「ぴえん」とは、涙に瞳をうるませ、何かを訴えかけてくるような絵文字のことを指している。それが若者の間で、悲しみや苦しみ、喜びや感動など複雑な感情を表す言葉としても使われている。「ぴえん」は絵文字ひとつ、単語ひとつで複雑な感情を表現してしまうわけで、そこには、ある種の軽さと乱暴さが感じられる。
この「ぴえん」を書名に冠して話題を呼んでいるのが『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認』だ。歌舞伎町のTOHOシネマズ横のストリート、通称「トー横」にたむろしている若者たちの姿を追った一冊。その若者たちを象徴する言葉が「ぴえん」なのだ。著者の佐々木チワワは10代の頃から歌舞伎町に通っており、街の内側から若者たちの姿を描こうと試みる。