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免許ナシで購入してしまった「MUTT Motorcycles」の抗しがたい魅力

集英社オンライン / 2022年8月18日 12時1分

英・バーミンガム発の新進気鋭のバイクメーカー「MUTT Motorcycles」が今、市場を賑わせている。「手の届くカスタムバイク」に魅せられて、下は16歳、上は60代と幅広い年代の人が購入しているが、中でも顕著なのが「バイク初心者」そして「女性」の購入者が多いこと。バイク人口が年々減る中で、なぜMUTT Motorcyclesは新たなバイク乗りを獲得しているのか。MUTT Motorcyclesの東京ショールームにお邪魔して話を聞いた。

バイクって、いいよ!

人生のほぼ半分に差し掛かった今、これまで自分が購入してきたものの中で、もっとも人生を変えてくれたものを1つだけ挙げるなら、それは「オートバイ(バイク)」だと断言できます。



全身で風を切って走る、あの開放感と爽快感。世界の果てまで辿り着けそうな、あのワクワクする冒険心。「クルマだと旅行だが、バイクなら旅になる」という名言を残したのは誰だか忘れましたが、生身1つで乗って走るからこそ感じられる"生"と、季節の扉を開けて毎年もたらされる新しい"経験と思い出"は、バイクだからこそ味わえる魅力です。

このように書くと大抵のライダーの方は頷いてくれると思いますが、この記事を届けたいのはむしろバイクに乗ったことがない人。というのも、かくいう私も生まれてから40年あまり、バイクの魅力にピンときていなかったからです。

そんな自分がなぜバイクに目覚めたか。それはSNSに流れてきた1枚の写真がきっかけでした。

見た瞬間、「かっこいい!」。「MUTT Motorcycles」(以下、MUTT)と名づけられたそのバイクは、自分のライフスタイルのワンピースにぴたりとハマるような気がして、免許も持っていないのに欲しい一心で購入。クルマ以来となる何十年ぶりかの教習所で、アラフォーおじさんの身体の衰えを実感しながら免許を取得し、2019年6月に晴れて「MUTTERS」(MUTTオーナーのこと)となったのです。

“手が届きやすいスタイリッシュなカスタムバイク”として、若年層からリターンライダーまで幅広い支持を集める英国のバイクブランド「MUTT Motorcycles」

MUTTの創設者の一人であるベニー・トーマス氏。MUTTの本社は工業都市として栄え、現在はクリエイティブな街として発展する英国バーミンガム・ディグベスにある

Appleみたいなモノづくり精神

MUTTのどこにそれほどの魅力を感じたのか。それをわかってもらうためには、もう少しMUTTについて説明しなければなりません。

MUTTが誕生したのは、イギリス・バーミンガム。高価なビンテージカスタムバイクの製造を手掛けてきたカスタムビルダーたちが、「カスタムバイクをもっと身近に」という新しいコンセプトを掲げて、それまでなかったクールで、取り回しがらラクで、レトロな街乗りバイクづくりをスタートしたのが始まりです。

そして、2016年春に最初の1台を発表するや否や、そのバイクはたちまち大きな話題となりました。

「当社の役員が一目惚れして、すぐに現地の本社を訪れ、日本でも2019年4月から取り扱いを開始しました」と語るのは、MUTT国内正規輸入総代理店であるピーシーアイ株式会社のマーケティング部長・鈴木祐氏。

現在MUTTでは250ccと125ccの排気量に分かれ合計14のモデルがラインアップされていますが、そのどれもがクラシックな英国風カスタムルックを持ち合わせ、その高い品質と精巧なディテールには作り手の強いこだわりが漂っています。

私も、そのスタイリッシュなデザインに一番に魅了されたのは間違いありません。「市販のバイクはなんだかイマイチ。とはいえカスタムするにはどうすればいいかわからないし、そもそもお金がかかりそう」と頭の片隅にさえなかったものが、突然目の前に現れたことで、バイクの世界が一気に身近になったのです。

「MUTTの精神は、スティーブ・ジョブズが創業したApple社に似ているところがあるんです。ガレージでのカスタムなモノづくりから始まり、モダンなライフスタイルや都会的なカルチャーをベースとしながらメインストリームへと広がっていく。これまで一部の人だけのものだったカスタムバイクを、MUTTでは小排気量車にこだわることで、できるだけ多くの人に安価に届けたいと考えています」(鈴木氏)

MUTTでラインアップしているのは、125ccと250ccの小排気量車(価格は59万2900円〜)。クルマの免許を持っていれば125ccのバイクが乗れるヨーロッパとは異なり、日本では「車検がなく、高速道路が走れる」といった理由から250ccが人気だそう。写真のモデルは「RAZORBACK 125」

「AKITA 125」

「HILTS 125」

「MASTIFF 250」

「SABBATH 250」

一目惚れして購入、でも免許ナシ

そうしたMUTTの精神がグサリと刺さった人は、当然私だけではなかったようです。鈴木氏いわく、その人気は「現在も、何百台単位のバックオーダーを抱えるほど」。そして、MUTTならではの購入者の特徴といえるのが、私のように「バイクが初めて」という人が圧倒的に多いことだそうです。

