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「大甲子園」「H2」「バトルスタディーズ」…高校野球マンガ「あの甲子園の熱闘がスゴかった」10選

集英社オンライン / 2022年8月19日 15時31分

夏の甲子園もいよいよ大詰めだが、同じくらい高校野球マンガもアツイ! 「大甲子園」「H2」「バトルスタディーズ」などの名作野球マンガの中から、聖地・甲子園で繰り広げられた珠玉の激闘をセレクト。水島作品の“夢の対決”や野球マンガ史に残るクライマックスを見逃すな!

水島新司ユニバースにおける夢の対決が実現!

①明訓 VS 青田(『大甲子園』秋田書店)

水島新司ユニバースにおける高校野球の祭典『大甲子園』は、高校野球版アベンジャーズである。『ドカベン』の続編で、主人公・山田太郎の高校3年の夏を描いた同作のメインイベントに当たるのが、夏の甲子園準決勝。

150キロ超の剛速球を誇る青田(千葉)の中西球道が“最強の盾”なら、高校通算打率7割5分とされる明訓の山田太郎は“最強の矛”。「水島新司はこの2人を戦わせたくて大甲子園を描いたのではないか」と言われるほどのドリームマッチは、2回表に初対決。結果は三球三振で球道に軍配が上がる。



4回表は二死一塁の場面から、二球目のストレート。山田が打ちにいくも、球道がバットをへし折りレフトフライ。またしても球道が力勝ちする。7回表は明訓が無死一、二塁の大チャンス。粘りに粘った山田は10球目を弾き返す。が、センター前へ抜けるかという当たりを球道が叩き落とし、まさかの三重殺。

ハイライトは延長10回表。普段は木のバットを使う山田が、金属バットへ持ちかえる。鬼が金棒を持ってしまったこの戦い。球道は果たして抑えられたのか⁉

野球マンガ史に輝く最高のクライマックス!!

②星 VS TL学園(『ジャストミート』小学館)

ジャストミート ©原秀則/小学館

部員全員が1年生だった夏に続き、翌年も甲子園にやってきた星高校。地区予選からノーヒットノーランを続けてきたエースの橘二三矢は、甲子園に来ても被安打ゼロ。いくらマンガといえどもスゴすぎる、別格のピッチングを続けていた。

かたや、もうひとりの主人公である四番センターの坂本天馬は、地区予選から安打ゼロ。いくらマンガといえどもヒドすぎる、最低のバッティングを披露していた。

だが、両思いの栗原美和子から激励された彼は、準々決勝から一念発起。持ち前の超俊足を生かしてランニングホームランを狙う。それを知った決勝戦の相手・TL学園は、試合前夜に天馬をバットで襲い、足を骨折をさせる暴挙に。

これには大親友の二三矢も怒り心頭。決勝戦のマウンドへ上がると、9回まですべて(天馬の守るはずだった)センターフライに打ち取るという、奇跡的な投球を披露。いくらマンガとはいえ「打つほうも、少しは考えろよ」と誰もがつっこむ展開に。さらに10回からはすべて三振でパーフェクトを継続。これには二三矢の思い人である森村美樹との約束が絡んでいた……。

美樹との恋も胸にありつつ、天馬のために力投を続ける二三矢。彼の思いを受け取り、病院から球場へ向かう天馬。ストーリーの盛り上がり、意外な結末、胸を締めつける後日談まで含め、野球マンガ史に燦然と輝く感涙のハッピーエンドだ。

野球マンガ屈指のホームクロスプレー

③あおい坂 VS 淀宮(『最強!都立あおい坂高校野球部』小学館)

子どもの頃、自分たちに野球を教えてくれたマドンナ・菅原鈴緒(通称・鈴ねえ)を甲子園に連れていくため、彼女が監督を務める都立あおい坂高校に集まった北大路輝太郎たち5人。

入学してすぐにチームの主力となった彼らは、一気に東東京大会を制し、夏の甲子園へ出場。順調に勝ち進み、準決勝を迎えた。対決するのは大阪代表・淀宮である。大会屈指の投手戦となった試合は、あおい坂の輝太郎と、淀宮の松江による投げ合いとなった。

