷の話題は必ず登場。初出場した昨季から一気にスーパースターへの階段を駆け上がった印象を受けた。

アストロズの右腕バーランダーは早くも大谷の2年連続MVPを予想し、「ちょうどクラブハウスで議論したところ。僕の答えは翔平。投打で良いシーズンを過ごし、MVPを勝ち取らないとは考えにくい」と説明。「ただ、他にもジャッジのような凄いシーズンを過ごす選手がいる。興味深い議論になる」と付け加えた。

そのヤンキースの主砲ジャッジは前半戦だけで両リーグ最多33本塁打と量産したが「MVP争いのフロントランナーは大谷」と早くも白旗を揚げていた。

現役選手だけではない。かねてから「大谷マニア」を公言する元ヤンキースのCC・サバシア氏も球場を訪れ、大谷が2年連続でMVPを獲得できると断言した。

「現時点でア・リーグのMVPは(ヤ軍の)ジャッジか大谷だろう。私は大谷を選ぶ。彼を毎年MVPにしないことが難しいぐらいだ」

通算251勝のサバシア氏は理由として、投手・大谷の好成績を挙げ「改善し続けて、どんどん凄くなっている。直球がいい」と話した。

現役のトッププレイヤー、そしてMLBに名を残すOBがMVPに推すのは異例のことだ。もし2年連続のMVP獲得となれば、今オフにも大谷の周囲はまた騒がしくなるだろう。

圧巻のフリー打撃「ファンに楽しんでもらえれば」

今年のオールスターでは、選手の試合前フリー打撃をケージから数メートルの距離で見られる機会に恵まれた。野球記者歴10年目だが初めての経験だ。

中でもヤンキースのジャッジ、スタントンの両主砲のスイングは凄まじかった。ジャッジは2メートル1、127キロ。スタントンは1メートル98、111キロの体格を誇るが、力感を感じさせないスイングから、ピンポン球のように打球を飛ばし、柵越えを連発。2人は練習中に何度も真横を通っていったが、そのたびに体の大きさに驚いた。

その2人に負けず劣らずのスイングを見せたのが大谷だ。29スイングで14本の柵越え。4セット目の2~5スイング目は、なんと圧巻の4連発。ドジャースタジアムの右翼スタンド後方の屋根の上まで届いた推定飛距離140メートル級の場外弾2連発に、スタンドはしばらくどよめきに包まれていた。一塁側と三塁側の真横、真後ろなど全方向から観察したが、他の選手と違い、まずボールを捉える甲高い衝撃音が凄まじい。また、素振りではなく、打撃練習でバットのスイング音が聞こえるのも大谷だけだった。

大谷の屋外フリー打撃は珍しく、今季は4月26日の1度しか行っていない。「もちろんファンの方に楽しんでもらえればと思っている。良い打撃練習だった」と笑顔で語っていたのが印象的だった。また、この日は登板機会はないがルーティンの「壁当て」、キャッチボールも行い、自身10勝目が懸かる後半戦初戦の22日の敵地ブレーブス戦に備えた。どんな時でも自分のペースを崩さない姿勢に改めて感嘆した。

当時はトレード期限2週間前で、大谷も話題の中心の1人だった。各球団の担当記者を取材すると「エンゼルスはチーム再建のために大谷を移籍させ、見返りに多くの若手有望株を獲得すべき」という声が多数だったが、地元ロサンゼルス・タイムズ紙のディラン・ヘルナンデス記者が「エンゼルスのアート・モレノ・オーナーが保有期間ぎりぎりの23年まで手放さないだろう」と語ったように、一筋縄ではいかない。唯一無二の二刀流が与えるチームへのインパクトはもちろん、観客動員、グッズ販売、スポンサー収入などの影響力も大きすぎるからだ。

今後エンゼルスはもちろん契約延長を目指すが、もし合意に至らなければ、トレード放出するだろうか。移籍するのであれば、どの球団が最もフィットするか。他球団のスター選手たちと楽しそうに話している大谷を見て、そんなことを考えている記者も自分だけではなかっただろう。

苦悩する大谷がオールスターで見せた笑顔

試合に入っても、大谷は野球少年のごとく楽しんでプレーしているように見えた。

プレーボール直前、5万2518人の大観衆の視線を一身に浴びた「1番・DH」の大谷は、打席前の現地インタビュアーに「今夜、最も楽しみにすることは?」と問われ「First pitch. Full swing. That's it !!(初球をフルスイング。それだけ!!)」と言い切り、笑顔で打席に向かった。

宣言通りだった。プレーボール第1球。左腕カーショーの外角90.9マイル(約146キロ)直球を強振。「いい当たりか、空振りかどちらかがいいかなと思っていた。一番、中途半端な打球だった」。バットを折られ、苦笑いで振り返ったが、最後は右手一本で中前へ。一塁ベース上では、しびれた左手を振っていた。

球宴での初回表の初球安打は同僚のトラウト以来、史上3人目。ただ、しっかりオチもついた。2番ジャッジの3球目の直後、一塁けん制球でアウト。気持ちが高揚したためか走塁用手袋を忘れ「機会があれば走りたいなと思っていた」と振り返ったが、球宴でのけん制死は08年以来、14年ぶりの珍記録。「良くも悪くも名前が出てくればいい」と、いたずらっぽく笑ったのが印象的だった。

プレー以外でも印象深い出来事があった。3回2死。バックネット裏で観戦していたメイソン・マクタフ君(10)とタイラー・センテロ君(10)は一塁ネクストバッターズサークルに立っていた大谷に勇気を出して声を掛けた。すると、大谷は笑顔で快くサインに応じた。

試合中、大谷にボールにサインしてもらったメイソン・マクタフくん(左)とタイラー・センテロくん(撮影・柳原 直之)

メイソン君が「打席の直前にわざわざサインしに来てくれるなんて」と驚けば、タイラー君も「凄く背が高かった。優しい」と大興奮。特にメイソン君は遊撃手と投手を兼ねる野球少年で、将来の夢は「僕は翔平のような二刀流選手になりたい。翔平Jr.だ」と言う。二刀流は今や米国の子供たちにとっても現実的な夢。2人の目はまぶしいくらい輝いていた。

現在、エンゼルスは地区4位に沈み、既にポストシーズン進出は絶望的。本塁打を打った後のベンチでの笑顔が少なくなったと感じているファンの方々は多いだろう。大谷はトレード期限が過ぎた8月3日のアスレチックス戦登板後に「モチベーションは、もちろん難しい」と胸中を吐露した。一方で「個人的にやらなければいけないことはたくさんある。まだまだ続く野球人生。集中してどんな状況でもやれることをやりたい」とも言った。MLBのトッププレーヤーも本命に挙げる、2年連続MVPを大いに期待するとともに、オールスターでの笑顔がまた見られることを願っている。


文/柳原直之(スポーツニッポン新聞社)
画像/アプロ

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