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就活男子の必需品。釣具メーカーのハイスペック日傘が注目される理由

集英社オンライン / 2022年8月24日 15時1分

35℃を超える猛暑日が当たり前となった日本の夏。屋外を歩くときは日陰を探したくなる酷暑が続くなか、男女を問わず注目されるようになったのが「日傘」だ。世界的に評価されているフィッシング・ブランドがその技術を使って人気の晴雨兼用のオールウェザーパラソルを紹介する。

釣竿のテクノロジーで超軽量を実現

見た目はシンプルな作りだが、手に取ると「えぇ?」と思わず笑ってしまうほどの軽さに驚かされる。これは2017年にアパレル・ブランド「ディーベック(D-VEC)」が発売した「カーボンテクノロジーアンブレラ」という折りたたみ日傘だ。50cmサイズで本体重量約76グラムという超軽量。追加モデルである2020年発売の「1級遮光カーボンテクノロジーアンブレラ」とともに、就活男子たちから真夏の会社訪問に便利だと、口コミで広がり、今や入手困難という。「ディーベック」を擁するグローブライド株式会社(東京都東久留米市)の担当者から、表参道ヒルズにある同ブラント直営店「ディーベック トウキョウ エクスクルーシブ」で話を聞いた。


2020年発売の「1級遮光カーボンテクノロジーアンブレラ」(1万4850円・税込)。性別を問わず使えるシンプルなデザインだ


グローブライドは釣具やスポーツ用品を製造・販売している。前身はフィッシング・メーカーとして60年の伝統を持つダイワ精工株式会社といい、2009年に現在の商号「グローブライド」に変更した。

「アパレル・ブランドの『ディーベック(D-VEC)』を立ち上げた際に、ダイワの技術を活かしたアイテムを考えました。そこで、長年培った“水のアウトドアを知りつくした技術”を盛り込んだ折りたたみ傘を開発したんです」(グローブライド担当者)

ダイワは釣具のリールに使用する素材として、1970年代にカーボングラファイト(炭素繊維)を世界で初めて採用。釣竿でも高性能のカーボンを開発することで「カーボンのダイワ」として世界的に評価された。「カーボンテクノロジーアンブレラ」にはそのカーボン技術が投入され、大幅な軽量化を実現した。

親骨、受骨だけでなく、シャフト部(中棒)いたるすべての骨にカーボンファイバー素材を採用。「シャフトの他、多くのパーツに金具を使用しないことで、脅威の軽さを実現しました」(グローブライド担当者)

1万1000円というハイスペックな傘に注目が集まったきっかけは、表参道で買い物を楽しむ女性たちだった。

「『良いものはないか』と、常にアンテナを張っている女性のお客様が直営店で手に取り、使い始めてくれた。ファーストモデルでも紫外線遮蔽率は90%を越えているので雨用・日傘の両方に使えるのにくわえ、軽量で細身なため、気軽に持ち運べる点が評価され、口コミで広がったようです」(グローブライド担当者)

「慎重を期して生産数を抑えた」という初期生産分は、発売と同時にほぼ完売するほどの人気に。その後増産を繰り返すものの、いまだ品薄な状態が続く。

写真上が約109グラムの「1級遮光カーボンテクノロジーアンブレラ」(1万4850円)。下が約76グラムの「カーボンテクノロジーアンブレラ」(1万1000円)。どちらも人気のため、すでに完売しているカラーも


2020年に発売された「1級遮光カーボンテクノロジーアンブレラ」は、「より日差しを遮りたい」という女性たちのニーズに応え生まれたもの。日本洋傘振興協議会(JUPA)が定めた、光を99.99%以上遮る「1級遮光傘生地」という、最高度の遮光性を持つ素材を採用している。

取材当日は最高気温37℃を越える猛暑日。炎天下で「1級遮光カーボンテクノロジーアンブレラ」を頭上に広げた瞬間から体感気温がぐっと下がるのを感じる。“モバイル木陰”と呼びたくなるような軽さもあり、日傘を使い慣れない記者にとって新鮮な驚きだった。

「1級遮光カーボンテクノロジーアンブレラ」は一般的なスマートフォンよりも軽量で、収納時は全長約21.5cmとコンパクト。バッグに入れておいたことを忘れてしまうほど

女性からのギフトで男性の意識が急変

「1級遮光カーボンテクノロジーアンブレラ」も発売と同時に大きな人気となった。既に愛用している女性から、誕生日や父の日などのプレゼントとして男性に贈られることで、広く認知されるようになったのだという。

また最近では、ブランドが意図しなかったユーザー層も増えている。

「『先輩からこの日傘を教えてもらった』と来店される、就職活動中の方が増えました。炎天下の会社訪問でも、日差しを遮ることで身だしなみを崩さずに活動できるという利便性が、男女を問わず就活のトリビアとして後輩へ伝えられているそうです」(グローブライド担当者)

ブラウスやジャケットに、フィッシング・ブランドで培った撥水性やストレッチの効いた素材を採用する、「ディーベック(D-VEC)」の秋冬コレクション

「日傘を使う男性はまだ少数派かもしれません。ですが、家族やパートナーからの贈り物として出会うことでその快適さを認めてくださる。そして彼らの知人に快適さが伝わることで、男性でも日傘を持つ方は着実に増えていると感じています」と、グローブライドの担当者は話す。

夏の風物詩として定着してしまいそうな酷暑。天候は変えられないが、習慣は変えることができる。日傘のある新しい生活様式は、夏を快適に過ごすための切り札になる可能性を秘めていそうだ。

取材・文・写真/杉山元洋

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