1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

「ブアカーオさんは“カッチカチ”でした」キングカズ次男・三浦孝太、タイでのリベンジを誓う

集英社オンライン / 2022年8月26日 16時1分

8月19日、タイのラジャダムナンスタジアムで、元「K―1 WORLD MAX」覇者のブアカーオとのエキシビションマッチに臨んだ三浦孝太。試合は一方的な展開となり、レジェンドの実力をまざまざと見せつけられたが、プロ2戦目の三浦にとってはまたとない経験となったのも事実。現地で密着したカメラマンのヤナガワゴーッ!氏がレポートする。

「3ラウンドやりきるって約束だったのに申し訳ないです」

この日、お披露目された新装ラジャダムナンスタジアムでは、3000人を超える超満員の観客が総立ちになっていた。


メインイベントとして組まれた“世紀のエキジビションマッチ”は、3ラウンド終了のゴングまであと30秒というところで、三浦孝太がレフェリーに抱きかかえられ、試合終了。想定外の一方的な結末に落胆を隠せない孝太は、悲鳴を上げる観客にもみくちゃにされながら控室にもどってきた。


「3ラウンドやりきるって約束だったのに申し訳ないです」

所属するBRAVEの宮田代表が「レフェリーが試合止めるのは約束が違う」と息巻いたが、「ボクのスタミナが足りなくて、レフェリーも危ないと思ったんでしょう。レフェリーは悪くないです」「試合を盛り上げようとしてくれたブアカーオさんにも謝りたいです」と孝太。

バンテージを外した彼の足元をふと見ると、右足の向こう脛がみるみる腫れてくるのがわかる。

「蹴った瞬間、“痛ッ”てなって。ブアカーオさんの身体は、全身がカチカチなんです。体のどこなのかわからないけど、何度かおでこに硬いものが当たって。今ヘディングの練習した後みたいに痛いです」

「(試合開始の)ゴングが鳴って、グローブ合わせるのかと思って近づいていったらいきなり胸でドンてきて、もうそこから怖くなっちゃって…」

ブアカーオは明らかに仕掛けてきたのだ。「最初は様子見でゆっくり入って、2ラウンド、3ラウンドと上げていくから」と打ち合わせで話していた内容は、あっさり反故にされた。

空港や街中で女性ファンに囲まれて喜んでいた孝太は、この時初めて、自分が置かれた状況を理解したのだろう。後から写真を見てみると、孝太の目が怯えているのがわかる。彼を擁護するわけではないが、ブアカーオは本当におっかないのだ。

試合前日のマスコミ向け撮影会。二人を真後ろから撮っていたら、突然、ブアカーオが僕の方を振り返り、「あっちへ行け!」。その形相たるや、容赦なく獲物を食いちぎるワニガメの目だのようだった。

ブアカーオは共用の控室でもスタッフ相手にスリーパーホールド決めたり、そこらの椅子を蹴散らかして取っ組み合いしたりとやりたい放題。それを笑いながらやっているのがまた怖い。

その足で、孝太のところに来ると「明日は思い切り来い! 顔に当たっても問題ない。カっとなったりはしないから。ちょっと強めにいくときもあるけど、本当には当てないから」と絶対王者の余裕を見せていた。

まさかの赤コーナーからの入場

まだプロ2戦目ながら、タイで人気が爆発した孝太。それに対して、相手はキックボクシング275戦239勝のレジェンドだ。会場は異様な熱気に包まれ、両者の対戦は、単なるエキシビジョンマッチではなくなっていた。

当日の朝、「今日はマジで会場いくのイヤだなって思いました」と、思わず本音を吐露していた孝太だったが、試合直前のファンの盛り上がりを花道から見ると、「入場めっちゃ楽しみです。もっともっと盛り上げるように煽っていきますよ!」と顔を輝かせた。朝の様子がウソのように口笛すら吹いている。このあたり、さすがはキングの息子である。

入場はなんと、ブアカーオが先だった。王者が青コーナーとは異例中の異例だ。

「いや、『好きなは何色ですか』って聞かれたから、『赤です』って答えただけなんです。『赤か、青か』って聞かれたら、さすがに僕も察して『青』って言いますけど(笑)。ブアカーオさんの後から入場なんて、本当にヤバいですよ」(孝太)

控室にまでもうもうとスモークが入り込んできて、いよいよ孝太の入場だ。

親交のある世田谷区出身のラッパーLEAPの手によるテーマ曲「オトコハツライヨ」が流れる。ラップ版「寅さん」のテーマだ。孝太の胸には柴又で買った寅さんのお守り。タイでここまで寅さんがフィーチャーされたのは初めてだろう。会場のボルテージは最高潮に。

孝太自身が「足元にも及ばなかった」と語った試合の詳細については、YouTubeなどでチェックしてほしい。決して“相手を打ち負かす試合”ではないとわかっていても、ブアカーオが絶妙に芯を外して攻撃していることが見てとれても、リングサイドで撮影しながら僕は興奮していた。エキシビジョンとはいえ、二人が真剣だったからだ。

ブアカーオは言うなら、格闘技を見慣れていない観客に対してもわかりやすいように、持てる最高のパフォーマンスを見せた。その打撃が3センチずれていたら孝太は“殺されて”いただろう。実際、孝太は「今までリングの上で恐怖を感じたことはなかったけど、今日は本当に怖すぎて、自分が何をしていたのか思い出せないです。ダサいですね」と話していた。

それでも果敢に葛西裕一トレーナーから教わってきたアッパーや、宮田代表に言われた廻し蹴りも繰り出した。エキシビジョンとはいえ、キックボクシングはこの試合が初めて。それでよくぞここまでやるなと目頭が熱くなった。

試合後、孝太はこんな風に話していた。

「タイに来るまでこんなにもタイの皆さんに応援されているとは思わなかったです。ムエタイのすごさが身に沁みました・この経験を大切にして強くなって、いつかまたタイに戻ってきたいです」

ブアカーオの愛のムチ

試合の翌朝、ブアカーオの定宿に出向いて感謝を伝えた孝太。前夜とは打って変わってブアカーオのまとう雰囲気が優しい。昨夜、ガンガンいったのは“愛のムチ”だったのかと思わせるように孝太の身体を優しく撫でまわす。

「皆さんのコウタを無事に日本に返しますよ」とばかりに、その様子を伝えたブアカーオのFacebookの投稿には、いいね!が66万件もついた。

その日の夜、20時過ぎに空港に着いた孝太を待ち構えていたのは、5日前に到着したときをはるかに超える約500人の女性ファン。もみくちゃにはなるが、ちゃんと孝太の進む方向を開けているのがタイのファンの優しさだ。

試合当日、「三浦孝太」はタイのグーグル検索ランキングで第3位(1位と2位は宝くじだったから、実質、人物では1位?)。タイに入る前、65万人だったインスタグラムのフォロワー数は現在、73万人を超えた。今後、さらに発展していくアジアの一角で新なスターが誕生した瞬間だ。

取材・文・撮影/ヤナガワゴーッ!

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください