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制作費6000円のゾンビ映画も!? 制作費3万ドル以下の「低予算映画」ベスト5

集英社オンライン / 2022年9月5日 18時1分

映画を作る上で、決して欠かせないものがある。そう、予算だ。湯水のごとく予算を注ぎ込んだ超大作が世をにぎわせている一方、厳しい条件の中で色々とやりくりせざるを得ない低予算映画も、当然ながら山ほど存在する。かつて爆発的にヒットしたホラー映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999年)などは特に有名だろう。というわけで今回はそんな低予算映画を5本、ある程度有名なタイトルかつ制作費〝3万ドル〟以下のものに絞ってご紹介していこう。

第5位:『クラークス』(1994年)

『Mr.タスク』(2014年)などでおなじみケヴィン・スミス監督作『クラークス』(1994年)は、制作費〝2万8000ドル〟のコメディ・ドラマ。



主人公のアルバイト店員ダンテは、ありふれた若者の一人だ。休日出勤にぼやいたり、クレーマー気質の客と揉めたり、ときには店より私用を優先しながらも、最低限度の業務はこなそうとする成人男性。不満は多いがもっぱら現状に甘んじる方を選択し続けており、「性に奔放な恋人が、自分以前に36人と口腔性交を行っていた」など、現実にありそうでなさそうな、微妙なラインの問題に悩まされている。

そんな彼が職場でてんやわんやな一日を過ごし、心身ともにくたびれ切った末に、ちょっとした教訓めいたものを得つつ、さわやかに閉店する。合間に挟まるクエンティン・タランティーノ風の与太話と、独特のゆるい雰囲気が特徴の、オシャレさと俗っぽさが両立した一本だ。

ちなみに本作と設定で世界線を同じくする『モール・ラッツ』(1995年)や『チェイシング・エイミー』(1997年)などの作品群が、〝ヴュー・アスキューニバース〟として知られている。

第4位:『パラノーマル・アクティビティ』(2007年)

続いて最メジャー級のタイトルを。オーレン・ペリ監督が送る大人気ホラー映画シリーズ、『パラノーマル・アクティビティ』(2007年)だ。

その制作費は〝1万5000ドル〟。そして制作期間は7日だという、低予算早撮りのモキュメンタリー映画である。が、本作は大ヒット。その後次々に続編や番外編、前日譚が生まれ、昨年も最新作の『パラノーマル・アクティビティ7』(2021年)が公開。息の長いタイトルとなっている。

「幼い頃より超常現象に悩まされているというヒロインの謎を解き明かすため、彼氏の男がカメラを購入。超常現象の正体を掴むべく撮影を開始するも、その日以来状況は悪化し始め、二人の身に危機が迫る」というオカルト・ホラー映画。

リアリティー重視でスローテンポな話運びと、ショック演出の少なさには賛否両論あるかもしれないが、じっとりとまとわりつくような、得体の知れない恐ろしさが常に漂う、実にモキュメンタリー・ホラーらしい作風が特徴。個人的には嫌いではない。

第3位:『エル・マリアッチ』(1992年)

僅か〝7000ドル〟の低予算をものともしない優れた出来栄えでその名を轟かせた、ロバート・ロドリゲス監督作が『エル・マリアッチ』(1992年)である。

ストーリーは、「黒い服を着た、ギターケースを抱えるギャングと、その敵対組織との抗争に巻き込まれてしまった若きマリアッチが、人違いから数々の修羅場を潜り抜けつつ、とある美女と恋仲に落ちる」というもの。

凡百の低予算映画とは異なり変化に富んだカメラワーク、さりげなくも鮮やかなワンショットの数々は、なるほど7000ドルという数字を感じさせない仕上がりだ。クライム・アクションとラブ・ロマンスを半々に織り込んだ物語はシンプルであるがゆえに入り込みやすい。ハッピーエンドとは言い難いものの、苦み走った中に前向きな明るさを備えたラストも印象深い。

なお本作、続編の『デスペラード』(1995年)及び『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』(2003年)と併せ、〝マリアッチ三部作〟として親しまれている。

第2位: 『恐怖! キノコ男』(2002年)

『恐怖! キノコ男』(2002年)は〝142ドル〟という驚きの低予算で生み出されたパニック・ホラー。

キャスト及びスタッフの名をよくよく見ると、監督のデイブ・ワスカバジを筆頭に〝ワスカバジ〟の姓が目立つ。というよりもこのデイブ・ワスカバジが脚本、製作、音楽、編集、撮影などなどを兼任している。ちなみに共同脚本及び共同製作の名はメアリー・ワスカバジである。

「とあるマッドサイエンティストが発明した薬物の影響で、キノコが怪物に変身し、人々を襲う」という内容の本作は、率直に申し上げてホームビデオめいたチープな出来栄え。人類に対して関節技をキメ出すキノコや、脈絡なくサイキック能力を披露する主要人物たち、のっぺりとした稚拙な3Dモデルに加え、突拍子もない展開と冗長な会話劇の数々は、お世辞にも褒められたものではない。

が、この悪いキノコでバッドトリップしたかのような物語には、ある種の魅力が伴っていることもまた事実である。日本国内盤にはプレミアがついているため視聴困難だが、機会があれば観てみるのもいいだろう。

第1位:『コリン LOVE OF THE DEAD』(2008年)

制作費〝45ポンド(+ボランティア)〟、すなわち6000円前後の予算で作られたにもかかわらず、なかなかの高評価を得ているゾンビ映画が、『コリン LOVE OF THE DEAD』(2008年)だ。

ゾンビ映画といえば低予算映画、インディー映画の花形だが、それにしてもここまでの安さは珍しかろう。本作の監督であるマーク・プライスは、製作・脚本・撮影・編集を兼任している。

「ゾンビの蔓延により荒廃した世界。ゾンビからの手傷を負って感染した主人公コリンも、やはり一匹のゾンビと化す。もはやおぼろげな、何らかの記憶に突き動かされ、殺伐とした町の中を進み続けるコリン。ゾンビに変貌してなお、彼が目指しているものとは……」というストーリー。

かなりの低予算だけに粗削りな出来栄えではあり、赤く塗っただけの布切れを臓物に見立てた残酷表現など、そのチープさは否めない。だが一方で、理性を失い人肉を食すようになってすら、あるひとつの目的のために懸命に歩き続けるコリンの姿は哀しく、絵面のチープさを補って余りあるドラマ性が感じられる。

万人向けではないだろうが、決して侮れない一本だ。



意外な名作から規模相応の凡作・怪作まで、ほかにも無数の低予算映画が、世の中には溢れ返っている。たまにはそんなタイトルを観てみることで、新たな知見が広がるかもしれない。

取材・文/知的風ハット

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