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藤田譲瑠チマ、谷 晃生、家長昭博。W杯で見たいJリーグ3選手。特に見たいのは…

集英社オンライン / 2022年9月3日 11時1分

カタールW杯まで残り3か月を切った。森保一監督は9月の欧州遠征に向けて、本大会仕様のメンバー招集を示唆している。Jリーグでプレーする選手をW杯の舞台で見たいと願うファンは少なくない。そこで最終メンバーに入ってほしいと切に願う3人のJリーガーにフィーチャーする。

日本の未来を背負うアフリカ系MF

藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)

今のJリーグでもっとも面白いセントラルMFのひとりだ。

日韓W杯が開催された2002年にナイジェリア人の父と日本人の母の下、東京都町田市に生まれ、少年時代から天性のボールスキルを備えていたという。技術を尊ぶ東京ヴェルディの下部組織で才能を磨き、2019年に17歳でJ2を戦うトップチームにデビュー。次の2020年シーズンには主力となり、翌2021年シーズンは徳島ヴォルティスへ移籍して初のJ1で28試合に出場し、1得点と1アシストを記録した。すると、昨季終了後に横浜F・マリノスに引き抜かれ、今季はその名門で激しい定位置争いに挑んでいる。



まだ完全にレギュラーとは言えないものの、ピッチに立てば、往々にして輝きを放つ。常に良い姿勢で視野を確保し、シンプルかつ的確なタッチで攻撃を組み立て、スペースがあれば自ら持ち運んで敵陣を襲う。ボールを受ける際には独特の間でマーカーをいなし、ダイレクトで大きく展開するのも得意だ。

2019年にブラジルで開催されたU-17W杯では、日本の全4試合に先発しており、世界大会は経験済み。以降も世代別代表の常連で、今年6月に行われたU-23アジアカップでは主将を任された(日本は3位)。すると翌7月のE-1選手権では、(国内の選手だけで構成された)A代表に初招集され、香港戦と韓国戦に出場。どちらの試合でもアシストを記録し、日本の2度目の優勝に貢献した。

「初めてのA代表だったので、すべてにがむしゃらに取り組みました」と韓国戦後に藤田譲瑠チマは語った。オンライン上で多くの取材者が注目するなか、20歳のタレントはじっと画面を見つめ、ハスキーボイスで言葉を発したが、その大半は自身の課題についてだった。

「(カタールW杯に)行けたらいいですけど、簡単な壁ではないと思います。この大会でよかったからといって、すんなり最終メンバーに入れるものではないはずです。自分はまだ遠藤航選手などと比べると、ボールを奪い切る力が足りない。それと前を向いて縦パスをつけることが自分の課題です」

現世界王者フランスのワールドクラスの守備的MF、エンゴロ・カンテを目標のひとりにしているという。個人的にはより攻撃的な資質が高いと感じるが、本人はあくまで守備にも強くなり、中盤に君臨する未来像を描いているのだろう。

現在の日本代表の中盤は多士済々だ。それでもこの気鋭の若者を帯同させれば、将来的にも日本サッカーの大きな財産になり得るはずだ。

谷 晃生(湘南ベルマーレ)

ゴールキーパーは豊富な経験が必要なポジションだと言われる。確かにチームの最後尾に数多の修羅場をくぐり抜けてきた海千山千がどっしりと構えていれば、チームメイトは安心感を覚えるだろう。だからなのか、今年6月の代表戦シリーズには川島永嗣(39歳)、権田修一(33歳)、シュミット・ダニエル(30歳)と、全員30代の守護神が選ばれた。

ただしW杯の最終メンバーには、少なくともひとりは将来性のある若手が含まれるべきだと思う。世界最高の舞台で得られる経験は、先の長い選手にこそ、より大きな意味をもたらすはずであり、長期的にも有意義なものとなるだろう。

森保監督もそう考えていたのか、逆に7月のE-1選手権には鈴木彩艶(20歳)、大迫敬介(23歳)、谷晃生(21歳)を招集した。そしてこの順番に出場機会を与え、最後の韓国戦で代表初キャップを刻んだ谷は、デビュー戦を無失点で終えて3-0の勝利と優勝に寄与している。

「負けられない試合でしたし、大会全体の結果にも直接関与する試合でした。全員が良い準備をして、良いプレーをして、良い結果に繋がりました」と谷は最近の湘南の練習後に話した。

