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「限りある人生で何をしたいか。そこに答えがある」 OAU/BRAHMAN TOSHI-LOWの思い

集英社オンライン / 2022年9月2日 17時1分

OAU/BRAHMANのフロントマン・TOSHI-LOWがオーガナイズする、アコースティックライブを中心としたキャンプインフェス『New Acoustic Camp』(以下、ニューアコ)。自由でゆったりした空間が魅力のニューアコはコロナ禍でも新しい生活様式に応じて開催を続け、今年で13回目を迎える。TOSHI-LOWに「ニューアコとは?」について聞いた前編に続き、日本にフェスが戻った夏を終えて思うこと、そして新曲「Time's a River」についても話してもらった。

ライブもフェスも、喜びには負担が伴う

――2022年の夏はフェスが戻ってきて、TOSHI-LOWさんの所属する2つのバンド、BRAHMAN、OAUともに多く出演されていますが、出演者やお客さんの雰囲気はどう受け取っていますか。



今年は出演者もお客さんも待っていた状態だから、「よかったね」「やっぱりフェス、いいよね」っていう空気があることには間違いなくて。ただこれが来年、再来年と続いていくと、開催することが普通になって、「あってもなくてもいいじゃん」みたいに戻っていくから、そういう感覚とは違うフェスを作りたいなってずっと思っていて。

音楽もフェスも日常の一部であっていいんだけど、単なる生活の延長ではないと思っているから。家でYouTubeをつけて音楽を聴くのと、行って聴くのとは全然違うし、その場に行くというのはある意味、非日常だし。

なんでもそうだけど、喜びには必ず負担が伴う。フェスやライブに行くことに関しても、自分たちの人生を懸けながらやるっていうことは、ある意味、理解してほしいっていうか。今、フェスの敷居が下がりすぎていて。いろんな人に来てほしいって集客してるけど、誰でも行っていいお祭りの延長とはまた違うと俺は思ってるから。

出演者も、商品見本市みたいになってくると、それが起きちゃうと思ってて。客も目当てのバンドだけを観に来るし、バンド側も、自分たちだけをよく見せて、宣伝できればいいって考えを持ってる人も多いからね。場を愛せないんだったら、出演しなければいいと思う。結局それがお互いの質を下げるから。

年月を重ねないと鳴らない音がある

――ニューアコ2022のテーマ曲でもある「Time's a River」もリリースされましたが、今を肯定するような解放感や全能感溢れる曲で。この状況を悲観する向きも多い中、OAU史上最大級のポジティブな曲をこうしてリリースできるのは、なぜなんでしょうか。

でもね、一番状況的に閉ざしてたときよりは、今はなんとなく、いいじゃん(笑)。

――そうですね。

開いていくときは、それでいいんじゃない? それに自分たちの中では、その意識とはまた別に、音楽的に変わりつつある部分があって。コロナ前ぐらいから使い出しているハーモニーとリズムとグルーヴの部分でできることが進化していて、それをフルに使って楽曲を作ってみたかったんですよね。そのひとつひとつがこの新曲を生みだしたから、ポジティブな空気があるとしたら、それは自分たちに対してポジティブなんだと思う。

これしかできないよね、じゃなくて、これだったらもっとこうできるよねっていうことが、バンドでも、ひとりひとりの楽器でも起きていて。成長とは違う、成熟みたいなものを感じられると、自分たちも嬉しいからね。

――キャリアを重ねた今、これだけ新しいことができるのはなぜなんでしょう?

OAUとしてアコースティック楽器を持ったときから、歳をとっていくことを否定してないというか。楽器自体も古くなって音がよくなっていくこともあるし。MAKOTOが使ってるベースなんて、100年ものだからね。年が経たないと鳴らない音があるし、歳をとるからこその説得力や渋みを追い求められる可能性のある音楽をはじめからやっているから、年齢を重ねることへの拒否感はなく、むしろ、よくなる一方でしかないですね。

まだまだ、先が長くて面白いなあと思ってる。OAUを始めたことで自分たちの音楽人生がふくよかになったし、古臭い音楽をやっているはずなのに、未来のことが見えてますね。