夏の甲子園作品で、ストーリー展開の鍵を握ることが多いのが、マウンドの暑さ。これをどう表現できるかで、時に作品の出来が決まると言っても過言ではない。延長戦にまで突入するこの戦いはまさに熱闘。輝太郎の顔に流れる大量の汗と、激しい息遣いが、見る者を物語へ引き込んでいく。

もうひとつの見どころはホームのクロスプレー。この試合のラストシーンでも、ホームへの突入が描かれているのだが、このシーンがじつに美しい。野球マンガでも屈指のホームクロスプレーだろう。

ボールを捉えた瞬間のド迫力のコマに震えろ!

④DL学園 VS 横羽間(『バトルスタディーズ』講談社)

バトルスタディーズ Ⓒなきぼくろ/講談社

どこかで聞いたことのある、DL学園(大阪)と横羽間(神奈川)という夢の対決が、同作の夏の甲子園準決勝で実現。果たして両チームは、「延長17回」の偉大なる先輩たちを超えられるのか!?

本作の魅力は、誰もが認める一枚絵のド迫力! 横羽間の四番・海部太平洋のマン振り、DL学園・狩野のフェンス直撃弾、同じくDL学園・楠和也のレフトライナー。作者はいい絵が残したいという思いでマンガを描いているのでは……と思えるほどの巧みさ。ボールを捉えた一瞬のコマはもはやアートの領域である。

「恋と野球」あだち充の“らしくない”熱闘

⑤千川 VS 明和第一(『H2』小学館)

あだち充と言えば、代名詞は「恋と野球」。その両方が凝縮された試合こそ夏の甲子園準決勝。春夏連覇を狙う千川(北東京)と、夏二連覇を達成したい明和第一(南東京)による東京同士の一戦だ。

千川のエースは主人公・国見比呂。いつものあだち充顔をした男のコである。彼に恋心を寄せるのがマネージャーの古賀春華。ややショートカットの女のコ。

明和第一の四番はライバル・橘英雄。比呂とは親友関係でもある。スタンドに座るのは、比呂の幼なじみであり、英雄の恋人でもある雨宮ひかり。ミディアム&真ん中分けの女のコ。グラウンドでの対決は、ひかりを巡る男同士の一騎打ちであり、四角関係に終止符を打つ戦いでもある。

盛り上がってくる場面になると、サッと交わすことも多いあだち充だが、さすがにこの試合だけは待ったなし! 熱い戦いを真正面から描いている。注目は、日本一の四番である英雄のために、比呂が覚えたという高速スライダー。勝負の一球……果たして、曲がるか曲がらざるか!?

「甲子園の魔物」を描いた圧倒的リアリティ!

⑥彩珠学院 VS 興洋学園(『ラストイニング』小学館)

就任1年で彩珠学院(埼玉)を立て直した鳩ヶ谷圭輔監督は、夏の甲子園準々決勝で興洋学園(香川)と対決。非野球エリートたちが集まった、雑草軍団と呼ばれるチームである。

この試合、彩珠学院はエース・日高が連投で疲労が溜まっており、鳩ヶ谷は継投にひと苦労。これまでとは異なるベンチワークを駆使するも、終盤にかけて劣勢の展開に。

そんな中、勝負の明暗を分けたのは「甲子園の魔物」。言葉としてはよく聞くが、マンガで再現するには非常に難しい題材だ。キーワードは「エラー」「代走」「思い切り」。紙面に魔物を降臨させた、リアリティのある展開を目に焼きつけたい。

史上最高を目指す少年が頂点を狙う

⑦海空 VS 山沼(『県立海空高校野球部員山下たろーくん』集英社)

「史上最高の野球部員」を目指す山下たろーが所属する海空は、ついに辿り着いたセンバツ決勝へ進出。彼らを待っていたのは、地区大会決勝、関東大会決勝と戦ってきたライバルの山沼だ。いわゆる「最初の敵がラスボスだった」的なストーリーである。

