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スプーン爪、テリー爪、黒い線…爪が知らせる思わぬ不調のシグナル

集英社オンライン / 2022年9月2日 14時1分

ふと見たら、自分の爪が二枚爪になっていたり、色がピンク系でなくなっていたりすると、体調が悪いのではと不安になることも。このような爪は、体の中で起こっているトラブルを知らせてくれことがある。ウチカラクリニック代表・内科医、産業医の森勇磨医師に爪からのサインについて解説いただいた。

爪は健康のバロメーター?!

爪は皮膚の一部で、皮膚角質が変化し硬くなったものです。皮膚や髪の毛と同様に、たんぱく質の1種であるケラチンでできていて、新陳代謝が早い部分でもあります。
健康な爪は、皮膚の下を流れる血液が透けて見えるので薄いピンク色に見えますが、内臓の疾患や血液に異常が起きることにより、爪に症状が現れることがあります。



体の先端部分の爪に、体の中心にある内臓の症状が出るなんて、とても不思議に思えるかもしれませんが、体からのサインなので見逃さないようにしましょう。

特に次から挙げる5つのサインは、大きな病気が隠れているかもしれないので、ぜひ自分の爪を見ながらチェックしてみてください。


サイン1:スプーン爪

スプーン爪は爪の中央の部分が凹んでしまって、そのまま爪が伸びてあたかもスプーンのように見える状態のことを言います。

爪がこのような状態になった時は、鉄欠乏性貧血の疑いがあります。鉄欠乏性貧血とは、体内の赤血球細胞内のヘモグロビンを構成する鉄が不足し、めまいや倦怠感を起こす症状のこと。生理による出血の影響がある場合が多く、女性のほうが起こりやすいです。

鉄欠乏性貧血になると爪が薄くなってしまうことがあります。爪には指の腹の部分から継続的に力が加わっているので、爪が薄くなると指の圧力に耐えきれなくなり、爪の周囲が押されて、中央の部分が凹んでしまうからスプーンのような形になるのです。

また、爪の先端のほうの表面が薄く層状にはがれる二枚爪も、鉄分や栄養不足が原因の一つと言われています。

ふらふらする、疲れやすい、息切れがするなどの自覚症状があり、スプーン爪になっていたら、病院で採血検査をしてヘモグロビン値をチェックすると貧血かどうかわかるので、気になる人は医療機関を受診しましょう。

鉄欠乏性貧血の場合は普段から食事面でも気をつけて、レバーやほうれん草などで鉄分を摂るのがおすすめです。サプリメントなどで補う選択肢もあるでしょう。

内臓や肺に問題があるサイン、テリー爪やばち指

サイン2:テリー爪

英国の医師 R. Terry が最初に報告したので、「テリー爪」と言われています。
テリー爪とは爪のほとんどが白く曇ったような色になってしまい、先端部分のみがピンクの状態のことです。

心不全、糖尿病、腎不全、肝硬変などさまざまな内臓の重要な病気を反映していることがあります。

ただしテリー爪=糖尿病というわけではなく、さまざまな病気が関連して爪に現れるので、早期発見というよりは何かしら、内臓などに問題を抱えている時にテリー爪になりやすいと思ってください。


サイン3:ばち指

ばち指とは爪の根元が膨らんで指先が丸くなってしまい、太鼓のバチのようになった指のことです。血中の酸素飽和度が低いと末端まで酸素が十分に行き届かなくなり、このように爪が円形に盛り上がった状態になります。これは肺、心臓の疾患が疑われます。
また、一番怖いのが肺がんの疑いです。肺がん患者の17%がばち指になっていたというエビデンスもあります。
爪を見ても、ばち指かどうかわからない人は簡単なチェック方法があるので、やってみてください。
両方の人差し指の爪を内側にして合わせます。正常な人は爪と爪の根元の間にダイヤモンドのようなひし形ができますが、ばち指は爪の中央が盛り上がっているので、ダイヤモンドの形が作れないということが多いです。
ダイヤモンドの形が作れなくて、喫煙する人、そしてあまり健康診断を受けていない場合は、一度病院を受診してみてください。

黒の縦線は皮膚のがんの可能性がある

サイン4:イエローネイル

爪の表面が黄色っぽくなっているのがイエローネイルです。
これは体の中のリンパの流れが滞ることにより、爪がまっすぐに伸びず、積み重なるように伸びてしまうため、爪が黄色に見えてしまうのです。
また、腫瘍や関節のリウマチ、薬の副作用が原因と考えられています。
気になる人はかかりつけ医に相談しましょう。

サイン5:爪に黒い線が入る

爪の黒い線はメラノーマのサインである可能性があります。
メラノーマとは別名、悪性黒色腫、要するに皮膚のがんです。
爪の下は皮膚なので、皮膚にメラノーマができると爪から黒い線が見えてしまっているのです。
ただし子どもの場合、やがて消えることもありますし、色素沈着ということもあります。
また、黒い線ではなく、ただ縦線がある場合は加齢による老化現象の一つなので心配しなくても大丈夫です。

注意したいのが黒い線の色が濃くなったり、線の幅が太くなったりする場合です。
その場合は、メラノーマの疑いが生じてきます。
メラノーマが進行すると指を切断することになったり、他の臓器に転移し根治治療ができなくなったりすることもあります。
爪に黒い線を見つけて、だんだん濃くなったり太くなったりするようであれば、皮膚科を受診しましょう。

体の中の異変以外にも、ネイルをしている間に水や湿気が入り込んで緑膿菌が繁殖して、爪が緑っぽくなったり、爪水虫によって爪がもろく崩れやすくなったりなどもあります。

普段はあまりじっくり自分の爪を見ないかもしれませんが、さまざまな症状のサインが現れている場合があるので、体調に不安がある時は爪をチェックしてみましょう!


取材・文/百田なつき

40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」
(ダイヤモンド社)

森 勇磨

2021年9月29日

1,650円(税込)

328ページ

ISBN:

4478113459

人生100年時代を生き抜く「最強の基礎教養」。血液・尿検査の絶対見逃してはいけないポイントから、エビデンスのあるがんの予防・早期発見法、健康寿命を1日でも延ばす食事術と生活習慣、太く長く生きるためのメンタルケアの方法、そして、大病になったときの再発予防・リハビリまで、正しい健康知識の超集大成!

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