まず目の前の人の手をしっかり握るのは当たり前

――BRAHMANもOAUも今、本当に敵なしですよね。OAUは今年、フジロックのグリーンステージにも出て。

……代打ですけどね(笑)。

――(笑)。ステージでMARTINさんが「Lucky(幸運)」という話をしていましたけど、Luck(運)を引き寄せる力があるというか。

活動を続けることで呼んでもらえているわけだから、引き続けてるということだとは思いますね。そのタイミングでメンバーがひとりでも参加できなければ出演できないしね。でもバンドも、そういうものの塊なんだろうなって思う。ひとりでも変わったら同じ音ではできないし、それがいつ訪れるかわからないし。

それと同じで、あのときフェスに行っておけばよかった、観ておけばよかった、みたいなことが起きちゃうわけで。生きていると、その選択の連続だから。コロナ禍であろうが何があろうが、自分の中での音楽の優先順位と、人生を照らし合わせて、行けるのなら、行けばいいと思うし。

――エンタメ全般にしても、コロナ禍で何か難しい決断する上でも、そういう思いがある人が強くいられそうですね。

強いんじゃなくて、文句言ってるやつは絶対目の前に来ないから、大丈夫なの。そんな人の意見に従う必要ないから。自分に関係があって、自分が好きな人で、自分に協力してくれる人の意見を聞くべきであって。遠くからヤジ飛ばしたり、「お前、責任どうすんだよ」とか言ってる人はそもそも来ないんだから、話を聞く必要がない。

みんな、逆じゃんって思うわけ。人間誰しも悪口を言われたらイヤなのはわかるけど、それに敏感になりすぎだと思う。聞くべき意見が間違ってるよね。すべての人に好かれることは無理だし、すべての人がいいっていうものなんて、つまんないものだから。何か自分が行動したり、何かを動かすときは必ずそういうことが起きると思っていれば、結果、ああ、たいしたことなかったねっていうことになるから。

――私も、家族とか自分の近くにいる人の気持ちをないがしろにして、雑音に振り回されてしまうことがよくあります。

まずは目の前の人の手をしっかり握るっていうのは、当たり前の話であって。子どものことだって、本人にどうしたいか聞けばいいと思うんだよね。俺、ガキの頃、世間の目とか、周りにこう思われてるからとか言われるのが、一番嫌いだったからね。世間とか常識じゃなくて、自分がどうしたいか、自分の周りにいる人がどうしたいかっていうところに、大きな答えがあるから。それを選択肢として持っていけばいいと思う。

「あの空間にいたい」と思われるフェスでありたい

――TOSHI-LOWさんは、コロナ禍で自分の感覚を研ぎ澄ませることがより求められるようになったと話していましたが、ニューアコは、それができる人たちが集うからこそ特別な場所になっていると思います。

整地されたゴルフ場でやっているから、ある程度安全ではあるけど、山の中だから、何が起こるかはわからないしね。でも、自然と文化が共存できるところって、俺は一番好きなので。キャンプとしては初級編かもしれないけど、これでもっと楽しめたらもっとハードコアなキャンプに行ってもいいし、子どもが大きくなったら違うフェスに行ってもいいし。ニューアコは、そういう受け皿でもいいなと思ってる部分もありますね。

――ハナレグミさんと対談されたYouTube配信で、ニューアコは、フジロックの端っこでやってるぐらいでもいいとおっしゃっていましたね。

フィールドオブヘブンの先あたりでやらせてもらえたらいいですよね。フジロックの3日間、一緒に開催して終わるっていう。フジロックの半券で入れる(笑)。

――(笑)。ニューアコもNHKBSの番組で4Kの映像で放送されましたし、フジロックも配信で観る楽しみ方もあって、「フェスに行かなくても満足」という人も増えたと思います。

やっぱり、4Kでも映らないものはあるよね(笑)。NHKの放送はキレイだったけど、実際に来たらもっと面白いと思うし、何も通さない自分の目でこそ見えるものがあるから。

でも、ニューアコに行きたいっていう動機が、あのアーティストが観たいっていうことじゃなくなってほしいなとも思っていて。3日間、あの空間にいる楽しさがまずあって、そこで好きなアーティストが出ていたら嬉しいし、知らない音楽に出会えたら面白いとか、そう感じてもらえたらいいと思いますね。

取材・文/川辺美希 撮影/南阿沙美
ヘアメイク/Yuya Tanaka

New Acoustic Camp 2022 9月17日(土)-19日(月)に群馬県群馬県利根郡みなかみ町水上高原リゾート200にて開催!
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OAU
デジタルニューシングル「Time's a River」リリース!
各音楽配信サイトにて、9/2より配信スタート

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