昨年の東京五輪では全試合にフル出場し、4位となったチームを支えた。だが本人は延長戦の末に敗れた準決勝のスペイン戦を、「サッカー人生で一番悔しかった試合」に挙げている。そしてクラブに戻ってきてからは、心身ともに「苦しい」日々を送っていたと明かす。昨季は最後まで残留争いに巻き込まれ、今季は大量失点を喫した試合も何度かある。

それでもおそらく、森保監督の評価はさほど変わっていないと思える。東京五輪で全幅の信頼を置き、E-1選手権でも一番大事な試合で彼を起用した。A代表初出場の相手が韓国で、その永遠の宿敵に完勝を収めたのだから、信頼感が増したと考える方が自然だろう。

「今は守備範囲(を広くすること)に取り組んでいます」と話す谷は、現代のGKに求められていることも、しかと心得ている。また代表では「練習時間が少ないので、自分がチームメイトのことを知るために、コミュニケーションを取ることも大事」と言う。たとえベンチに置かれたとしても、チームの和を乱すようなことはないはずだ。

ミレニアム生まれの好青年がJリーグで復調し、カタール行きのチケットを掴めるといい。

家長昭博(川崎フロンターレ)

実力と代表歴がこれほどかけ離れてしまっている選手もなかなかいない。今のJリーグでもっとも巧く、効果的なプレーを繰り出すベテランアタッカー、家長昭博はなんと日本代表戦に3試合しか出場したことがないのだ──それもすべて親善試合の途中出場(3戦で計49分)で、得点もアシストも記録していない。しかし現在の姿を見れば見るほど、これを「縁がなかった」で済ませてしまうのは、あまりにももったいない気がする。

これまでのキャリアで、いくつかボタンの掛け違いがあったのは確かだ。ガンバ大阪の下部組織で育まれ、高校2年生でトップチームに昇格したエリートながら、左利きの天才肌の若手MFは調子にムラがあったし、ケガに苦しんだこともあった。気がつけば、育成時代の同期で誕生日も利き足も同じ本田圭佑(こちらはユースに昇格できなかった)に、大きく差をつけられてしまった時期もあった。

20代の頃にはスペインと韓国にも挑戦。海外ではあまり実りを得られなかったが、20代最後の年に川崎フロンターレに加入してから、技術を追求するクラブの風土が肌に合ったのか、そのパフォーマンスは年を重ねるごとに円熟味を増している。

2018年のJリーグ最優秀選手は今季も熟練の技で観衆を楽しませつつ、結果にも繋げている。本稿執筆時点でJ1の25試合に出場し、8得点と3アシストを記録。また7月20日のパリ・サンジェルマンとの親善試合では、対面したポルトガル代表ヌーノ・メンデスを手玉に取るシーンも見られた。

「まあ相手は遊びやったと思いますし、別になんもないと思います」と試合後の取材エリアで足を止め、家長は淡々と語った。そして世界のトップレベルとの差がどこにあるかと問われると、次のように話した。

「(PSGの選手たちは)真剣勝負のなかにも遊びがあると思うし、それが見ていて楽しかったり、驚きに繋がったり、相手は意表を突かれたりする。僕たちにはまだそんな余裕がないし、楽しませるぐらいの感覚を持てないと、あのレベルまで行けないと思う。そうなれるように、真剣に遊べるように、僕らも頑張っていかないと」

ストイックになるだけでなく、遊び心を持ってプレーすること。まさに現在の家長のプレーから感じられることであり、それは日本代表にも必要な要素ではないだろうか。新戦力を試す時間は確かに限られているが、川崎の右サイドで阿吽の呼吸を見せるSB山根視来は現代表の常連であり、負傷がちな酒井宏樹に代わってレギュラーを掴む可能性もある。そうなれば、家長がクラブと同様に山根の前方に難なく収まるはずだ。

代表の右ウイングの主戦は伊東純也だが、家長にはまた違った魅力がある。伊東の高速の突破が封じられた時、家長なら別のアイデアで敵陣を崩してくれそうな気がする。個人的に今、日本代表で誰よりも見てみたいのは、この36歳のレフティーだ。

取材・文/ 井川洋一 写真/アフロスポーツ

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