地区大会決勝で登場して以後、「知っているのか雷電!?」を地でいく、スタンドの“解説者ポジション”がすっかり定位置になってしまった山沼のエース・佐々木だが、試合相手として立ちはだかるとやはり強敵。関東大会決勝でも、その存在感で海空を苦しめている。

試合の注目点はズバリ、どヘタクソだった山下たろーが日本一に輝き、史上最高の野球部員になれるのかどうか。

「史上最低の野球部員」「百年にひとりの大鈍才」と笑われながらも諦めず、「おで いつの日か ぜったい野球うまくなって ぐやじくねーくするんだモンねーっ」と頑張り続けたたろー。努力系高校野球マンガの代表格に挙げられる、感動的な決勝戦だ。

インフレ野球のギリギリラインがココだ!

⑧夢の島 VS 神戸翼成(『Dreams』講談社)

ガムを噛み、頭髪は茶髪というスタイルで、高野連に真っ向からケンカを売る反逆児・久里武志が率いる夢の島(南東京)。夏の甲子園1回戦では、「豪爆打線」の異名を取る地元代表の神戸翼成(兵庫)と激突する。

そこには久里以上のバケモノとウワサされる投手・生田庸兵がいた。久里が勝手に審判の代わりに挨拶の号令をかければ、生田は投球練習のボールを銀傘のはるか彼方へ放ってしまう。両者とも、天才であるがゆえの「お山の大将」っぷり。だが、ハイレベルな戦いを経て、2人はお互いをライバルと認めるようになっていく。

本作の特徴は、この試合以降も、描写の急激なインフレ化が止まらなくなるところ。多くの打法と魔球が生み出され、「もはや高校生じゃないだろう」どころではなく、「こんな人間いるかっ!」レベルにまで達してしまう。そんな中、名勝負としてギリギリ踏みとどまっているのがこの一戦。生田という男も、後々まで久里に影響を与える大きな存在となっていく。

負け知らずの悪童が決勝戦でも吠えまくる

⑨浪城 VS 北王学園(『なんと孫六』講談社)

ワルガキ、ワガママ、乱暴者……主人公・甲斐孫六を知らなければ悪童野球は語れない。彼はやりたい放題の1年生だが、野球の実力は本物。不良の集まる大阪の浪城を率い、夏の甲子園決勝戦までやってくる。

相手は北海道勢初の優勝を目指す、南北海道の北王学園。飛んでくるゴルフボールを真剣で真っ二つにしてしまう男・藤堂大樹が主砲を務めている。

準決勝で負傷者が続出してしまった浪城は、初回で5点のビハインド。傍若無人かつ傲岸不遜な態度で、野球もケンカも勝ちまくってきた孫六がついに敗れてしまうのか!?
「男がマウンドにたったらいい訳はでけへん とるか とられるかや」とうそぶく孫六。「最後に笑うのは この甲斐孫六じゃ」と叫びながら投げる彼の前には、さらなる落とし穴が待っているのだった……。

怪物 VS 無失点男の息詰まる投手戦

⑩青道 VS 巨摩大藤巻(『ダイヤのA act II』講談社)

青道(西東京)と巨摩大藤巻(南北海道)が激突したのはセンバツ準々決勝。注目は青道の怪物・降谷暁と、巨摩大藤巻の無失点男・本郷正宗の対決。降谷はここまでに154キロを叩き出し、一躍マスコミ注目の投手に。2年生ながらその名は全国区に広まっていた。

同じ2年生である本郷のほうは、150キロ超のストレートに伝家の宝刀スプリットを併せ持つ。世代最強の呼び声が高く、巨摩大藤巻の新田監督は「全ての感情を投球で表現できる桁違いの器量(アビリティ) まさに野球の申し子」と彼を評する。

その本郷が六回まで青道をノーヒットに抑え込めば、降谷はフタ桁奪三振でスタンドの度肝を抜く。息詰まる投手戦は、どちらも譲ることのないまま結末へ。

同作は現在も連載中のため、この試合が夏の甲子園へつながる熱い前哨戦となる可能性が高い。今後の展開も含めて要注目だ。



選者&文/ツクイヨシヒサ(野球マンガ評論家)

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