「たとえば、当社が輸入代理販売する『ロイヤルエンフィールド』というブランドのバイクは、免許を持っていて買い替えを検討している方がいろいろなメーカーのバイクを見て回って試乗したあとに、気に入って購入されます。一方でMUTTの場合は、たとえばインスタグラムに写っている写真を見たあと、免許もないまま購入を決める方が実にたくさんいます」(鈴木氏)

また、MUTTの東京ショールームで店長を務めるピーシーアイ株式会社の間中信好氏はこのようにも語ります。

「購入される方の中には女性も非常に多いですね。一目惚れして実物を見る前に購入した方や、免許を持っていない方でショールームに来られて『実物を見てモチベーションが上がったので、これから教習所に申し込みに行ってきます!』という方もいます。あとは、若い頃にバイクに乗っていたリターンライダーの方にも人気です」

MUTTの国内正規輸入総代理店であるピーシーアイ株式会社マーケティング部長・鈴木祐氏(左)と、店長・間中信好氏(右)

こうした傾向は、本国イギリスやほかのMUTT販売国などでも同様とのこと。まさにMUTTが思い描いたとおり、バイクと接点のなかった人へとリーチすることで、新しいバイク市場を創出することにつながっているのです。

「MUTTを買われる方は、機械の性能がどうこうではなく、MUTTのスタイリングと世界観に共感して購入されます。ほかのバイクと比べてどう?といったような質問をされることはなく、今買ったらいつ手に入りますか?という質問が直球で来ることからも、これまでのバイクとは一線を画している稀有なブランドだと思います」(鈴木氏)

東京都杉並区にあるMUTTのショールーム。英国と同じデザインが採用され、MUTTの世界観に浸ることができる。ちなみに、「MUTT」とは「雑種犬」を意味する

欲しいのは"MUTTライフ"

MUTTが初めてのバイカーを惹きつける理由には、もう1つカラクリがあります。

それは、WEBサイトやカタログ等に掲載される写真やビデオの巧さ。バイク自体にはあまりフォーカスを当てずに、そこではMUTTが日常生活の中に溶け込む形で映し出されています。キャンプで車に荷積するシーン、カフェでドリンクをテイクアウトするシーン、仲間とクールにツーリングするシーン…。多くのMUTTERSはそんな写真や映像を自分のライフスタイルと重ね合わせ、「MUTTのある生活」に強く惹きつけられるのです。

「MUTTでは、著名なタレントを使った宣伝はあまり行わないようにしています。それよりも大切にしているのは、オーナー1人ひとりのMUTTのある生活です。たとえば、インスタグラムで検索すると"Mutt Motorcycles.tokyo"というアカウント名のオーナーの方がいらっしゃるのですが、その方の写真を見て購入を決めたり、スタイルを真似したりする方が多くいます。メーカーやディラーを介さず、オーナーの方が自発的に音頭をとってイベントが開催されているのも珍しいのではないでしょうか」(鈴木氏)

ショールームではMUTTの実物をディテールまで細かく確認することができる。ホームページから予約することで試乗も可能

私自身のことをあらためて振り返ってみると、MUTTを購入したのは「MUTTというバイクが欲しかった」からではなく、どうやら「MUTTというバイクがある生活が欲しかった」からのような気がしてなりません。これをいうと根っからのバイク好きの方には白い目で見られそうな気もしますが、MUTTのメンテナンスは定期的な掃除とタイヤ圧を調整することくらいで、ほぼすべてディーラーまかせ。MUTTを改造したり、いじることもまったくありません(見た目のカスタマイズを存分に楽しんでいるオーナーもたくさんいるようですが)。

とはいえ、購入から3年が経った今でもMUTTへの愛着は強く、キャンプや釣り、ショッピング、デート、旅行など、MUTTのある生活を楽しんでいます。バイクに詳しくはなくても、そんな「体験」を重視してバイクの世界に足を踏み出してもいいじゃないですか。短い人生が終わる前に、バイクのある生活、そしてバイクで走ることの素晴らしさに気づかせてくれて、MUTTには感謝の念に堪えません。

購入後、そんな思いを伝えた一文をMUTT Motorcycles本社にメールしてみたところ、以下のような返信が。

Hello,
Thank you very much for contacting us.
It's great to hear you have purchased a Mutt, and thank you for the compliments on our brand and design.
We hope you love your Mutt motorcycle as much as we do, and wish you all the best in your motorcycle adventures!

(以下、意訳)
ハロー。
MUTTを買ってくれたようで、ありがとう。僕たちのブランド、そしてデザインについて褒めてくれて嬉しいよ。君が僕たちと同じようにMUTTを愛してくれること、そして君の冒険が最高なものになるように祈っているよ。

遠く離れた、日本の名も知れない私にも答えてくれる。こんなちょっとしたことからも、MUTTが人々を魅了する理由がわかるのではないでしょうか。

購入可能なMUTTオリジナルのアパレルやグッズ

文/水川歩 写真/黒田彰

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